[精神医療] 4月から改正精神保健福祉法施行、精神科病院管理者に地域援助事業者との連携等を義務付け
[精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律の施行について―厚生労働省(H25.1.24) 他]
精神科医療行政ニュース - 2014年 02月 28日
この4月から改正精神保健福祉法が施行されます。施行まで約1ヶ月となりましたので、改正内容の一部を紹介します。
精神保健福祉法は、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の略称で、精神障害者の(1)医療や保護、(2)社会復帰の促進、(3)自立と社会経済活動の参加促進のための必要な援助、(4)その発生の予防その他の国民の精神的健康の保持および増進、によって、精神障害者の福祉及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とした法律です。
今回の改正精神保健福祉法は、平成25年4月に第183回通常国会に提出され、同年6月13日に衆議院にて可決・成立し、一部を除いて平成26年4月1日に施行されることとなっています。
主な改正内容は、精神障害者の地域生活への移行を促進するため、精神障害者の医療に関する指針(大臣告示)の策定、保護者制度の廃止、医療保護入院における入院手続等の見直し等です。
見直しの内容で目立つところを見てみます。
まず、保護者制度の廃止が上げられます。
これは、主に家族がなる保護者には、精神障害者に治療を受けさせる義務等が課されていますが、家族の高齢化等に伴い、 負担が大きくなっている等の理由から、保護者に関する規定を削除するものです。
保護者制度廃止後は、本人が治療行為に係る判断能力がない場合には、精神科以外の医療において本人が判断能力をもっていない場合と、同様の対応を行うこととなると考えられます。
次に、医療保護入院の見直しについてです。
この見直しでは、これまで医療保護入院における移送や入院については「保護者」の同意を要件としていましたが、「家族等」の同意としていることです。
この家族等とは、「当該精神障害者の配偶者、親権を行う者、扶養義務者及び後見人又は保佐人」と定められ、ここでいう「扶養義務者」とは、直系血族、兄弟姉妹及び家庭裁判所に選任された三親等以内の親族を指します。これらの家族のいずれかの者の同意があるときは、本人の同意がなくてもその者を入院させることができる、というものです。
また、精神科病院の管理者に、下記を義務付けています。
(1)医療保護入院者の退院後の生活環境に関する相談及び指導を行う退院後生活環境相談員(精神保健福祉士等)を設置すること
(2)医療保護入院者本人又はその家族等に対して、これらの者からの相談に応じ必要な情報提供等を行う地域援助事業者を紹介すること
(3)医療保護入院者の退院による地域生活への移行を促進するための体制を整備すること
このほか、厚生労働大臣は「精神障害者の医療の提供を確保するための指針」を定めなければいけないとし、精神医療審査会に関する見直し等も行われます。