[精神医療] 障害者雇用促進法の改正案要綱、精神障害者の法定雇用は5年後に

[第59回 労働政策審議会障害者雇用分科会−厚生労働省(H25.3.21)]

精神科医療行政ニュース - 2013年 03月 29日

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厚生労働省は321日の労働政策審議会障害者雇用分科会において、14日にまとめた意見書「今後の障害者雇用施策の充実強化について」に基づき、当局が作成した障害者雇用促進法の改正案要綱を「おおむね妥当」とすることで合意しました。

同日、労働政策審議会として答申を行っており、厚生労働省は近く改正法案を作成し、今国会へ提出する予定です。

 

 改正案要綱では、「障害者」の位置づけとして、これまでの身体障害、知的障害に、「精神障害(発達障害を含む)」、「心身機能障害」を加えています。その上で、差別の禁止、紛争の解決、精神障害者を含む障害者雇用率の設定などが盛り込まれています。

 紛争の解決では、苦情の自主的解決や紛争の解決の促進に関する特例、紛争の解決の援助、調停に分けて整理されています。障害者雇用率の設定では、対象障害者を、「身体障害者、知的障害者又は精神障害者(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第45条第2項の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けているものに限る)」と明記。同法律の施行日から起算して5年を経過する日までの間、労働者の総数に対する対象障害者である労働者の総数の割合に基づき、対象障害者の雇用の状況その他の事情を勘案して政令で定めるものとすること、としています。

 改正法の施行は平成3041日となっています。ただし、障害者の位置づけは改正法の公布日、差別の禁止および紛争の解決等は平成2841日からとなっています。そのため、障害者雇用率は、この4月から民間企業においては2.0%に引上げられることになりますが、精神障害者も含む法定雇用率は5年後の平成30年4月からの施行となります。

 

法定雇用率の引上げについては、先週の記事でお伝えしたように、使用者側委員(事業主)から、「精神障害者を雇用義務の対象とする場合の実施時期をあらかじめ定めることは時期尚早であり、精神障害者の雇用環境の改善状況等をさらに検証した上で検討すべき」といった意見があり、当局は、「今後、少なくとも企業が精神障害者の雇用に円滑に取り組むことができるための支援策の強化を早期に図ることが必要である」との見解を示していました。障害者雇用施策の充実強化を図りたい一方で、事業主の負担の大きさを考慮した格好と言えるでしょう。

 

答申でも、障害者雇用分科会会長は、「企業が精神障害者の雇用に着実に取り組むことができるよう、企業に対する大幅な支援策の充実を進めることを求める」としています。その上で、「使用者側委員からは、精神障害者を雇用できる一定の環境が整っていると判断することができない現段階で、実施時期を定めることは慎重であるべきとの意見があった」ことを付言しています。

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