[精神医療]精神障害者は320.1万人、統合失調症での初診は20歳未満が56.2%と顕著 25年版障害者白書
[平成25年版障害者白書−内閣府(H25.6)]
精神科医療行政ニュース - 2013年 07月 05日
6月下旬に、内閣府から「平成25年版障害者白書」が公表されました。障害者白書は、障害者基本法に基づき、平成6年から毎年政府が国会に提出している年次報告書であり、障害者のために講じた施策の概況を示したものです。今回で20回目となり、平成24年度を中心に障害者のために講じた施策について、(1)相互の理解と交流(2)社会参加へ向けた自立の基盤づくり(3)日々の暮らしの基盤づくり(4)住みよい環境の基盤づくり、の4つの視点から整理されています。
白書によると、障害者数は、身体障害者が366.3万人、知的障害者が54.7万人、精神障害者が320.1万人で合計741.1万人。国民全体の6%にあたります。
また、障害者の人口に占める65歳以上の高齢者の割合が拡大しています。中でも、平成23年の精神障害者(外来患者)に占める高齢者割合は33.8%に達しており、前回調査時(平成20年)に比べて2.3ポイント上昇しています。
外来の障害者の疾病別の内訳をみると、「気分(感情)障害(躁うつ病を含む)」が92.9万人(32.3%)、「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」が53.9万人(18.7%)、「神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害」が56.5万人(19.6%)、「てんかん」が20.9万人(7.3%)などとなっています。このほか、平成17年度からの6年間の外来患者数の傾向割合を疾患別に見ると、アルツハイマー病は2倍以上の伸びを示していると報告されています。
また、外来の精神障害者の精神科初診時の年齢を見てみると、20歳未満が41.0%を占め、40歳以上は20.1%となっています。疾患別に精神科初診時の年齢を見ると、統合失調症では20歳未満が56.2%と顕著な結果が出ています。40歳以上は6.2%に過ぎないことから、「在学中の発病などにより、就職経験もなく社会生活への適応に困難を有する者も多いことがうかがわれる」と分析しています。統合失調症以外のうつ病等の疾患では20歳未満が29.3%に止まる一方、40歳以上が30.7%を占めており、「社会生活上の実績を築き上げてきた後に社会生活への適応に困難を生じている者が多いことがうかがわれる」との見解を示しています。
次に、雇用状況を見てみると、事業所を対象とした調査によれば、従業員5人以上の規模の事業所に雇用されて働いている障害者は、身体障害者が34.6万人、知的障害者が7.3万人、精神障害者が2.9万人という状況です。精神障害者については、精神障害のあることを事業者側に伝えずに働いている者も多く、雇用者数はかなり低めに出ている可能性がある、としています。
白書では、平成24年7月に行った「障害者に関する世論調査」の結果を公表しています(調査客体:全国20歳以上の日本国籍を有する者3000人、有効回収数は63.8%の1913人、調査期間:平成24年7月26日〜8月5日)。
それによると、「共生社会」の周知度は、「知っている」が40.9%となっており、前回(平成19年2月)調査の40.2%と比べて0.7ポイントと微増したものの同程度にとどまっています。また、20歳代では34.8%となっており、前回調査の26.7%から8.1ポイントと大きく上回っています。
次に、「障害のある人に対し、障害を理由とする差別や偏見があるか」については、「少しはあると思う」人を含めて、89.2%の人が「あると思う」と回答しており、前回調査より6.3ポイント増加しています。また、障害のある人とない人が同じように生活していくため、例えば、商店の入り口などにスロープなどを設置するなどの配慮や工夫について、経済的な負担が伴っても行うかどうかを尋ねたところ、「負担の程度にかかわらず行う」が9.5%、「可能な範囲の負担ならば行う」が54.3%、「負担がなければ行う」が25.1%、「行うことは難しい」が6%などとなっています。
このほか白書では、平成24年度を中心とした障害者施策の取り組みなどが報告されています。
平成25年版 障害者白書
・概要
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h25hakusho/gaiyou/index-pdf.html
・全体版
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h25hakusho/zenbun/index-pdf.html