[改定速報] 26年度改定短冊提示、亜急性期を「地域包括ケア病棟」に改組

[中央社会保険医療協議会 総会(第270回 1/29)《厚生労働省》]

平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2014年 01月 29日

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 厚生労働省は1月29日に、中医協総会を開催した。
 この日は厚労省当局からいわゆる「短冊」が示され、これに基づいた議論を行った。
 
 「短冊」とは、新点数を除いた点数表の新旧対照表という位置づけだ。改定(新設を含む)される点数項目について、現行の内容(点数、算定要件、施設基準)と改定案を整理している。
 ポイントを絞って眺めてみよう。
 
 
◆7対1・10対1一般病棟、経過措置おいたうえで絞込みへ
 
●7対1・10対1一般病棟入院基本料
◎「急性期医療」を行うにふさわしい病棟へのいわば絞込みを目指し、長期入院の是正や重症患者への特化などを図る(p51〜p56参照)
・特定除外制度を廃止する(「療養病棟と同じ点数の算定」あるいは「出来高算定だが平均在院日数計算の対象に加える」のいずれかを病院が選択する)(ただし、一定数以下の病床については出来高算定の継続を認める)
・重症度・看護必要度の評価項目を見直し(「血圧測定」の削除や、「抗悪性腫瘍剤の内服」の追加など)、名称を「重症度、医療・看護必要度」に変更する
・救命救急入院料を算定する治療室を有する病院の特例(重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者が15%以上でなくともよい)を廃止する
・「自宅、回復期リハ、地域包括ケア病棟(旧、亜急性期)、在宅復帰機能強化加算(新設)の届出を行う療養病棟、居住系介護施設、在宅復帰・在宅療養支援機能加算の届出を行う介護老健施設に退院した患者の割合が一定以上」という施設基準を新設する
・データ提出加算の届出を新たに施設基準に加える
・これらの見直しには一定の経過措置が設けられる
 
 
●短期滞在手術等基本料
◎算定数の増加を目指すとともに、いわば「平均在院日数短縮ツール」としての活用を是正する(p61〜p63参照)
・基本料1、2に含まれた手術等の一部(K282 水晶体再建術など)と一部の検査(D237 終夜睡眠ポリグラフィーなど)を基本料3に移管して全包括点数を算定する
・基本料3のみを算定した患者は平均在院日数の計算対象から原則として除外する
・診療所は対象外とする
 
 
●総合入院体制加算
◎より高度な医療を行う一般病棟について評価の充実を行う(p64〜p66参照)
・加算1と加算2に細分化し、加算1(高点数を設定する見込)では「人工心肺を用いた手術件数や悪性腫瘍手術件数、腹腔鏡下手術件数などの実績がある」「救命救急医療(第3次救急)として24時間体制の救急を行う」「精神病床を有する」などの施設基準が新たに設定される。
・加算1、加算2(新規の届出病院)いずれにおいても地域包括ケア病棟(旧、亜急性期)・療養病棟の併設を認めない(急性期医療提供への純化を求める)(p66参照)
 
 
◆療養病棟も、在宅復帰率などの実績高いところは高評価へ
 
●療養病棟
◎療養病棟の中でも、「重症の患者を積極的に診ている病棟」「在宅復帰に積極的な病棟」を高く評価する(p71〜p74参照)
・療養病棟入院基本料1において、「1ヵ月以上入院していた患者の在宅復帰率が一定以上」「退院患者の在宅生活が一定期間以上継続」「病床回転率が一定以上」の場合の【在宅復帰機能強化加算】を新設する
・療養病棟入院基本料1において、自院で人工腎臓等を行っている患者に対する【慢性維持透析管理加算】を新設する
 
 
◆亜急性期を「地域包括ケア病棟入院料等」に改組して、急性期からの受け皿に
 
●地域包括ケア病棟入院料、地域包括ケア入院医療管理料(旧、亜急性期入院医療管理料)
◎亜急性期について、「急性期からの受入れ(post acute)」「在宅復帰支援」「在宅患者の急変時の対応(sub acute)」という3つの機能を担うにふさわしい病床とするために、診療報酬体系を整理する(p75〜p77参照)
・亜急性期入院医療管理料(病室単位の届出)を、一定の経過措置をおいたうえで病棟単位の【地域包括ケア病棟入院料】と病室単位の【地域包括ケア入院医療管理料】に改組する
・算定可能日数に上限を設ける(現在の亜急性期は60日)
 
[施設基準]
(1)疾患別リハまたはがん患者リハの届出を行っている
(2)入院医療管理料は病室単位の評価とし、届出は一定規模以下の医療機関に限る
(3)療養病床については、届出可能病棟を限定する
(4)一定規模以下の医療機関では、地域包括ケア病棟入院料のみの届出でも差支えない
(5)一定の時点で10対1、13対1、15対1の届出病院は、地域包括ケア病棟入院料を届出ている期間中、7対1入院基本料を届出ることはできない
(6)看護職員、専従の常勤理学療法士、常勤作業療法士、常勤言語聴覚士、専任の在宅復帰支援担当者について配置要件を定める
(7)一般病棟用の重症度、医療・看護必要度が一定以上の患者を一定割合以上入院させている
(8)「在宅療養支援病院」「在宅療養後方支援病院(新設)として一定の在宅患者受入実績がある」「2次救急医療施設」「救急告示病院」のいずれかである
(9)データ提出加算の届出を行っている
(10)リハ提供患者について、一定以上のリハ提供を行っている
(11)地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)1では、在宅復帰率が一定以上である
 
 このうち(5)は、たとえば「10対1病院が、地域包括ケア病棟の看護配置を薄くし、別の病棟に看護師を寄せて7対1を算定できるようにする」といったケースの発生を未然に防止するための規定であると厚労省は説明している(p76参照)。
 
 なお、入院料(入院管理料)1では「在宅復帰率」が施設基準に盛込まれるが、入院料(入院管理料)2では盛込まれない点に留意が必要が。
 また看護職員、看護補助者を手厚く配置した場合の加算を設けることになる。
 
 
◆在支診や急変時対応、全身麻酔手術などの機能を複数もつ有床診を高評価へ
 
●有床診療所入院基本料
・地域包括ケアの中で複数の機能を担う有床診療所について高い評価を行う(有床診療所入院基本料に点数の高い区分を新設する)(p85〜p91参照)
[高い点数区分の有床診療所入院基本料の施設基準]
(1)看護配置に係る施設基準に適合している
(2)「在支診で訪問診療の実施実績あり」「急変時の入院件数が一定以上」「夜間看護配置加算1または2を届出ている」「時間外対応加算1を届出ている」「新規入院患者のうち、他の保険医療機関の一般病床からの受入が一定以上」「看取り実績が一定以上」「全身麻酔等の手術患者数が一定以上」「医療資源の少ない地域に属する」などのうち2項目以上に該当する
 
 なお、厚労省保険局の宇都宮医療課長は「もっとも低い有床診療所入院基本料について、中医協論議を踏まえて少し引上げる」との考えを示している。
 
・看護補助者を配置している場合の【看護補助配置加算】を新設する(p85〜p86参照)
・管理栄養士の配置義務を削除し、管理栄養士を配置した場合の【栄養管理実施加算】を復活させる(p90参照)
・栄養ケアステーションや他の医療機関と連携し、入院患者の栄養管理を行うことを【入院栄養食事指導料】の中で評価する(p90〜p91参照)
 
 
◆中小病院・診療所の主治医機能を評価する包括点数と加算を新設
 
●地域包括診療料(新設)
◎中小病院・診療所の主治医機能(かかりつけ医機能)を評価するために、包括点数を新設する(p92〜p94参照)
[包括範囲]
 以下を包括範囲から除外する。
(1)(再診料の)時間外加算、休日加算、深夜加算および小児科特例加算
(2)地域連携小児夜間・休日診療料、診療情報提供料(II)
(3)在宅医療に係る点数(訪問診療料を除く)
(4)薬剤料(処方料、処方せん料を除く)
(5)患者の病状の急性増悪時に実施した検査、画像診断および処置に係る費用のうち、所定点数が550点以上のもの
 
[算定要件]
(1)対象患者は、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症の4疾病のうち2つ以上(疑いは除く)を有する患者とする
(2)対象医療機関は、診療所および許可病床数200床未満の病院とする(1人の患者に対して2医療機関まで算定可能)
(3)関係団体主催の研修を修了した担当医を決定する(経過措置あり)
(4)後に述べるような「指導、服薬管理」「健康管理」「介護保険に関する相談等」「在宅医療、24時間対応」を行っている
(5)地域包括診療料と地域包括診療加算はどちらか一方に限り届出ることができる
(6)初診時には算定できない
 
○指導、服薬管理等
(ア)患者の同意を得て、計画的な医学管理の下に療養上必要な指導・診療を行う
(イ)他の医療機関と連携の上、患者がかかっている医療機関をすべて把握するとともに、処方されている医薬品をすべて管理し、カルテに記載する
(ウ)当該患者について院内処方、院内での検査を行い、その旨を院内に掲示する(診療所では、24時間対応の薬局と連携することなどを条件に院外処方を認める)
(エ)この点数を算定している場合は、7剤投与の減算規定の対象外とする
 
○健康管理等
(ア)健康診断・検診の受診勧奨を行い、その結果等をカルテに記載するとともに患者にわたし、評価結果をもとに患者の健康状態を管理する
(イ)健康相談を行っている旨を院内掲示する
(ウ)敷地内禁煙である
 
○介護保険に係る相談等(いずれか1つ)
(ア)居宅療養管理指導または短期入所療養介護等を提供している
(イ)地域ケア会議に年1回以上出席している
(ウ)ケアマネを常勤配置し、居宅介護支援事業所の指定を受けている
(エ)介護保険の生活期リハを提供している
(オ)同一敷地内に介護サービス事業所を併設している
(カ)介護認定審査会に参加した経験がある
(キ)所定の研修を受講している
(ク)医師がケアマネ資格を有している
(ケ)病院では総合評価加算の届出または介護支援連携指導料を算定している
 
○在宅医療の提供および24時間の対応(すべて)
・診療所の場合は
(ア)時間外対応加算1を算定している
(イ)常勤医師が3人以上在籍している
(ウ)在支診である
・病院の場合は、
(ア)2次救急指定病院または救急告示病院である
(イ)地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)を算定している
(ウ)在支病である
 
 
●地域包括診療加算(新設)
◎診療所を対象として、主治医機能(かかりつけ医機能)を発揮するところへの加算を新設する(p95〜p97参照)
(1)対象患者は、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症の4疾病のうち2つ以上(疑いは除く)を有する患者とする
(2)対象医療機関は、診療所のみ(1人の患者に対して2医療機関まで算定可能)
(3)関係団体主催の研修を修了した担当医を決定する(経過措置あり)
(4)後に述べるような「指導、服薬管理」「健康管理」「介護保険に関する相談等」「在宅医療、24時間対応」を行っている
(5)地域包括診療料と地域包括診療加算はどちらか一方に限り届出ることができる
(6)初診時には算定できない
 
○指導、服薬管理等
(ア)患者の同意を得て、計画的な医学管理の下に療養上必要な指導・診療を行う
(イ)他の医療機関と連携の上、患者がかかっている医療機関をすべて把握するとともに、処方されている医薬品をすべて管理し、カルテに記載する
(ウ)当該患者について院内処方を行う(ただし24時間対応の薬局と連携することなどを条件に院外処方を認める)
(エ)この点数を算定している場合は、7剤投与の減算規定の対象外とする
 
○健康管理等
(ア)健康診断・検診の受診勧奨を行い、その結果等をカルテに記載するとともに患者にわたし、評価結果をもとに患者の健康状態を管理する
(イ)健康相談を行っている旨を院内掲示する
(ウ)敷地内禁煙である
 
○介護保険に係る相談等(いずれか1つ)
(ア)居宅療養管理指導または短期入所療養介護等を提供している
(イ)地域ケア会議に年1回以上出席している
(ウ)ケアマネを常勤配置し、居宅介護支援事業所の指定を受けている
(エ)介護保険の生活期リハを提供している
(オ)同一敷地内に介護サービス事業所を併設している
(カ)介護認定審査会に参加した経験がある
(キ)所定の研修を受講している
(ク)医師がケアマネ資格を有している
 
○在宅医療の提供および24時間の対応(いずれか1つ)
(ア)時間外対応加算1または2を算定している
(イ)常勤医師が3人以上在籍している
(ウ)在支診である
 
 
●大病院における初診料・外来診療料
◎外来機能分化を進めるために、紹介・逆紹介率の低い大病院の点数適正化をさらに推進する(p98〜p99参照)
・特定機能病院、許可病床500床以上の地域医療支援病院(24年度改定時は一般病床500床以上の地域医療支援病院)について、紹介率・逆紹介率要件を厳しくする(満たさない場合には初診料・外来診療料を減額する)
・許可病床数500床以上(ただし一般病床が200床未満を除く)のすべての病院について、紹介率・逆紹介率要件を設定する(満たさない場合には初診料・外来診療料を減額する)
・年に1回、紹介率・逆紹介率等を地方厚生局に報告する
 
 
◆機能強化要件満たさず連携もできないが、看取り等の実績ある在支診を評価
 
●機能強化型の在宅療養支援診療所・病院(p100〜p101参照)
・施設基準として、「過去1年間の緊急往診実績」「過去1年間の看取り実績」を見直す
・連携型の機能強化型在支診・病について、個別の要件(緊急往診実績、看取り実績)を設定する
 
 
●在宅療養実績加算(新設)(p101参照)
・在宅医療を行う常勤医師3名を確保することはできないが、十分な緊急往診・看取りの実績を有する在支診・病を評価する【在宅療養実績加算】を新設する(緊急往診、ターミナルケア加算、在宅時医学総合管理料、特定施設入居時等医学総合管理料、在宅がん医療総合診療料の引上げ)
 この加算について厚労省は、「地域の事情などで他医療機関と連携して機能強化型になることができず、また単独で機能強化型となることもできないが、緊急往診や看取りの実績が高い医療機関を評価する」ものと説明している。
 
 
●在宅療養後方支援病院(新設)(p102〜p103参照)
・在宅療養を行う患者の後方受入を担当する『在宅療養後方支援病院』(新設)が在宅患者緊急入院診療加算を算定できるようにし、当該医療機関が後方受入を行った場合を評価する
[施設基準]
(1)一定規模以上の病院である
(2)入院希望患者について緊急時にいつでも対応し、必要があれば入院を受入れる(具体的な運用は通知等で示される)
(3)入院希望患者に対して在宅医療を提供している医療機関と連携し、診療情報の交換をしている
・在宅療養後方支援病院について、在宅医療を行う医師と共同して訪問診療等を行った場合の【在宅患者共同診療料】を新設する
 
 
●不適切な在宅医療への対応(p104〜p110参照)
・在宅時医学総合管理料、特定施設入居時等医学総合管理料について、同一建物における同一日の複数訪問時の点数を新設し、適正化を行うとともに、在支診・在支病以外の評価を引上げる
・訪問診療料、訪問看護療養費について同一建物における評価を引下げる
 
 
●機能強化型訪問看護管理療養費(新設)(p111〜p112参照)
・24時間対応や重症患者への訪問看護を積極的に行う訪問看護ステーションを評価する新点数を設定する
[算定要件]
(1)常勤看護職員が一定以上(サテライト配置も含む)
(2)24時間対応体制加算の届出を行っている
(3)訪問看護ターミナルケア療養費またはターミナルケア加算の算定数が一定以上
(4)末期のがん患者などの重症者が一定以上
(5)指定訪問看護事業所と居宅介護支援事業所が同一敷地内に設置され、かつ、当該訪問看護事業所の介護サービス計画が必要な利用者のうち、当該居宅介護支援事業所により介護サービス計画を作成されている者が一定程度以上
(6)地域住民等に対する情報提供や相談、人材育成のための研修を実施していることが望ましい
 このうち(1)の常勤の考え方について厚労省の宇都宮医療課長は「実際に常勤で働く看護師の数をカウントしたい。非常勤について常勤換算して何人を満たせばよいとするものではない」との考えを明らかにしている。
 
・訪問看護ステーション(機能強化型、従来型ともに)に、毎年7月1日現在の届出内容報告義務を課す(p112参照)
 
 
◆急性期病棟でのADL低下防止に向け、リハ職配置を評価する加算を新設
 
●回復期リハビリテーション病棟入院料(p78〜p80参照)
・入院料1を算定する病棟において、「リハビリ医療経験が一定以上等の専従常勤医師、退院調整経験が一定以上の専従社会福祉士を配置」することを評価する【体制強化加算】を新設する
・入院料1を算定する病棟において、休日リハビリテーション提供体制加算を包括化する
・患者に適したリハを実施するため、患者の自宅等を訪問し、退院後の住環境等を評価した上で、リハビリ総合実施計画を作成した場合の評価として、リハビリ総合計画評価料に【入院時訪問指導加算】を新設する
 
 
●要介護被保険者に対する維持期の運動器・脳血管疾患等リハビリテーション(p135〜p137参照)
・医療保険給付とする経過措置を平成28年度まで延長する
・過去1年間に介護保険における通所リハ(予防含む)を実施した実績のない医療機関が入院中の患者以外の者(要介護被保険者)に対して、維持期の運動器・脳血管疾患等リハを実施する場合は、所定点数を減額する
・介護保険への移行を進めるために、【介護保険リハビリテーション移行支援料】を新設する
 
 
●ADL維持向上等体制加算(新設)(p174〜p175参照)
◎急性期病棟におけるADL低下を防止し平均在院日数の短縮等を図る
・7対1・10対1病棟において、リハ専門職配置を評価する【ADL維持向上等体制加算】を新設する
・当該加算を算定している患者について疾患別リハビリテーション等を算定できない(併算定はできないという意味)
[施設基準]
(1)当該病棟に専従の理学療法士、作業療法士または言語聴覚士を一定以上、常勤配置する
(2)当該保険医療機関において、リハビリ医療に関する臨床経験が一定以上、またはリハビリ医療に係る研修を修了した常勤医師が一定以上勤務している
(3)当該病棟の直近1年間の新規入院患者のうち、65歳以上の患者が一定以上、または循環器系疾患、新生物、消化器系、運動器系または呼吸器系の疾患の患者が一定以上である
(4)アウトカム評価として、「退院患者のうち、入院時よりも退院時にADLが低下した者の割合が一定未満である」「入院患者のうち、院内で発生した褥瘡を保有している入院患者の割合が一定未満である」といういずれの要件も満たす
 
 
●脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料(p176〜p179参照)
・これまで疾患別リハでは、早期リハビリテーション加算、初期加算を入院患者にしか算定できなかったが、「当該医療機関を退院した患者」と「地域連携診療計画管理料を現に算定した患者(つまり脳卒中と大腿骨頸部骨折の地域連携パス)」については外来でも加算を算定できることとする
 
 このほか、廃用症候群に対する脳血管疾患等リハの点数を適正化する一方で、疾患別リハについては点数引上げが行われる(p180〜p182参照)。
 
 
◆精神科の急性期病棟では、医師16対1配置を評価する加算を新設
 
●精神科急性期医師配置加算(新設)(p148参照)
・精神科の急性期病棟において、医師の16対1配置を評価する【精神科急性期医師配置加算(16対1)】を新設する
[算定要件]
(1)新規入院患者のうち一定以上が、一定期間以内に退院し在宅へ移行する
(2)過去1年間の時間外、休日または深夜における入院件数が一定以上である
(3)過去1年間の時間外、休日または深夜における外来対応件数が一定以上である
 
 
●院内標準診療計画加算(新設)(p148〜p149参照)
・クリティカルパスに基づいた計画的な診療を行う精神科医療機関を評価するために、【院内標準診療計画加算】を新設する
[算定要件]
 入院日から起算して一定期間以内に医師、看護師および精神保健福祉士等が共同して、院内標準診療計画書(クリティカルパス)を策定し、当該計画書に基づき診療を行い、当該患者が一定期間以内に退院すること(退院時1回のみ算定)
 
 
●精神保健福祉士配置加算(新設)(p149〜p150参照)
・精神科の慢性期病棟において、精神保健福祉士の配置等で平均在院日数短縮等が見込まれることから、【精神保健福祉士配置加算】を新設する
[施設基準]
(1)当該病棟に専従の常勤精神保健福祉士を一定以上配置する
(2)(1)とは別に、退院支援部署または地域移行支援室に常勤精神保健福祉士を一定以上配置する
(3)措置入院、鑑定入院等の入院患者をのぞいて、当該病棟の新規入院患者のうち一定以上が1年内に退院し、在宅へ移行する
 
 
●精神科重症患者早期集中支援管理料(新設)(p151〜p153参照)
・長期入院後の退院患者や、入退院を繰返す病状が不安定な患者の地域移行を推進する観点から、24時間体制の多職種チームによる在宅医療に関する評価として、【精神科重症患者早期集中支援管理料】を新設する(多職種チームによるアウトリーチの評価)
 
 なお、向精神薬の多剤処方に対する減額措置が厚労省当局から提案されているが、減額を行うか否かを含めて調整中とされている(p160〜p161参照)。学会等からの批判が非常に強いためだ。
 
 
◆認知症患者への集中的なリハ提供を評価する点数を新設
 
●認知症患者リハビリテーション料(新設)(p163〜p164参照)
・認知症治療病棟入院料を算定する患者、または認知症の専門医療機関に入院している重度の認知症患者に対する短期の集中的な認知症リハビリテーションを評価するために【認知症患者リハビリテーション料】を新設する
[算定要件]
(1)認知症治療病棟入院料等を算定する患者、または認知症の専門医療機関に入院している重度の認知症患者に対し、一定期間内に、週に一定日数を限度として、1回一定以上のリハビリを施行した場合に算定する
(2)理学療法士、作業療法士または言語聴覚士と患者が1対1で行う
(3)患者数は、従事者1人につき1日一定以下とする
(4)当該患者について、リハビリテーション総合計画評価料を算定している
 
[施設基準]
(i)認知症患者の診療経験を一定以上有する、または認知症リハに係る研修を修了した、専任の常勤医師が一定以上配置されている
(ii)専従の理学療法士、作業療法士または言語聴覚士が一定以上勤務している
 
 
◆救急医療管理加算の「準ずる状態」、削除されずも点数引下げへ
 
●救急医療管理加算(p165〜p166参照)
◎重篤な患者を列挙しきれないために設けた「(意識障害など)に準ずる状態」を不適切に活用して加算を算定しているケースの是正に向けた見直しを行う
・救急医療管理加算を加算1(意識障害などの例示に該当するケース)と加算2(準ずる状態)に分離し、加算2の点数を引下げる
・加算2については、患者の概要の報告を求めることとする
 
 
◆13対1・15対1病棟に、夜勤72時間要件のみ満たせない場合の点数を設定
 
●病棟薬剤業務実施加算(p261〜p262参照)
・療養病棟、精神病棟における算定日数制限(4週間まで)を緩和する
 この点、診療側の三浦委員(日薬理事)は「12週程度まで緩和してほしい。近く、療養病棟等における薬剤業務の内容を提示し、12週との提案に一定のエビデンスがあることを説明したい」と要望した。
 これに対し支払側の白川委員は「算定日数の緩和は理解するが、4週以降は点数の引下げなどをすべきである」とコメントしている。
 
 
●後発医薬品調剤体制加算(p264〜p266参照)
・後発医薬品調剤体制加算について「後発品調剤率が高いほうにより重点を置いた評価」とする(これまでの3段階評価から2段階評価に整理する)
 
 
●400床以上の病院で明細書無料発行が完全義務化されることに伴い、400床未満の病院と診療所でも「レセコン改修時期等の届出」「1000円を超える費用を徴収している場合の根拠提示」を求めることする(p240参照)
 
 
●月平均夜勤72時間要件のみを満たせない13対1・15対1病棟の特別入院基本料を設定する(入院基本料の8割程度)(p258〜p259参照)
 この点、支払側の花井圭子委員(連合総合政策局長)を中心に反対意見が強く出され、診療側委員との衝突があったが、白川委員が「7対1の特別入院基本料は実質ゼロ件であるという。13対1・15対1でどうなるのか、特別入院基本料を算定する病院が出現した場合には、その理由などを調査し、検証していくことを条件に導入を認める」との考え方を示して収めている。
 
 
●医薬品価格の妥結率が低い医療機関等の適正化
 医薬品価格妥結率が低いと薬価調査等の障害になることから、医療機関、薬局において価格妥結率が一定以下の初診料、再診料、外来診療料、調剤報酬を減額する(p274〜p277参照)。
 
 
◆消費税率8%への対応、「公益裁定」での決着へ
 
 厚労省当局は、消費増税対応として「初診料を12点」「再診料を3点」「入院料等を2%程度」引上げる方針を短冊上で示している(p278〜p311参照)。
 
 しかし、これまでには上記の方針(案2)のほかに、「初診料を8点、再診料を2点、入院料等を2%程度」引上げる考え方(案1)も示していた。
 案2は「原則として基本料のみで消費増税対応をする」もの、案1は「基本料と個別点数(検査や手術など)で消費増税対応をする」ものだ。
 案2は診療側が、案1は支払側がそれぞれ推していたが、厚労省当局は案2を採用したい考えのようだ。
 この日の議論では両者の見解の溝は埋まらず、公益代表委員による裁定(公益裁定)が行われる形で決着がついた。
 森田会長(学習院大法学部教授)は「来週には公益裁定案を提示する。これには両側とも従っていただく」と念を押している。
 
 
◆DPC改革に伴う激変緩和調整基準、24年度改定と同じく2.0%で設定
 
 DPCについては、1月22日の会合で「調整係数の機能評価係数IIへの置換え率を50%とする」ことなどが固められた。
 これを受け厚労省では医療機関別係数の計算を進め、その結果、個別医療機関の係数が改定前後で一定程度変動することがわかった。
 この点、変動が大きくなると医療機関経営が不安定になりかねず、地域の医療提供体制への影響も無視できない。
 そこで、平成26年度改定において、前回(平成24年度)と同じく「推計診療報酬変動率(出来高部分も含む)が2.0%を超えて変動しないように医療機関別係数の調整を行う」ことが提案され、了承されている(p43〜p44参照)。
 厚労省当局は、調整対象病院は101施設と見込んでいる(変動率がプラス2.0%を超える病院が58施設、マイナス2.0%を超える病院が43施設)。
 
 
◆特定保険医療材料の機能区分見直しを了承
 
 この日は、特定保険医療材料の機能区分見直しについても了承された。たとえば、【中心静脈用カテーテル】の[末梢留置型中心静脈カテーテル・逆流防止機能付き]を、『シングルルーメン』と『マルチルーメン』に細分化するなどの見直しが行われる(p16〜p33参照)(p34〜p36参照)(p37〜p42参照)。
 
 このほか、次の医療機器の保険適用についても了承している。いずれも区分C2(新機能・新技術)で、平成26年4月から保険収載される(p3〜p10参照)。
●保存的療法が無効または適用できない患者に対し、便失禁の改善を目的とした仙骨神経刺激療法に使用される植込み型の神経刺激システムである『InterStim II 仙骨神経刺激システム』(日本メドトロニック社)
●コンピュータ支援設定・製造ユニット(CAD/CAMシステム)を用いた切削加工により歯科用補綴物を作製する際に使用する『ジーシーグラディアブロック』(ジーシーデンタルプロダクツ社)

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