[改定速報] 26年度改定の施設基準詳細通知、在宅復帰率の計算式等明らかに

[基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(3/5付 通知)《厚生労働省》]

平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2014年 03月 05日

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 厚生労働省は3月5日に、平成26年度診療報酬改定における施設基準等に関する告示を公布。あわせて解釈通知である「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」を発出した。
 注目される部分を見てみよう。
 
 
◆施設基準届出期限について厚労省は「柔軟」に対応
 
 「施設基準」とは、特定の診療報酬項目を算定するための資格といえる。これは一定の医療水準を保つために設定されているものだ。
 どんなに優れた医療行為を行っても、無資格、つまり施設基準を満たしていなければ、客観的に「水準が保たれているか」が判断できないため、保険診療上の費用請求(点数算定)は行えない。
 この資格(施設基準)の届出期限は4月14日とされているが、厚労省保険局医療課の担当者は「例年、漏れがある。しかし、どうしても届出ていただきたい基準もあり、柔軟に対応する」ことを明言している(p6参照)(p401参照)。
 
 
◆7対1一般病棟
 
 7対1一般病棟入院基本料については、大幅な施設基準の厳格化が行われた。
 その中でも「在宅復帰率75%以上」を盛込んだ点に注目したい。
 まず「在宅」には、言葉どおり「自宅に退院する」患者だけではなく、次のケースも含まれる。
●地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料、回復期リハ病棟入院料、療養病棟入院基本料1(在宅復帰機能強化加算を算定するものに限る)に転院した患者
●在宅機能強化型の介護老人保健施設に入所した患者
 
 復帰率の計算は、次の考え方にしたがって「(1)÷(2)」で行う
(1)直近6ヵ月間において、当該病棟から退院した患者数のうち、上記の「自宅等に退院する者」の数(入院期間が通算される再入院患者、同一保険医療機関の他病棟への転棟、死亡退院を除く)
(2)直近6ヵ月間に退院した患者数(入院期間が通算される再入院患者、同一保険医療機関の他病棟への転棟、死亡退院を除く)
 
 
◆地域包括ケア病棟
 
 急性期後の受け皿、在宅復帰支援、在宅患者の救急対応という新たな役割が亜急性期病室に付加され、「地域包括ケア病棟・病室」に生まれ変わる。
 すでに施設基準の大枠は示されているが、今回の通知では、詳細部分まで明らかになってきている。
 
 まず、リハを積極的に提供するために、リハ専門職の配置が必須となっている(専従のPT、OT、STを1名以上)(p109参照)。
 この点、リハ専門職は「疾患別リハ等を担当する専従者との兼務はできない」「地域包括ケア病棟の配置PT等が疾患別リハを提供していても、疾患別リハ料を算定することはできない」。ただし、地域包括ケア入院医療管理料を算定する場合(200床未満で、病室単位を選択)には、配置PTがADL維持向上等体制加算の専従者と兼務することが可能だ(p109〜p110参照)。
 
 また、地域包括ケア病棟入院料1を算定するためには、在宅復帰率70%以上が必要となる。
 ここで「在宅」には、言葉どおりの「自宅に退院する」患者だけではなく、次のケースが対象となる(p110〜p111参照)。
●在宅復帰機能強化加算を算定する療養病棟入院基本料1(自院・他院)への転院・棟
●在宅機能強化型の介護老人保健施設への入所
 
 復帰率の計算は、次の考え方にしたがって「(1)÷(2)」で行う(p111参照)。
(1)直近6ヵ月間において、当該病棟・室から退院した患者数のうち、上記の「自宅等に退院する者」の数(入院期間が通算される再入院患者、同一保険医療機関の他病棟への転棟、死亡退院を除く)
(2)直近6ヵ月間に退院した患者数(入院期間が通算される再入院患者、同一保険医療機関の他病棟への転棟、死亡退院を除く)
 
 なお、7対1一般病棟・7対1専門病院が地域包括ケア病棟・室の届出を行う場合には、在宅復帰率の実績は不要となる(p112参照)。
 
 
◆慢性期の入院医療
 
 療養病棟入院基本料1では、在宅復帰率に着目した【在宅復帰機能強化加算】が新設された。在宅復帰率が50%以上で、在宅での生活期間が1ヵ月以上継続することなどが要件となる。
 ここで在宅に退院した患者とは、「同一医療機関の他病棟へ転棟した患者」「他の医療機関へ転院した患者」「介護老人保健施設に入所する患者」を除く退院患者で、在宅での生活が1ヵ月以上(医療区分3では14日以上)継続する見込みであると確認できた患者をさす(p31参照)。
 
 在宅復帰率の計算は、次の考え方に沿って「(1)÷(2)」で行う(p31参照)。
(1)直近6ヵ月間に退院した患者のうち、上記の「在宅に退院した患者」数(入院期間が通算される再入院患者、死亡退院患者を除く)
(2)直近6ヵ月間に退院した患者数(入院期間が通算される再入院患者・死亡退院患者を除き、他医療機関へ転院した者等を含む。ただし、急性増悪等により「特別の関係」のない他の医療機関へ転院した患者を除く。退院患者数や症状を届出ることが必要)
 
 また、「在宅生活1ヵ月以上」の確認方法については、患者の退院後1ヵ月以内(医療区分3の患者については14日以内)に、医療機関職員が患者宅を訪問する、または在宅療養を担当する医療機関から情報提供を受けることによって、患者の在宅生活が1ヵ月以上(同)継続する見込みであることを確認し、記録していることが必要となる(p32参照)。
 
 さらに、病床回転率については「30.4÷平均在院日数」が100分の10以上であることが必要だ。
 
 
◆勤務医負担軽減
 
 医師事務作業補助体制加算については、一部に「事務部門の手伝いをしている」事例などもあると指摘されることから、病棟・外来での業務が8割以上(延べ勤務時間数)であることが要件とされた。病棟・外来は、次のように定義されている。
●「病棟」:入院医療を行っている区域で、スタッフルームや会議室等を含む
●「外来」:外来医療を行っている区域で、スタッフルームや会議室等を含む
 両者ともに、「医師が診療や事務作業等を目的として立入ることがない診断書作成のための部屋、および医事課等の事務室や医局に勤務している場合」は、当該時間に組込むことはできない(p50参照)。
 
 
◆関連通知等一覧
 
 施設基準に関して以下のような告示・通知が示されているので、ご活用いただきたい。
●基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(平成26年3月5日付通知、保医発0305第1号)(p1〜p384参照)
●特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(平成26年3月5日付通知、保医発0305第2号)(p385〜p777参照)
●基本診療料の施設基準等の一部を改正する件(平成26年厚生労働省告示第58号(p778〜p945参照)
●特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件(平成26年厚生労働省告示第59号)(p946〜p1073参照)

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