[改定速報] 画期性高い医療機器、希少疾病用医療機器、単独機能区分収載に
[中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会(第62回 11/29)《厚生労働省》]
平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2013年 11月 29日
厚生労働省は11月29日に、中医協の保険医療材料専門部会を開催した。
この日は、これまでの議論を踏まえた「特定保険医療材料の保険償還価格算定の基準の改定に向けた議論の取りまとめ案」が提示された。
取りまとめ案は、(1)外国価格調整(2)イノベーションの評価(3)費用対効果の観点を入れた評価(4)その他―の4分野にそって整理されている。
ちなみに特段のコメントをしていない項目については、委員から「導入、見直しの了承」が得られたものとお考えいただきたい。
◆材料価格調査で下落率15%以内の既収載機器、外国価格の1.3倍が上限に
(1)の外国価格調整については、次のような見直しを行う方向性が整理されている。
(i)外国平均価格の算出対象国について、24年度改定よりオーストラリアを追加した。導入して間もないため、引続き現在の5ヵ国(米、英、独、仏、豪)を維持する(p6参照)
(ii)外国平均価格の参照国間で価格の開きが大きいケースについては、(a)最高価格が最低価格の3倍を超える場合は、当該最高価格を除外した相加平均とする(b)価格が3ヵ国以上あり、そのうち最高価格がそれ以外の価格の相加平均値の2倍を上回る場合は、当該最高価格を除外した相加平均値の2倍相当として算定した相加平均値を用いる―こととする(薬価のルールにならったもの)(p7〜p8参照)
(iii)内外価格差の解消をより一層図るため、既収載品の再算定(価格見直し)においては、直近2回の材料価格改定を通じた保険償還価格の下落率15%以内のものについて、外国平均価格の1.3倍を超える製品について、1.3倍を上限とする(現在は一律に1.5倍)(p9〜p10参照)
(iv)類似機能区分比較方式で新たな機能区分を設ける際、当該製品の外国平均価格比が著しく低い場合(0.5倍以下)については、原価計算方式によっても申請できることとする(その際、外国価格比の上限を1.0倍とする)(p11参照)
このルールについて診療側の鈴木委員(日医常任理事)は、これまで反対姿勢であったが、この日は「対象機器が極めて少なく、保険財政への影響はごくわずかとのことであり、導入を認める」との考え方に転じている。
(v)原価計算方式による算定の際、より詳細に原料費が積上げられた資料が提出された場合については、外国平均価格を用いた価格調整の対象から除外することについて、保険医療材料専門部会で引続き検討する(p12参照)
このテーマについては、診療・支払双方から「外国価格調整を形骸化するもの」との強い反対意見があったが、「引続き検討する」との表現に改められており、この方向が了承されている。
◆画期性高い医療機器など、当面「単独機能区分」を認める
一方、(2)イノベーション評価については、次のような見直しが提案されている。
(i)迅速な保険導入に係る評価については、前回改定を受け試行的に導入されているが、その影響を見極めるため、引続き、試行的に継続する(p14〜p16参照)
(ii)原価計算方式におけるイノベーションの評価をより一層行うため、平均的な営業利益率のプラスマイナス50%から、上限をプラス100%までに引上げ、マイナス50%〜プラス100%とする(p17〜p19参照)
この案については、診療・支払双方とも「薬価でも同様の提案があったが、定量的な基準をあわせて組込む必要がある」と指摘している。
(iii)より革新性の高い画期性加算や有用性加算を受ける製品(原価計算方式で、同様の加算要件を満たすものを含む)については、イノベーションの適切な評価の観点から、2回の改定を経るまで、単独の機能区分を維持する(p20〜p22参照)
この場合、類似機能を持つ製品等については、(a)後から申請されたB区分製品については、特例を用いない製品と同様の価格設定とする(b)本特例を導入した際の影響について、次回および次々回の診療報酬改定でも検討する―こととする
なお、希少疾病用医療機器として指定された製品についても同様の取扱いとする
この提案について、鈴木委員は「これまで反対してきたが、『1回の改定を経るまで』(希少疾病用は2回でよし)と修正することで認めてもよいと考えるに至った」とコメント。
一方、支払側の白川委員(健保連専務理事)は、「『2回の改定を経るまで』でよいと考えるが、まず『1回目の改定』で検証してはどうか」との見解を披露している。
(iv)人その他の生物(植物を除く)に由来するものを原料・材料(以下、生物由来原料等)として用いた既収載品に比して、全ての生物由来原料等を除いた場合で、かつ、同等の機能を有することが客観的に示された場合について、改良加算の要件に追加する(p23参照)
◆同一機能区分複数価格帯方式の可否めぐり、調査実施を検討
(3)の「費用対効果の観点を入れた評価」については、「革新的な新規医療材料やその材料を用いる新規技術の保険適用の評価に際し、費用対効果の観点を導入することや、導入する場合の考え方について、費用対効果評価専門部会の議論の推移を見つつ、具体的な評価の方法等について検討する」ことを明らかにしている(p25参照)。
さらに(4)「その他」として、次の3つの論点が提示された(p26参照)。
(i)診療報酬改定に併せて行っている機能区分の合理化・細分化については、引続き実施すべきであり、その際、調査結果に基づき、同一機能内に複数の価格設定を行うことが妥当な区分があるかについて検討してはどうか
(ii)新規医療材料については、申請時における予測販売数と市販後の実販売数が異なる場合もあるため、予測数の設定根拠を含め、より詳細なデータを提出するよう、申請様式を改めてはどうか
(iii)審査期間の短縮を図る観点から、薬事審査において後発医療機器として承認を得た製品については、A1、A2およびB区分で申請することを基本としてはどうか
このうち(i)の「同一機能区分複数価格帯方式」は、10月16日の会合でメーカー団体が提案したものだ。
この点、鈴木委員は「機能区分別収載制度を形骸化させるもので認められない」と否定的な考えを示している。
なお、昌子専門委員(テルモ株式会社取締役上席執行役員)は、次のような要望を行っている。
【26年度改定に向けて】
●機能区分の細分化とともに、「同一機能区分複数価格帯」制度について調査することを検討してほしい
●既収載品の再算定における外国価格調整で、下落率15%以内の上限を1.3倍に引下げる(現在は1.5倍)仕組みについて、激変緩和措置を設けてほしい
【将来に向けて】
●医療機器業界では安全確保に関する費用の評価導入を求めているが、薬事法改正に伴う市販後調査の運用をみつつ引続き検討してほしい