[精神医療] 認知症周辺症状治療で向精神薬使用する場合のガイドライン提示
[「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」について(7/12)《厚生労働省》]
精神科医療行政ニュース - 2013年 07月 19日
厚生労働省は7月12日に、介護保険最新情報Vol.335を公表した。今回は、「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」を掲載している。
BPSD(Behavioral and Psychological symptoms of Dementia)とは、徘徊や粗暴な行動・言動など、いわゆる認知症の周辺症状のこと。
「かかりつけ医による認知症者に対する向精神薬の使用実態調査」結果(平成24年度)によると、(1)多くの認知症患者に対し向精神薬が処方されている(認知症患者の89.2%が服用している)(2)多弁、過食、徘徊など向精神薬の有効性に関する報告のないBPSDにも向精神薬が処方されている―ことなどが明らかとなった(p4参照)。
そのため厚労省は、BPSD治療において、かかりつけ医に適切な向精神薬使用を行ってもらうことを目的に、本ガイドラインを作成したものだ。
ガイドラインでは、「BPSD対応の第1選択は非薬物的介入が原則である」「BPSD治療では抗精神病薬の使用は適応外使用になり、基本的には使用しないという姿勢が必要である」ことを強調(p3参照)。
そのうえで、BPSDに対する薬物療法の進め方をフローチャートで示している(p3参照)。
具体的には、「身体的原因がなく、他の薬物の作用と関係がなく、非薬物的介入による効果が期待できない」状況において、「症状・行動を薬物治療することが妥当か」「薬物療法の効果が期待できるか」「治療期間」などを確認したうえで、症状にあった薬剤を選択することが求められる。
また、薬物療法を選択した場合でも、低用量で開始、症状をみながら用量を徐々に増やしていくことが必要になる。
さらに、薬物療法開始の前と後で、「日中の過ごし方に変化はあるか」「夜間の睡眠状態に変化はあるか」「水分や食事の摂取状況」「転倒しやすくなっていないか」「薬剤を減量・中止できないか」といった点をチェックすることも重要とされている。
このほかガイドラインでは、向精神薬を(i)抗精神病薬(ii)抗うつ薬(iii)抗不安薬(iv)睡眠導入薬―に大きく分類し、使用上の留意点等を解説している(p4〜p6参照)。