[改定速報] 医療材料のイノベーション評価を検討、委員からは慎重意見も

[中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会(第61回 11/15)《厚生労働省》]

平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2013年 11月 15日

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 厚生労働省は11月15日に、中医協の保険医療材料専門部会を開催した。
 この日は、「イノベーションの評価方法」等について議論を行った。
 
 医療材料については、医薬品と異なる機能区分別保険収載方式が採用されているため、個別品目の優れた面を評価することが困難と指摘されている。
 そこで24年度の材料価格制度見直しで「迅速にの保険収載された品目についての評価」ルールを設けるなど、「機能区分別収載におけるイノベーションの評価」が大きなテーマとなっている。
 
 厚労省当局からは、イノベーション評価に向けて次の6項目の提案が行われた。
(1)迅速な保険導入にかかる評価の試行的継続
(2)原価計算方式における加算幅の調整方法見直し
(3)革新性の高い機器、希少疾病用機器の単独機能区分設定
(4)外国価格平均の0.5倍(つまり半額)となる機能区分の特例
(5)補正加算要件の追加
(6)原価計算方式における原料費の透明性確保
 
 
 (1)は、上述のように「迅速に保険収載された品目」について一定の評価を行うもので、24年度改定で導入され、現在「5製品7区分」に適用されている(p6〜p8参照)。
 これを試行的に継続する点については、診療側の鈴木委員(日医常任理事)や支払側の白川委員(健保連専務理事)が了承している。ただし、白川委員は「この仕組みでどの程度、いわゆるデバイス・ラグが短縮しているのか、折を見て報告してほしい」と要望している。
 また公益代表の関原委員(日本対がん協会常務理事)は、「医薬品メーカーに比べて医療機器メーカーは小規模で、資金調達もたいへんであろう。薬剤費を減らしてでも、材料に費用をもってくるべきではないか」との考えを述べている。
 
 
 (2)は、原価計算方式における営業利益率の幅を、現在の「プラス50%〜マイナス50%」から、「プラス100%〜マイナス50%」に広げてはどうかというもの(p9〜p10参照)。
 薬価においても同様の見直しが提案されているが、材料ではすでに「プラス50%」の評価を受けている製品もあり(p11参照)、かつ「iPS細胞等を利用した医療材料」の登場が予見されるために、より実態に即した提案といえそうだ。
 
 この点、厚労省保険局医療課の佐々木企画官は「評価体系を準備しておかなければ、個別製品の保険収載希望があった場合に検討すらできない。イノベーションへのインセンティブを阻害しないようにしたい」旨のコメントをしている。
 しかし、鈴木委員や白川委員は「評価の内容(どのような場合に何%評価されるのか)が重要であり、即座に了承はできない」と述べるにとどめている。
 
 
 (3)は、革新性の高い医療材料の価格を維持するために「一定期間、単独区分を設定する」というものだ(p12〜p14参照)。
 この仕組みにより、安価な類似品が登場しても、革新性の高い製品については一定期間高価格を維持できることになる。
 厚労省の佐々木企画官は、データをもとに「一定は『2回の改定を経るまで』としてはどうか」と提案している。
 
 白川委員はこの考え方には賛同したものの、「有用性加算の対象品目を単独区分とするのは広すぎるのではないか。有用性加算の中にはプラス5%、プラス10%という有用性がそれほど高くないものもある。対象は限定すべき」との注文をつけている。
 
 
 (4)は、類似機能区分比較方式で価格を算定すると「外国平均価格の50%を切ってしまう」ような機能区分について、原価計算方式での価格算定を認めてはどうかというもの。もっとも価格の上限は「外国平均価格の1.0倍」に設定される(p15参照)。
 この点、鈴木委員は「原価計算の仕組みそのものに難点がある。このルールの導入は難しいのではないだろうか」と慎重姿勢を見せている。
 一方、白川委員は「ルールの是非の前に、なぜそれほど低い価格が設定されてしまうのかを明らかにすべきである」と述べ、現時点で本提案の対象となる4製品について価格設定の内容を説明するよう求めている。
 
 
 (5)は、「人その他の生物(植物を除く)に由来するものを原料・材料(以下、生物由来原料等)として用いた既収載品に比べて、すべての生物由来原料等を除いた場合で、かつ、同等の機能を有することが客観的に示された場合について、改良加算の要件に追加してはどうか」という提案だ(p16参照)。
 生物由来原料等には「未知の感染症のリスク」等があることから、これを除外し、かつ同等の機能をもつ製品が有用であることに疑いはない。
 鈴木委員、白川委員もこの提案を了承している。
 

 (6)は、原材料すべてが国内で生産され、国内で製造された医療材料については、外国平均価格調整の対象から除外してはどうかという内容だ(p17〜p18参照)。
 医薬品でも同様の提案が行われたが、鈴木委員、白川委員ともに「意図が不明である。また、このルールでは価格が上昇することが予想されるが、外国平均価格調整(価格引下げ)の考え方と矛盾する」と批判している。
 この点、厚労省の佐々木企画官は「たしかに、外国平均価格調整と矛盾する面があるかもしれないが、『原価等の詳細なデータを提出する』部分は評価したい」とルール導入への意欲を語っている。
 
 
 このほか、医療材料メーカーから提案された「同一機能区分内の複数価格設定」について、厚労省の佐々木企画官は「実現が可能かどうか、材料価格調査結果を分析したい」と述べている(p20参照)。
 「同一機能区分内の複数価格」とは、同じ機能区分において価格の格差がある場合に、複数の保険償還価格を設定し、高価格帯の製品価格を維持しようというものだ。

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