[改定速報] 薬価引下分の診療報酬本体への振替えは認められない 麻生財相

[経済財政諮問会議(平成25年度 第22回 11/15)《内閣府》]

平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2013年 11月 18日

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 内閣府は11月15日に、経済財政諮問会議を開催した。
 この日は、社会保障、とくに平成26年度診療報酬改定について議論を行った。
 
 麻生財務大臣(p26〜p38参照)は、26年度改定について検討する前に「医療費の自然増(改定がない場合でも年間3%程度増加する)も『企業・家計の負担増要因』であり、この負担増の妥当性から検証する必要がある」と指摘(p27参照)。
 平成25年度の国民医療費は42兆円と推計されており、26年度に向けた自然増は約1兆3500億円(3.2%)と見込まれる。自然増の負担状況をみると、税が約5100億円(国が約3500億円、地方が約1600億円)、保険料が約6500億円、患者負担が約1800億円となる。麻生財務相は、とくに保険料負担について「公費負担を上回る水準での負担増」になっていると指摘し、保険料を負担する企業・家計への影響を危惧している。
 このうえに診療報酬プラス改定による負担増が行われた場合には、「企業・家計の負担はさらに重くなる」とし、マイナス改定を行うべきと強調している。
 
 また、これまでの診療報酬改定で行われている「薬価引下げ分を『財源』として、診療報酬本体の引上げに振替えている」手法について、「薬価改正は、予算要求額の当然の時点修正(未実現の歳出増見込みの修正)であり、これをもって何らかの財源が捻出されたと観念すること(ましてや、診療報酬本体を含む他の経費の増額を行うこと)はない」と批判している(p28〜p29参照)(p31参照)。
 さらに、診療報酬本体についても「医療経済実態調査によれば医療機関は全体として増収・増益である」「薬価引下げの振替えをせずとも、診療報酬本体の自然増に影響はない」「他産業や家計の可処分所得のマイナス要因となる診療報酬本体部分の引上げは、マクロ経済政策としても整合性を欠く」とし、診療報酬本体のプラス改定をする状況にはないと主張している(p32〜p33参照)。
 
 これに対し田村厚生労働大臣(p15〜p25参照)(p39〜p57参照)は、「一体改革を実現するために、薬価見直しで生じる財源も活用しつつ、医療機関の機能分化・連携、在宅医療の充実のために必要な診療報酬改定の実現に最大限努力したい」「薬価改正で生じた財源は、救急、産科、小児科等の崩壊の危機にある分野等に重点的に振向け、改善を図ってきた」「薬価改正で生じた財源を使わなければ、医療機関の機能分化・連携等の実現はできない」と反論している(p18〜p20参照)。
 
 
 このほか、伊藤議員(東大大学院経済学研究科教授)らは26年度改定について次のような見解を表明している(p2参照)(p6〜p7参照)。
●新たな国民負担につながることは、厳に抑制すべき
●薬価と診療報酬本体を一体として予算要求しているが、薬価には市場実勢価格を反映するとともに、診療報酬本体には必要となる予算をそれぞれに要求し、透明性を確保すべき
●デフレ状況の下で賃金・物価が下落し、医療技術の進歩によって効率化が進展する中、診療報酬の技術料たる本体部分は上昇を続け、相対的に高い伸びを示してきたことに鑑み、本体部分を抑制すべき
 
 なお、伊藤議員らはこのほかにも「医療・介護のICT化補助事業について、費用対効果を含めた政策の総括評価を行い、予算を洗直すべき」「長期収載医薬品や後発品の価格体系の妥当性を検証し、全体としては市場実勢価格等を踏まえたマイナス改定を行うべき」「病床機能分化に向けた手法・工程表を明確化すべき」などの社会保障改革に向けた意見を提示している(p2〜p3参照)(p4〜p14参照)。

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