[救急医療]救急医療を担う精神科医が参画しやすい環境作りやシステム構築を

[救急医療体制等のあり方に関する検討会報告書(2/6)《厚生労働省》]

精神科医療行政ニュース - 2014年 02月 14日

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 2月6日、厚生労働省は、「救急医療体制等のあり方に関する検討会」の報告書を公表しました。
 救急医療については、医療機関に受入れを拒否されるという、いわゆるたらい回しによって搬送患者が死亡するなどの報道があったことは、医療者にとっても患者・国民にとっても関心が高く、社会問題となっています。
厚労省は昨年(平成24年)2月、(1)救急患者の適切な医療機関での受入体制の機能強化(2)救命救急センターおよび二次救急医療機関の充実強化―の2点について具体的な対策を立てるための同検討会を設置し、8回にわたる議論を重ねてきました。

 

 救急搬送人員は10年前と比べて3倍以上に増加し、平成23年には過去最高となりました。中でも軽症者・中等症者の増加が著しく、一部には不要不急の救急要請の場合であることも指摘されています。また、救急救命士による特定行為が認められ、病院前救護における医療の質を確保する観点から、メディカルコントロール(MC)体制の整備が進められてきましたが、これを実施するためには医師が指示、指導・助言をする必要があることから、MCに従事する医師の負担も増加しているのが現状です。

 

 今回まとめられた報告書では、このような現在の課題を整理したうえで、今後の方向性が示されています。
 精神疾患を有する患者の受入れ、及び対応後の精神科との連携体制の構築についてみてみます。
 受け入れ体制については、行政機関、消防機関、医師会等関係団体、医療機関(救急医療機関と精神科救急医療機関)は地域の現状を把握し、搬送・受入れ実施基準等の改善や更なる連携強化を図るべき、としています。そのうえで、MC 協議会の活用が望ましいことから、救急医療を担う精神科医が参画しやすい環境を作るべき、と提言しています。
 また、身体合併症がある精神疾患を有する患者の受入れについては、都道府県や医療機関は必要に応じて受入れが円滑にできるよう整備を進めるべきとしています。一方、身体的には大きな問題がなくても精神科的な診断に苦慮する症例が少なからずあることから、救急医が精神科医と連携できるシステムを構築する必要があるなどとしています。
 このほか、現在整備が進められている精神医療相談窓口や精神科救急情報センターについては、都道府県、医師会等関係団体及び医療機関は、国民や医療従事者に対してさらに周知し、より実効性のあるものとするよう取り組むべきとし、さらに、既存の精神科救急情報システム等を充実し、病院群輪番型精神科救急医療施設が適切に対応できるような体制の推進も必要と言及しています。

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