[精神医療] 患者の地域移行や病床削減後の有効活用、介護的な支援も必要ではないか

[長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会作業チーム(第5回)−厚生労働省(H26.6.5)]

精神科医療行政ニュース - 2014年 06月 06日

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 6月5日、厚生労働省は「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」の作業チームを開催しました。
 この日の会合では、前回(5月29日)会合までに提示されていた、「精神医療の将来像と具体的方策」の論点整理を行ったうえで、「長期入院精神障害者の地域移行の流れと主な方策」として出されていた、(1)「生活の場」に近い病床、(2)不必要となった病床の有効活用、の2点について集中的な議論を重ねています。


 前回会合であがっていた意見のなかで、目立つところを拾ってみると、まず、(1)の「生活の場」に近い病床について、病床の在り方や必要な機能としては、
「生活に場に近い病床」というよりは、「地域移行促進病床(棟)」ということにし、期間設定のもと強力に地域移行を展開していく
長期慢性の病床を削減し、急性期・亜急性期(回復期)へのシフトを行うとして、医療課や中医協および財務省の了解や協力を取り付けることが、本当にできるのか。現在の診療報酬収入を維持したまま、構造改革が行われなければ、大きな労働問題や企業活動維持の支障などに多大な影響をきたすことになる
医療で行う生活訓練は有期限で行い、期限終了時点の状態で「何とか(地域生活)する」という視点で行うべき
退院準備プログラムを地域機関と協力して行う(退院意欲の維持・向上の目標(能力の獲得は目標としない)・期間設定する・ピアサポートの導入・体験重視)
などの意見がありました。
 このほか、職員の質向上や、行政機関・地域の支援等の関わり、財源等に関する意見もまとめられました。




つぎに(2)の不必要となった病床の有効活用については、活用の前提に関して、
「自由と責任」は、常に等分の両価であり、それについては契約上でも明記され、民法上でも運営管理者に法的責任が及ばないような整理をきちんと行われなければならない。多くに見られる事態である自殺や他害などの行為等についての、施設運営者の責務はすべて免責されなければならない
居住施設転換は反対で、障害者利用に限定しない、地域の人が利用できるものにすれば良い
積極的な地域移行の末に、それでも退院できない場合に、本人の意向を最大限に尊重した上での支援として必要な資源は何か。基本的には介護的な支援が必要となるのではないかと想定している。よりよい精神医療を進めるための病床削減を含めたモデル事業、医療と福祉が連携した事業でもしないと、条件の議論は進まないのではないか
障害者権利条約の締約国となった以上、あらゆる権利侵害を排していくことが課せられており、それに抵触する場面設定は回避すべき。病床転換による施設整備は厳に回避すべき
 さらに、不必要となった病床の有効活用に関する具体的な条件についても意見がまとめられています。


 なお、作業チームでの議論、意見だしは今回で終了し、次回は検討会で「具体的方策の在り方」の取りまとめに向けて議論を行う予定です。

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