[診療報酬] 経済上の利益提供による患者紹介の判断基準を詳説

[疑義解釈資料の送付について(その8)(7/10付 事務連絡)《厚生労働省》]

精神科医療行政ニュース - 2014年 07月 18日

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 厚生労働省は7月10日に、疑義解釈資料の送付(その8)について事務連絡を行った。
 今回は、「入院基本料等」「入院基本料等加算」「短期滞在手術等基本料」「地域包括診療料等」「暦月で3ヵ月を超えない期間の1割以内の一時的な変動」「DPC」「療養担当規則関係」などについてQ&Aを掲載している。
 
 まず「入院基本料等」について見てみよう(p2参照)。
 平成26年度改定では【特定集中治療室管理料】について、『重症度、医療・看護必要度』の見直しが行われた。
 具体的には、これまで「特定集中治療室用の『重症度、医療・看護必要度』で評価し、A項目3点以上またはB項目3点以上である患者が9割以上」などとなっていたところが、「A項目3点以上かつB項目3点以上である患者が8割以上」などという具合に見直された。
 ここで、当該病室(ICU)において、【特定集中治療室管理料】ではなく【7対1入院基本料】を算定する場合には、『重症度、医療・看護必要度』について、特定集中治療室用・一般病棟用のいずれを用いて評価を行えばよいかが気になる。
 この点について、厚労省は「特定集中治療室に入院する患者については、特定集中治療室用の『重症度、医療・看護必要度』で評価を行い、また該当患者割合の計算式に含めなければならない」ことを確認している(p2参照)。
 
 また、一般病棟用の『重症度、医療・看護必要度』における「抗血栓塞栓薬の持続点滴の使用」には、ワンショットで行うような静脈内注射は含めず、点滴を行うことが必要である点が明確にされた(p2参照)。
 
 なお、短期滞在手術等基本料を算定する患者については、7対1入院基本料の『重症度、医療・看護必要度』の該当患者計算に含めないことも確認されている(p3参照)。
 
 
 次に、新設された【地域包括診療料】【地域包括診療加算】を算定するためには、「慢性疾患の指導に係る適切な研修を修了した医師の配置」が必要となる。
 この研修について厚労省は、「高血圧症、糖尿病、脂質異常症および認知症を含む複数の慢性疾患の指導に係る研修」であり、具体的には「服薬管理、健康相談、介護保険、禁煙指導、在宅医療等の主治医機能に関する内容が適切に含まれ、継続的に2年間で通算20時間以上の研修」であることを明らかにしている(p3〜p4参照)。
 「継続的に」とは2年毎に、上記内容の研修を20時間以上受けることを意味する(p4参照)。
 なお、e-ラーニングによる研修の受講は原則として認められない(ただし、日本医師会生涯教育制度に係る研修においては、認知能障害・高血圧症・脂質異常症・糖尿病以外の項目についてはe-ラーニングによる受講でも可)(p4〜p5参照)。
 
 
 さらに平成26年度改定では、『療養担当規則』等において「経済上の利益を提供することなどによって、患者が自己の保険医療機関で診療を受けるように誘引してはならない」旨が明確にされた(p11参照)。
 ここでは、(1)保険医療機関等が、事業者等に対して患者紹介の対価として経済上の利益の提供を行うこと(2)(1)によって患者が自己の保険医療機関等で診療等を受けるよう誘引すること―のいずれにも該当する場合は「禁止行為」と判断される(p12参照)。
 
 (1)については、「患者紹介の対価」として「経済上の利益」が提供されているか否かが重要だ。
 「患者紹介」には、保険医療機関等に患者の情報を伝え、患者への接触の機会を与えることや、患者の申出に応じて保険医療機関等と患者を引合わせることなども含まれる。
 「経済上の利益」は、金銭、物品、便益、労務、饗応等をさし、商品・労務を通常よりも安く購入できる利益も含まれる。
 
 また、「訪問診療の広報業務」「施設との連絡・調整業務」などの委託料に「経済上の利益」が上乗せされる場合なども考えられ、実質的に判断される。
 この点、厚労省は「集合住宅・施設に入る保険医療機関等を決定・制限することができる者が、保険医療機関等に対して診療等に必ずしも必要ではない業務委託・貸借を条件として求めている」場合は、「患者紹介の対価として委託料・貸借料が支払われている蓋然性が高いと考えられる」と説明している。
 
 さらに、(1)の「患者紹介」を受けて当該患者の診療等を行っている場合には、「基本的に(2)に該当する」と判断される(p12〜p13参照)。

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