[精神医療] 障害者雇用施策の充実強化、精神障害者の雇用義務付けについて意見集約

[第58回 労働政策審議会障害者雇用分科会−厚生労働省(H25.3.14)]

精神科医療行政ニュース - 2013年 03月 22日

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 厚生労働省は3月14日、労働政策審議会障害者雇用分科会において、企業に精神障害者の雇用を義務付けることを目的に、「今後の障害者雇用施策の充実強化について(案)」を提示し、分科会意見書として取りまとめました。

 意見書では、(1)障害者の権利に関する条約への対応(2)障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の見直し(3)地域の就労支援の強化―がまとめられています。障害者に対して職場における合理的配慮の提供を事業主に義務付けることなどが提案されています。

 また現在、雇用義務の対象となっているのは身体障害者と知的障害者です。雇用義務となっていない精神障害者の取扱いについても意見書では触れています。
 精神障害者を雇用義務の対象とすることについては、企業が精神障害者の雇用に着実に取り組むことができるよう、十分な準備期間を設けることを前提とした上で、企業に対する大幅な支援策の充実を進めつつ、実施することが必要である、としています。その上で、対象者の把握・確認方法については、精神障害の特性やプライバシーへの配慮、公正、一律性、事業主の予見可能性の担保等の観点から、精神障害者保健福祉手帳で判断することが適当であるとし、その際、本人の意に反し、手帳の取得が強要されないようにすべきである、と注意を促しています。

 障害者雇用率制度による障害者の法定雇用率は、平成25年4月1日からいずれの事業主区分も0.2ポイントずつ引上げられます。具体的には、民間企業が1.8%→2.0%、国、地方公共団体等が2.1%→2.3%、都道府県等の教育委員会が2.0%→2.2%へ引上げられます。
 この法定雇用率の引上げについて、使用者側委員から、「精神障害者を雇用義務の対象とする場合の実施時期をあらかじめ定めることは時期尚早であり、精神障害者の雇用環境の改善状況等をさらに検証した上で検討すべき」といった意見があったことも意見書には盛り込まれています。その上で、「今後、少なくとも企業が精神障害者の雇用に円滑に取り組むことができるための支援策の強化を早期に図ることが必要である」との見解を示しています。
 
 厚生労働省は、この意見書の内容を踏まえ、精神障害者の雇用義務付けを盛り込んだ改正法案を今国会に提出する予定です。21日には、(1)障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法案要綱(2)障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱等(3)障害者雇用対策基本方針の改正―について、労働政策審議会障害者雇用分科会へ諮問しています。
(次週、資料入手のうえ、概要をお伝えする予定です)

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