[改定速報] 26年度改定率、消費増税対応除くと「ネット」でマイナス1.26%

[平成26年度診療報酬改定率(12/20)《内閣》]

平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2013年 12月 20日

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 政府は12月20日に、平成26年度の診療報酬改定率を決定した。
 これまでの概念であったネット(薬価の引下げ分と診療報酬本体引上げ分との差引き)で見ると、消費増税対応分を加味すればプラス0.1%となったが、消費増税対応分を除いた実質はマイナス1.26%という状況だ(p2参照)。
 
 
◆消費増税加味すると、いわゆるネットで0.1%のプラス改定だが・・・
 
 改定率をめぐっては、早い段階から財務省が「マイナス改定」「薬価の引下げ分を診療報酬本体に乗せることは認めない」という方針を打ち出していた。
 これに対し、日本医師会や自民党有志議員で構成される「国民医療を守る議員の会」では、「消費増税分は社会保障の充実にあてるものと国民と約束しており、プラス改定が必要」「医薬品と治療は一体である」と猛反発。
 また田村厚生労働大臣は、「病床機能分化・強化等を行うために、診療報酬のプラス改定が必要」と強く訴えてきた。
 
 平成26年度の予算編成直前になっても財務省と厚労省の溝はなかなか埋まらず、折衝を繰り返した結果、ようやく合意に至り、改定率が決定したものだ。
 
●消費増税対応のみで、診療報酬本体と薬価等合計でプラス1.36%
 まず、消費増税対応分として「プラス1.36%」が確保されている。この内訳は、診療報酬本体「プラス0.63%」、薬価「プラス0.64%」、材料価格「プラス0.09%」となっている。
 診療報酬本体について、より詳しくみると、医科「プラス0.71%」、歯科「プラス0.87%」、調剤「プラス0.18%」となっている(p2参照)。これは医療経済実態調査をもとに、課税対象の取引状況を分析し、それをベースに割り振ったものだ。
 
●消費増税対応除いて考えると、いわゆるネットでマイナス1.26%の減額改定
 また、消費増税対応とは別に、「医療機関の機能分化・連携、在宅医療の充実等に取組む中で、急性期病床から急性期後の受け皿病床への移行が円滑に進むよう、消費税増収の社会保障充実分の一定程度を診療報酬本体の引上げに充当する」こととなった(p1参照)。田村大臣の主張が一定程度受入れられたものだ。
 これを加味した改定率(社会保障の充実+消費増税対応)を見ると、診療報酬本体「プラス0.73%」で、内訳は医科「プラス0.82%」、歯科「プラス0.99%」、調剤「プラス0.22%」となっている(p2参照)。
 
 また、薬価、材料価格については市場実勢価格にあわせた見直し(価格引下げ)も行われる。
 これを加味した改定率(通常の薬価等改正分+消費増税対応分)を見ると、薬価等全体「マイナス0.63%」で、その内訳は薬価「マイナス0.58%」、材料価格「マイナス0.05%」という状況だ(p2参照)。
 
 これまでの改定で用いられてきた、いわゆるネット改定率(薬価引下げ分と診療報酬本体引上げ分との差)は、消費増税対応を加味するとプラス0.1%(薬価マイナス0.63%、診療報酬本体プラス0.73%)だ。
 しかし、消費増税対応分を除くとマイナス1.26%(薬価マイナス0.63%マイナス0.73%=マイナス1.36%、診療報酬本体0.73%マイナス0.63%=プラス0.1%)となっており、非常に厳しい改定内容であることがわかる(p2参照)。
 
 なお、このほかに「後発医薬品の価格設定見直し」の措置を講ずるとしている(p2参照)。
 
 
◆病床機能の分化・強化等のための財政支援措置、900億円規模の基金設置
 
 ところで、安倍首相は10月1日に「消費増税分は、すべて社会保障の充実にあてる」ことを明言している。
 今回も、その点を再確認したうえで「子ども・子育て支援の充実、医療・介護の充実、難病対策、年金制度改善」に4962億円が充当される(p1参照)。
 
 このうち医療・介護の充実の内容を見ると、上記の診療報酬改定(消費増税対応等)に353億円が充てられ、病床機能の分化・強化等のための『新たな財政支援制度の創設』に544億円(ただし別途360億円の公費が乗せられ、904億円の基金を創設する)、地域包括ケアシステムの構築に43億円が充当される(p4参照)。
 
 このほか、国保の低所得者保険料軽減措置拡充に612億円、高額療養費制度の見直しに42億円、難病制度の確立等に298億円が充てられる見込だ(p4参照)。

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