[精神医療]精神疾患に関わるチーム医療推進実証事業も報告される

[チーム医療実証事業報告書について−厚生労働省(H24.10.19)]

精神科医療行政ニュース - 2012年 10月 26日

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厚生労働省は1019日に、「チーム医療推進実証事業報告書」を公表しました。この報告書は、平成23年6月に取りまとめられた「チーム医療推進のための基本的な考え方と実践的事例集」を参考に、医療現場の関係者の協力を得て、これらの取組によって提供される医療サービスの安全性・効果等を実証したものです。

 大病院から有床診療所・無床診療所までの68施設(115チーム)による様々な取組みが報告されています。個別疾病の分野から3つのチームの取組みをピックアップして紹介いたします。

 

     精神科における身体合併症治療専門チーム

(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター病院)

このチームは、精神科医と身体科医(主として総合内科医と総合外科医)、看護師、薬剤師、心理療法士、作業療法士、精神保健福祉士、管理栄養士からなるもので、重症精神障害と身体合併症を同時に適切かつ円滑に治療することと、MPUMedical Psychiatric Unitと呼ばれる精神科病棟での入院治療)モデルを具体的に提案することを目的として形成されました。

実証事業により、(1)身体合併症を持つ医療観察法対象者の受け入れ(2)入院対象者における身体合併症有病率の増加とそのチーム医療(3)身体科受診と治療開始までの期間―の効果が得られたと報告されています。

 

     精神科急性期退院促進クリニカルパスチーム

(桶狭間病院 藤田こころケアセンター)

このチームは、統合失調症・気分(感情)障害圏の患者に対し多職種で関わり、あらゆる専門分野から患者にアプローチすることにより、患者や家族のニーズに応じた治療を提供し、早期退院を目指すものです。

治療方針を患者や家族と相談しながら決定していくSDMShared Decision Making)に基づいた情報と責任の共有が果たされたとして、患者治療満足度があがったことが報告されています。

医療計画に新たに加わり、精神科領域が5疾患5事業となったことから、病診連携による良好なアウトリーチを目指す必要があり、そのために地域の通院機関や転院機関との情報伝達や情報共有ができる地域連携パスを導入したシステム構築が急務である、と考察しています。

 

     統合失調症家族支援チーム

(福岡県立精神医療センター太宰府病院)

 このチームは、統合失調症患者を抱える家族に対して、多職種チームによる家族心理教育を中心とした家族支援を実施。患者家族の介護負担の軽減や、統合失調症患者の早期の退院や社会復帰を促進し、再発・再入院を予防することを目的として形成されました。

 平成239月〜平成242月の間に全6回(月1回)のセッションを実施しており、医療サービスの効果が報告されています。

 家族心理教育に対して診療報酬上の規定がないため、費用対効果の点から実施が困難となりやすく、家族支援に対する診療報酬上の評価など、費用面の検討が必要としています。

 

報告書では、各チームの取組みに対する、総括評価に加え、チーム医療推進方策検討ワーキンググループからのコメントなどがまとめられています。

 

なお資料は、報告書から「(8)個別疾病の分野」のみ抜粋しています。

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