[精神] 平成25年度の「医療保護入院届出数」は 21万1980件で、前年度比2433件増

[平成25年度衛生行政報告例の結果−厚生労働省(H26.10.30)]

精神科医療行政ニュース - 2014年 11月 07日

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 10月30日、厚生労働省は平成25年度の「衛生行政報告例の概況」を公表しました。
 この調査は、衛生関係諸法規の施行に伴う各都道府県、指定都市および中核市での衛生行政の実態を把握し、行政運営の基礎資料を得ることを目的としたものです。
 本調査では、(1)精神保健福祉(2)薬事(3)母体保護(4)特定疾患(難病)―関係などが報告されており、(1)の精神保健福祉関係に着目して結果概要を見てみます。

 平成25年度の一般・警察官等からの「申請通報届出数」は 2万3177件で、前年度に比べ 2131件(10.1%)増加しています。また、「申請通報届出のあった者のうち診察を受けた者数」は 9404人で、前年度に比べ 327人(3.6%)増加していました。
 平成25年度末現在の「措置入院患者数」は 1482人で、前年度に比べ 49人(3.2%)減少。平成25年度の「医療保護入院届出数」は 21万1980件で、前年度に比べ 2433件(1.2%)増加していました。

 続いて、精神障害者保健福祉手帳交付台帳登載数を見てみると、平成25年度末現在75万1150人で、前年度に比べ 5万5451人(8.0%)増加しています。等級を見てみると、1級が10万5376人、2級が46万538人、3級が18万5236人という状況です。

 また、平成25年度の精神保健福祉センターにおける相談延人員は 14万9345人となっていて、相談内容別では、「社会復帰」が 6万4778人(43.4%)と最も多く、次いで「思春期」が1万6129人(10.8%)、「心の健康づくり」が1万6125人(10.8%)、「うつ・うつ状態」が7547人(5.1%)、「薬物」が6201人(4.2%)と続きます。
 さらに、相談延人員のうち「(再掲)ひきこもり」は 21,482人(14.4%)、「(再掲)発達障害」は 1万4624人(9.8%)などとなっています。
 なお、ここでいう「ひきこもり」とは、「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態にある7歳から49歳までの人をさしています。

 平成26年4月1日に精神保健福祉法(正式名称:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)が改正され、主に、精神障害者の地域生活への移行を促進するため、精神障害者の医療に関する指針(大臣告示)が策定され、医療保護入院制度等が変わりました。
 医療保護入院制度については、(1)保護者制度が廃止、(2)医療保護入院の際の同意者変更、(3)医療保護入院者への退院支援の制度化、が行われています。
(1)の保護者制度の廃止は、これまで、精神障害者1人につき、1人の保護者が家族等から選任されていた仕組みを、家族の高齢化等に伴い、負担が大きくなっている等の理由に廃止するものです。
 また、(2)の同意者変更は、医療保護入院における保護者の同意要件を外し、家族等(配偶者、親権者、直系血族、兄弟姉妹、裁判所に選任された扶養義務者、後見人、保佐人)のうち、いずれかの者の同意を要件とするものです。もっとも、いずれもいない場合は、市町村長が同意をすることになります。
(3)の退院支援の制度化は、精神科病院の管理者に、医療保護入院者の退院後の生活環境に関する相談及び指導を行う者、精神保健福祉士等の設置や、退院促進のための体制整備を義務付けるものです。

 医療保護入院届出数は、年を追うごとに増加していますが、今回の改正によりどのような変化が見られるのか、今後は、次年度以降の結果も注視していきたいところです。

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