[改定速報] 製薬業界は「新薬創出等加算」制度化を切望、次回会合で骨子案

[中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(第97回 12/6)《厚生労働省》]

平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2013年 12月 06日

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 厚生労働省は12月6日に、中医協の薬価専門部会を開催した。
 この日は、薬価制度見直しに向けて業界団体からヒアリングを行った。
 
 意見陳述を行ったのは、(1)日本製薬団体連合会(日薬連)(2)米国研究製薬工業協会(PhRMA)(3)欧州製薬団体連合会(EFPIA)(4)日本ジェネリック製薬協会―の4団体で、意見は連名で提示されている。
 
 意見陳述の冒頭で日薬連は、「画期的な新薬開発促進のために、新薬創出等加算の制度化は最重要案件と考えている。薬価専門部会では、長期収載品の後発品への置換えを進めるために、長期収載品価格を引下げるルールを検討しており、先発品メーカーの経営は厳しくなると予想される。この引下げルールは、新薬創出等加算の制度化とセットで行ってほしい」と強調している。
 
 業界団体の主な見解は次のとおり。
●新薬創出等加算の制度化にあたっては、研究開発が適正に行われているかどうかを薬価改正毎に確認することは妥当であり、また、「真に医療の質の向上に貢献する医薬品の国内研究・開発費(新規作用機序の新薬を含む)」を確認し、これらの医薬品開発を希望する企業の品目を対象とする方向を容認する(p5参照)
●長期収載品の後発品への置換えルール導入において、「現在の特例引下げ(後発品が初めて上市された場合の引下げ)」は廃止すべきである(p5参照)
●原価計算方式におけるイノベーションの評価(平均的な営業利益率の上限拡大)は評価できる(p6参照)
●世界に先駆けて日本で承認を取得した場合の評価(画期性・有用性加算の適用品目を対象とする)を創設する提案は評価できる(p6参照)
●外国平均価格調整については、行過ぎた厳格化(3倍ルール等)は慎重に行うべきである(p6参照)
●保険医療上必要性の高い医薬品で、採算性に乏しいものでも、安定供給の確保に向けた十分な供給体制(危機管理体制)を構築していることに対して薬価上措置することが重要である(p7参照)
●後発品の大幅な引下げは、継続的な新規品目の上市を困難にするため、仮に引下げる場合でも0.6(0.5)掛けとすることをお願いする(p7参照)
●価格帯の極端な削減は安定供給等に支障をきたすため、激変緩和のための段階的な削減として5価格帯を検討してほしい(p7参照)
 
 議論では、「新薬創出等加算のミスマッチ(加算を受けているにもかかわらず、未承認薬等の開発に取組まない企業の存在など)をどう解消していくのか」(白川委員:健保連専務理事)との質問に対し、日薬連サイドは「新薬創出等加算の趣旨を徹底し、ミスマッチの解消に業界をあげて取組んでいく」などと答えるにとどめている。
 
 なお、白川委員は「新薬創出等加算の対象品目は、『後発品のない先発品のうち、薬価と市場実勢価格の乖離率が、薬価調査の平均乖離率よりも小さなもの』とされているが、真に医療の質向上に資するという点からすると、十分ではないのではないか」との見解を示している。
 この点、会合後に記者会見した厚労省保険局医療課の近澤薬剤管理官は、「新薬創出等加算導入時に、対象は『医療の質向上に資するもの』とされた。その際に『医療の質向上に資するものは、市場の評価も高く値引き率が小さいであろう。そのため乖離率をメルクマールとしよう』という議論が行われている」と述べ、現行の仕組みの適正性を説明している。
 
 薬価制度改正に向けて、次回会合では骨子案が厚労省当局から示される見込みだ。

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