[調査] 障害者、難病患者の主な介護者の高齢化が顕著な結果

[平成25年度東京都福祉保健基礎調査『障害者の生活実態』の結果(速報)-(H26.3.28)]

精神科医療行政ニュース - 2014年 04月 25日

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 東京都は、社会福祉や保健・医療施策推進の基本資料とするため、毎年、福祉の各分野のニーズの高いテーマを選定し、「東京都福祉保健基礎調査」を実施しています。平成25年度は、『障害者の生活実態』を調査しており、このほどその結果速報が公表されました。

 調査は、平成25年10月16日から11月15日にかけて、東京都内に居住する18歳以上の身体障害者4000人、知的障害者1200人、精神障害者800人、難病患者1200人の計7200人を対象に行ったもので、結果は、有効回答であった身体障害者2659人、知的障害者810人、精神障害者537人、難病患者1034人の状況です。

 平成25年4月から施行された障害者総合支援法では、障害者の範囲に難病等が加わりました。対象疾患に罹患している場合、身体障害者手帳の所持の有無に関わらず、必要と認められた障害福祉サービス等が受給できます。この調査における難病患者とは、障害者総合支援法における難病等の範囲(130疾患)のうち、現段階で、東京都においてデータ情報を保有している医療費等助成制度の対象である70疾患と、東京都が単独で難病医療費助成を行っている9疾病を対象としています。

 目立つところを紹介します。
 まず、在宅で生活している人に、「現在一緒に生活している人」を聞いたところ、身体障害者、難病患者は「配偶者」の割合が最も高く51.5%、67.0%でしたが、知的障害者は「親」の割合が最も高く78.5%、精神障害者は「一人で暮らしている」の割合が最も高く37.7%でした。主な介護者は誰かを聞いたところ、身体障害者、精神障害者、難病患者では「介護者はいない」の割合が最も高く、それぞれ41.4%、52.1%、46.7%となっていますが、知的障害者は「母親」と答えた割合が55.6%と最も高くなっていました。次に、主な介護者の年齢を聞いたところ、身体障害者、精神障害者、難病患者では「70〜79 歳」の割合が最も高く、それぞれ28.3%、21.7%、30.0%となっており、知的障害者は「60〜69 歳」の割合が最も高く29.7%となっています。いずれの障害者、難病患者についても、主な介護者の高齢化が顕著な結果となっています。

 次に、障害者手帳の等級、程度を見てみると、身体障害者の手帳の等級は「1 級」の割合が最も高く35.1%、知的障害者の愛の手帳の程度では「4 度」が最も高く45.8%、精神障害者の手帳の等級は「2 級」が最も高く49.7%となっています。
 手帳の取得状況(複数回)を見てみると、身体障害者のうち、愛の手帳を持っている人の割合は5.6%、精神障害者保健福祉手帳を持っている人の割合は1.1%。また、知的障害者のうち身体障害者手帳を持っている人の割合は20.5%、精神障害者保健福祉手帳をもっている人の割合は6.2%。精神障害者のうち身体障害者手帳を持っている人の割合は12.7%、愛の手帳を持っている人の割合は3.2%となっていました。難病患者のうち身体障害者手帳を持っている人の割合は26.7%、愛の手帳を持っている人の割合は0.5%、精神障害者保健福祉手帳を持っている人の割合は0.9%でした。
 
 精神障害者の通院状況・入院経験に着目してみると、平成25 年10 月16 日現在、精神疾患にかかわる病気(てんかんを含む)で、「現在も通院している」と答えた割合は92.6%となっています。また、「現在入院している」人は4.1%、「現在入院していないが、過去に入院したことがある」人は61.6%となっており、入院経験がある353人に、何回入院したことがあるか聞いたところ、「2〜5 回」の割合が最も高く53.3%でした。

 続いて、障害者総合支援法による障害福祉サービスの利用状況を見てみます。
 過去1年間の障害者総合支援法(平成25年3月までは障害者自立支援法。以下同じ)による障害福祉サービスを利用した人の割合は、身体障害者は17.0%、知的障害者は60.0%、精神障害者は27.9%でしたが、難病患者は6.0%に止まっています。利用したサービスで最も割合が高かったのは、身体障害者が「居宅介護(ホームヘルプ等)」(36.6%)、知的障害者と精神障害者が「自立訓練、就労移行支援または就労継続支援、生活介護」(73.8%、52.0%)、難病患者が「補装具費支給」(41.0%)でした。

 障害または難病のためにあきらめたり妥協したりしたこととしては(複数回答)、最も割合が高かったのが、身体障害者と難病患者では「旅行や遠距離の外出」(39.9%、48.0%)でした。また、知的障害者と精神障害者では「就職」(28.9%、39.7%)が高くなっています。このほか、精神障害者では「人との付き合い」が32.2%、「結婚」が26.1%、「異性との付き合い」が22.3%となっており、コミュニケーションを特に必要とする項目にあきらめや妥協している状況がうかがえます。

 このほか、地域生活をする上で必要な福祉サービス等では、身体障害者は「医療の充実」(29.0%)、「駅や道路における段差などのバリアフリー」(23.0%)の順で高くなっています。知的障害者は「所得保障」(28.0%)、「障害者が暮らしやすい住宅の整備」(23.1%)の順で高く、難病患者は「医療の充実」(40.7%)、「駅や道路における段差などのバリアフリー」(23.5%)の順で高くなっています。また、精神障害者に今後利用したい福祉サービス等を聞いたところ、最も割合が高かったのは「相談サービス(地域活動支援センターなど)」(22.0%)、次いで「就労支援サービス(障害者就業・生活支援センターなど)」(20.5%)でしたが、「特にない」と答えた割合も33.9%と高い結果であったことが報告されています。

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