[精神医療] 病床削減後の有効活用に、「居住の場」を提案
[長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会作業チーム(第4回)−厚生労働省(H26.5.29)]
精神科医療行政ニュース - 2014年 05月 30日
5月29日、厚生労働省は「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」の作業チームを開催しました。
前回(5月12日)の会合では、精神科入院医療の将来像として、「生活の場」に近い病床に入院している患者を、自宅やグループホーム、サービス付き高齢者向け住宅に移行させることによって、患者が入院していた(退院した)病床を削減する方針や、そこに従事していたスタッフを、急性期や重度かつ慢性といった必要な医療に集約したり、地域生活を支えるための医療・福祉へと移行させる方針が提示されていました。
この「生活の場」に近い病床は、将来的に不必要となる病床として削減する考えですが、この日に提示された資料では、削減するまでの間は、『地域移行を支援するための病床』として機能を強化してはどうか、としています。
その例として、生活能力の向上を目指した訓練等を、入院中から充実させる案を提示しています。その場合の訓練等について、(1)給付は医療サービスか福祉サービスか(2)実施場所は病院内か病院外か、また必要な人材などを検討すべき事項にあげています。さらに、地域生活により近い環境の整備するため、外部との交流を原則自由とすることなどが示されました。
不必要となった病床の有効活用については、上記のような医療等を提供する施設としての活用のほかに、医療等を提供する施設以外として「居住の場」として活用してはどうかとの提案が出されました。
地域生活において守られるべきものは、大きく(1)生活時間や居住地、同居する人、移動など、自ら選択する自由があること(2)地域住民との交流など、地域社会に包容され、参加する機会が確保され、孤立しないこと(3)プライバシーが尊重されること、が前提であり、「居住する場」として活用する場合には、(1)〜(3)の担保に必要な条件をそれぞれ例示しています。
まず(1)については、「許可を求めず外出可能」、(2)については、「外部からの自由な訪問が可能」、(3)については、「電話のスペースが独立した環境となっている」などといった具合です。
またこの日、医療法人心和会なごみの家の櫛田氏より直近5年間の利用実績のヒアリングが行われています。