[改定速報] 費用対効果評価、26年度導入は見送り、28年度試行導入目指す

[中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会(第15回 12/25)《厚生労働省》]

平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2013年 12月 25日

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 厚生労働省は12月25日に、中医協の費用対効果評価専門部会を開催した。
 この日は、「費用対効果評価の今後の検討について」と題する見解を、一部分を除き取りまとめている。
 
 費用対効果評価の検討は、中医協の森田会長が「保険財政が苦しくなる中では、いずれあらゆる新規技術を保険導入するということはできなくなる。その際には、保険導入すべきか否かを判断する基準が必要になる。1つの基準として費用対効果評価が考えられるのではないか」と発言したことが発端となって始まった。
 その後、専門部会が設置され、我が国における「医療技術に関する費用対効果評価」研究の第一人者である福田参考人(国立保健医療科学院上席主任研究官)、田倉参考人(阪大大学院医学系研究科教授)、池田参考人(国際医療福祉大薬学部教授)らを交えた、勉強会形式の検討が進められた。
 
 検討開始当初は、「26年度改定での試行導入を目指す」(当時の厚労省保険局医療課の迫井企画官、現老健局老人保健課長)ことを念頭に議論が進められたが、診療側の鈴木委員(日医常任理事)らは「拙速は好ましくない」との立場をとり、議論はなかなか進んでいかなかった。
 
 今般の見解では、導入時期について「平成28年度診療報酬改定における試行的導入も視野に入れながら、引続き検討していってはどうか」と一歩後退している(p8参照)。
 しかし鈴木委員は、この表現でも拙速であると強調。「評価手法などの議論が進む一方で、評価組織の議論がまったくなされていないなど、バランスを欠いた検討が進んでいる。そうした中で『試行ありき』で議論が進むことは好ましくない」と述べ、もう少し柔軟な表現にすべきと主張。
 一方、支払側の白川委員(健保連専務理事)は「28年度には最低でも試行導入をすべきである。今後の人事異動などで検討が曖昧になってはいけない」と反論。
 両者の溝は埋まらず、関原部会長(日本対がん協会常務理事)が「私と森田会長、厚労省当局で表現を検討する」と議論を引き取っている。
 近く、委員間で持ち回りの承認を得るなどし、正式に見解をとりまとめる予定だ。
 
 見解のポイントは次のとおりである(p4〜p8参照)。
●企業に費用対効果評価が可能となるようなデータ・分析の提出を要請し、それに基づいた具体的な検討を行う
●保険収載の可否の決定や保険償還価格への反映は行わない(当面は検討材料にとどめる)
●企業から提出されたデータ・分析について、当面は、参考人等が再分析等の検証を行い、その結果を部会で検討する際の材料に用いる
●効果指標は、質調整生存年(QALY)、生存年(LY)、臨床検査値、治癒率、重症度、発生率等から、効果をもっともよく表すと考えられるものを選択する(複数も可能)
●データ・分析の内容の精査を行い、分析手法等について定めるガイドライン等の整備の必要性などについて検討を行う
●品目ごとに、データ・分析結果に基づいて、部会で試行的にAppraisal(医療上の必要性などの検討)を行う
●医薬品、医療機器を中心に検討を進めるが、先進医療として実施している医療者等の技術も対象として費用対効果の検討を行う
●費用対効果評価を実施する組織のあり方等についても検討を行う
 
 
 なお、この日は池田参考人から「薬剤溶出性ステント」(p11〜p42参照)、田倉参考人から「乳がんに対する分子標的薬」(p43〜p70参照)を例にとった費用対効果評価の実際、福田参考人から「医療経済評価研究における分析手法に関するガイドライン」(p71〜p119参照)が提示されている。

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