[改定速報] 26年度DPC改革案を了承、病院の合併・分割時のルールも設定

[中央社会保険医療協議会 総会(第265回 12/13)《厚生労働省》]

平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2013年 12月 13日

» この記事を書いたメディアのページへ
 厚生労働省は12月13日に、中医協総会を開催した。
 この日のテーマはDPC制度改革で、一部を除き了承されている。
 
 DPC制度改革については、下部組織であるDPC評価分科会で検討が進められ、12月9日に改革案がまとめられた。
 詳細は既にお伝えしたとおりだが、大枠を改めておさらいしてみよう。
 
【基礎係数(医療機関群のあり方)】(p3〜p6参照)
●II群(大学病院本院なみの医療を行っている病院)の要件のうち「診療密度」について、最新版の外保連試案(第8.2版)を活用する
●基礎係数(医療機関群のあり方)については、継続して検討していく
 
 
【機能評価係数I】(p7〜p8参照)(p41〜p43参照)
●機能評価係数I(出来高点数表の各種加算を係数化したもの)について、現行の評価方法を継続する
 
 
【機能評価係数II】(p9〜p26参照)(p44〜p64参照)
(1)データ提出指数(p9〜p15参照)
●名称を「保険診療指数」に変更し、指数の趣旨を「質が遵守されたDPCデータ提出を含めた適切な保険診療実施・普及のための取組みを評価する」ものに拡大(p9参照)
●「部位不明・詳細不明コードの使用割合が20%以上の場合に、指数を5%減点する」仕組みは継続(p10参照)
●矛盾するデータが1%以上、未コード化データが20%以上の場合の減算規定を設ける(p10〜p12参照)
●I群病院(大学病院本院)において、指導医療官(厚労省職員として保険者や保険医療機関等に保険診療に関する指導や監査を行う)を一定期間(1年程度を想定)派遣した場合、指数を加算する(p12〜p14参照)
 
 
(2)救急医療指数(p15参照)
●重症症例をより公平に評価するため、レセプト審査との整合性を高めることを目的として、「重症な患者について算定すると考えられる入院料(A205【救急医療管理加算】やA300【救命救急入院料】など)を入院初日から算定していること」を評価対象患者の要件に加える
 
 
(3)地域医療指数(p15〜p19参照)
●現在の評価対象である10項目(脳卒中地域連携やがん地域連携など)に、「急性心筋梗塞の24時間診療体制」「精神科身体合併症の受入体制(p94〜p107参照)」を加えて12項目とする(p15〜p16参照)
●現行評価項目のうち「がん拠点病院」に、「小児がん拠点病院」を追加し、「地域がん診療病院」「特定領域がん診療病院」を27年度から追加するかどうかを検討する(p16〜p17参照)(p108〜p117参照)
●現行評価項目のうち「災害時における医療」に、「新型インフルエンザ等対策にかかる指定地方公共機関の指定」を27年度から追加するかどうかを検討する(p17参照)(p118参照)
●評価上限ポイント(現在は全病院において、10項目中7ポイントで満点)をI群・II群と、III群で分ける(たとえばI・II群では12項目中10ポイントで満点、III群では12項目中8ポイントで満点など)(p17〜p18参照)
 
 
(4)後発医薬品指数(新設)(p20〜p21参照)
●当該医療機関の入院医療で使用される全薬剤(包括部分+出来高部分(退院時処方や手術で使用される薬剤など))を対象とし、後発品割合60%以上を満点として、連続値で評価する
 この提案に対しては、支払側委員から注文がついている。矢内委員(全国健康保険協会東京支部長)は、「後発品使用を推進するのであれば、むしろ『後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ』(p91〜p93参照)の目標値である60%を超えている病院を高く評価すべきではないか」と指摘。
 また、白川委員(健保連専務理事)は「DPCでは、後発品使用は病院側にはコスト削減というメリットがあるが、患者には大きなメリットがあるのだろうか。さらに、60%で満点という上限設定は不要ではないか」との疑問を呈している。
 この点、厚労省保険局医療課の佐々木企画官は「退院時処方など出来高部分でも後発品使用が進むと期待され、その点は患者負担減というメリットになると考えられる」と説明している。
 もっとも、こうした指摘があったことを重視し、厚労省当局は「再度、DPC分科会で議論を詰めてもらう」と述べている。
 
 
【算定ルール】
(1)7日ルール(現、3日ルール)(p27〜p30参照)(p65〜p71参照)
 3日ルールとは、「患者を一旦退院させて入院期間をリセットし、直後に再入院させて高いDPC点数を算定する」という弊害を是正するために盛込まれた、「退院後3日以内の再入院については、前回入院の『もっとも医療資源を投入した病名』と再入院時の『入院の契機になった病名』が同じ場合には、入院期間を通算する」という仕組みだ。
 ただし、厚労省調査で「再入院時の病名を操作し、入院期間の通算を免れていると考えられるケースが少なくない」ことが分かった。これに対処するために、26年度改定では3日ルールが次のように変更される。
(i)前回入院の『もっとも医療資源を投入した病名』と再入院時の『入院の契機となった病名』のDPC上2桁コード(MDC:主要診断群)が一致した場合に「一連」の入院とみなし、入院期間を通算する(現在は上6桁が一致する場合を一連とみなしている)
(ii)前回入院と再入院で『もっとも医療資源を投入した病名』が一致するにもかかわらず、再入院時の『入院の契機となった病名』が異なる場合には、その理由をレセプトの摘要欄に記載する
(iii)現在「3日以内の再入院」となっているところを、「7日以内の再入院」に拡大する
(iv)再入院時に、悪性腫瘍にかかる化学療法を実施する症例は、このルールの対象外とする(レセプトの摘要欄に化学療法を実施した旨を記載する)
(v)一連とみなされる場合でも、再入院までの退院期間は入院期間から除外する
 
 このうち(i)の見直しに対しては、診療側の万代委員(日病常任理事)から「上2桁では一連とみなせないケースも少なくないのではないか。精査してほしい」との指摘があった。支払側の白川委員も同旨の指摘を行い、「原則とするなど、柔軟な仕組みとすべきではないか」と提案。
 厚労省当局やDPC分科会の小山分科会長(東邦大医学部特任教授)は、こうした指摘を受止め「データを分析したうえで、再度、DPC分科会で精査する」ことを約束している。
 
 
(2)持参薬の取扱い(p31〜p32参照)
 持参薬については、病院によって対応がさまざま(一部病院では患者に「通常使用する薬剤を持参する」よう求めていたり、逆に一切の持参を認めなかったり)であり、統一したルールの策定が求められていた。
 しかし非常に難解なテーマであり、平成26年度改定では、次の点を明確にするにとどめている。
●当該病院に入院することがあらかじめ決まっている患者に対し、当該入院の契機となった傷病を治療するために使用することを目的とする薬剤については、特段の理由がない限り、当該病院の外来で事前に処方すること等によって患者に持参させ入院中に『使用』してはならない
●特段の理由がある場合には診療録に記載しなければならない
 
 上記の取扱い以外については、医療現場の実態を把握することが必要なため、厚労省当局では「様式1」「ナショナルデータベース(NDB)等のレセプト情報」を活用して、今後検討を継続することとしている。
 
 このテーマには「入院の契機となった傷病以外に用いる医薬品をどう扱うか」という論点もある。この点については、データを収集したうえで今後検討することとなっている。
 
 
【退院患者調査など】(p33〜p38参照)(p73〜p90参照)
●様式1(いわば簡易カルテ)について、退院先データの詳細な把握(医療機関へ転院したのか?在宅に戻ったのか?介護施設に入所したのか?など)等を把握できるように見直す
●様式3(施設情報)について、現在の「届出病床数」に加えて「許可病床数」「休止病床」を調査項目とする
●様式4(医科保険診療以外の診療情報)を、平成27年度以降から、様式1に統合して簡素化する
●外来EFファイル(外来診療患者の出来高点数情報)の提出を、I・II群病院のみならず、III群病院でも義務化する(現在はI・II群病院のみ義務化)
●退院患者調査等のDPC制度に関する調査を診療報酬体系において明確に位置づける(告示に記載する)
 
 
 平成26年度改定におけるDPC制度改革案については、「新設される後発医薬品指数の設定方法」「7日ルールにおける一連の入院とみなす際の基準(DPC上2桁コード)」の2点を除き中医協総会として了承された。
 この2点については、12月18日開催予定のDPC分科会で改めて検討され、年明けに中医協総会で詳細部分(地域医療係数における指数の重み付けなど)を議論することになる。
 
 なお、地域医療指数などを計算する際の基礎データ(たとえば後発品使用割合)には、「平成24年10月1日〜平成25年9月30日までの実績」「平成25年10月1日現在の施設基準届出状況」が用いられる(p133参照)。
 
 
◆病院の合併・分割に伴う、DPC制度への参加継続についてルール決定
 
 この日は、厚労省当局から「DPC病院の合併・分割への対応」案が示され、了承されている。
 DPC病院の増加、合併・分割の件数増加などを踏まえ、次のようにルールが整理されている(p134〜p146参照)。この提案は中医協で了承されており、平成26年度改定を待たず、早ければ年内にも関連通知が発出される見込みだ。
 
●合併・分割をする医療機関で、DPC制度への継続参加を希望する場合には、厚労省医療課に届出る(主たる病院がDPC対象病院であることなどが大前提)
●合併・分割をする医療機関について、DPC制度への継続を認めるか否かは、DPC退出審査会において非公開で審査する
●審査にあたっては、「病院の機能・診療実態に連続性が認められるか」「DPC病院の基準(10対1以上、DPC調査への適切な参加など)を満たせると期待できるか」などが視点となる
●審査でDPC制度の継続参加が認められた後、6ヵ月間のデータ提出等を行い(フォローアップ)、条件を満たさなければDPC制度から退出しなければならない
 
 病院の合併事例にあたって、機能評価係数等は、見直し時点までは次のように扱う。
●機能評価係数I:合併後の病院における施設基準
●基礎係数:合併前の主たる病院の医療機関群
●機能評価係数II:合併前の各病院の機能評価係数IIの加重平均値(症例数ベース)(合併相手がDPC病院でない場合は、主たる病院の機能評価係数IIとする)
●暫定調整係数:[合併前の病院の、従来の方法で計算した調整係数の加重平均値(症例数ベース)]―[合併後の病院の基礎係数]―[合併後の病院の機能評価係数II]
 
 一方、分割事例にあたっては、機能評価係数等は、見直し時点まで次のように扱われる。
●機能評価係数I:分割後の病院における施設基準
●基礎係数:III群とする
●機能評価係数II:分割前の病院の機能評価係数IIを適用
●暫定調整係数:[分割前の病院の、従来の方法で計算した調整係数]―[分割後の病院の基礎係数]―[分割後の病院の機能評価係数II]

関連資料

※資料をご覧いただくためには、ログインが必要です。
mail   pass

mail
pass

医時通信について

よくある質問