[精神医療]精神障害の労災認定件数は475件で過去最高、働き盛りの中堅層が6割を占める
[平成24年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」まとめ−厚生労働省(H25.6.21)]
精神科医療行政ニュース - 2013年 06月 28日
厚生労働省は6月21日、平成24年度における「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」を公表しました。
厚生労働省は、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況を調査しており、平成14年から年1回、労災補償状況を取りまとめています。具体的には、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを明らかにしています。
ここでは、精神障害における労災補償状況に着目してみます。
まず、平成24年度に精神障害における労災請求件数は1257件で、うち475件に支給決定しており、過去最高の件数となっています。
精神障害の業種別請求件数を見てみると、大分類では、「製造業」が最も多く225件、次いで、「医療・福祉」201件、「卸売業・小売業」196件の順となっています。また、支給決定件数については、「製造業」が93件で最多、「卸売業・小売業」66件、「医療・福祉」52件(「運輸業・郵便業」が同じく52件)でした。中分類では、「社会保険・社会福祉・介護事業」の請求件数が111件と目立つ結果でした(支給決定も33件で最多)。
次に、精神障害の年齢別件数を見ると、請求件数および支給決定件数は、「40〜49歳」が387件・146件、「30〜39歳」が370件・149件となっています。30〜40歳代の働き盛りの中堅層の占める請求および支給決定件数は、どちらも全体の6割に達しています。
最後に、精神障害における支給決定475件の具体的な出来事を見てみます。件数順に見てみると、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」が59件、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が55件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が51件、「(重度の)病気やケガをした」が45件、「上司とのトラブル」が35件と続きます。このほか、「1か月に80時間以上の時間外労働を行った」、「セクシャルハラスメントを受けた」も高い件数となっています。