[精神] 20代をはじめとする若者の自殺、仕事関連の悩みとうつ病が約4割

[平成26年版 厚生労働白書-健康長寿社会の実現に向けて- 健康・予防元年(H26.8.1)]

精神科医療行政ニュース - 2014年 09月 12日

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 厚生労働省は毎年、「厚生労働白書」を公表しています。平成26年版のメインテーマは「健康長寿社会の実現」となっており、今回の白書では(1)我が国における健康をめぐる施策の変遷(2)健康をめぐる状況と意識(3)健康寿命の延伸に向けた最近の取組み―がまとめられています。

 (2)の健康をめぐる状況と意識の第3節では、精神的・社会的な側面から健康意識について分析しています。分析内容の一部を見てみます。

 不安や悩みを感じることの有無は、「いつも感じる」人と「ときどき感じる」人を合計すると7割である一方、「全く感じない」人は極わずかにとどまっており、若年層が高齢者よりも不安や悩みを感じている割合が高いことが分かりました。不安や悩みの具体的内容は、「自分の健康・病気」が最も多く、次いで「収入・家計・借金」、「生きがい・将来のこと」と続きます。

 ストレスが蓄積されて引き起こされる「うつ」についても白書ではまとめています。
 うつ病などによって医療機関に受診する患者数は、1999(平成11)年は44.1万人でしたが、2011(平成23)年では95.8万人と大幅増加。うつを含む精神疾患の患者数は、2011(平成23)年時点でも依然として300万人を超えています。

 また、2013年(平成25)年中の年間自殺者数は2万7283人で、このうち、「病気の悩み・影響(うつ病)」を原因・動機となっているのは5832人でした。「病気の悩み・影響(うつ病)」を含む「健康問題」を自殺の原因・動機とする人は1万3680人に上ります。
 さらに、20代・30代の死因第1位は自殺であり、20代をはじめとする若者にとって、その原因・動機の約4割が仕事関連の悩みとうつ病によるものであり、大きなストレス源になっていました。

 現在の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスを感じている人は、2012(平成24)年時点で働く人の6割にも上っており、その理由としては「職場の人間関係の問題」をあげる人が4割と最も多く、メンタルヘルス上の理由により過去1年間以内に1か月以上の休職者又は退職者がいる事業所は、事業所の規模が大きくなるにつれて、割合が高くなることが報告されています。

 ちなみに、2012(平成24)年度の精神障害を理由とする労災の請求件数は1257件、支給決定件数は475件(前年度比150件増)で、支給決定件数は過去最多となっています。

 このほか、長時間労働や職場のパワーハラスメントなどもあり、多くの労働者が仕事に関連するストレスを感じていることが示されています。その上で、ストレス解消法や休日・余暇の過ごし方、家族や地域つながりについて分析されており、まとめでは、「仕事と生活との調和がとれ、職場でのストレスが軽減されるとともに、地域や家族での時間がとれるようになることが、精神的・社会的な「健康」にも資するのではないだろうか」と述べています。

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