[意見募集]認知症の進行具合の確認を強化する「道路交通法改正試案」

[「道路交通法改正試案」に対する意見の募集について―警察庁交通局(H27.1.16)]

精神科医療行政ニュース - 2015年 01月 23日

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 警察庁交通局は1月16日、「道路交通法改正試案」に対する意見募集を開始しました。
今回の改正は、(1)75歳以上の高齢者に対する運転免許制度の見直し、(2)中小型トラック(車両総重量3.5トン以上7.5トン未満)を対象とする「準中型自動車免許」の新設、などが盛り込まれています。

 ここでは、(1)の75歳以上の高齢者に対する運転免許制度の見直しに関する内容を見てみます。
 現在、75歳以上の高齢者に対する運転免許制度は、免許更新の際、高齢者講習の前に【認知機能検査】を受ける必要があります。認知機能の低下(進行度)を、「認知症のおそれがある:第1分類」、「認知機能が低下しているおそれがある:第2分類」、「低下しているおそれなし:第3分類」の3段階に分けて判断しています。
 当該検査において「認知症のおそれがある:第1分類」と判断された人が実際に認知症に該当しているか否かを明らかにするため、交通違反の状況にかかわらず、臨時に適性検査(専門医による診断)を行い、又は医師の診断書を提出すべきと、公安委員会は命ずることができますが、交通違反行為がなければ、医師の診断を受けなくても免許を更新できる仕組みとなっています。
 今回の改正試案では、医師の診断で認知症と確定すると、交通違反行為がなくても免許が取り消されることとなります。

 参考までに、警察庁によると、平成25年中の75歳以上の高齢運転者による交通事故件数は3万4757件と平成15年に比べ約1.6倍に増加しており、交通事故全体に占める割合も5.8%と約2.4倍に増加しているといいます。また、同年中の75歳以上の高齢運転者による死亡事故458件のうち、3割以上は認知機能の低下が疑われる者によるものと報告されています。
 さらに、平成25年中に【認知機能検査】において、「認知症のおそれがある:第1分類」と判断された人は3万4716人(同年中に認知機能検査を受けた約145万人の約2.4%)でしたが、同年中に適性検査を受けた人は524人にとどまっています。
 このような状況に鑑みて、今回の改正試案は、認知症の進行具合の確認を強化する内容となっています。
 なお、2月4日まで広く国民から意見が募集されます。

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