[精神医療] 教職員のメンタルヘルス、産業医や精神科医と慎重な連携、判断を

[教職員のメンタルヘルス対策について(中間まとめ)―文部科学省(H24.10.3)]

精神科医療行政ニュース - 2012年 10月 12日

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 10月3日、文部科学省は教職員のメンタルヘルス対策について、中間まとめを公表しました。


 文部科学省の調査では、平成22年度における公立学校教育職員の精神疾患による休職者数は5,407名で、深刻な状況にあるといいます。特に、教職員の精神疾患者の増加は、児童生徒の教育環境に重大な影響や、休職期間中の給与保障、代替教員等の配置による財政的負担の増加を招くことから、文部科学省は、教職員のメンタルヘルスについて、現状の原因と課題を整理した上で、専門的見地から今後の取組を検討する「教職員のメンタルヘルス対策検討会議」を設置し議論を重ねてきました。


 中間まとめは、(1)教職員のメンタルヘルスに関する現状と課題(2)教職員のメンタルヘルス不調の背景等(3)予防的取組(4)復職支援、の4部構成となっています。


 (3)の予防的取組では(ア)セルフケアの促進(イ)ラインによるケアの充実(ウ)業務の縮減・効率化等(エ)相談体制等の充実(オ)良好な職場環境・雰囲気の醸成、が必要とし具体的な施しが解説されています。

 (オ)の良好な職場環境・雰囲気の醸成では、学校における労働安全衛生管理体制を充実させるための施策が紹介されています。たとえば、都道府県および市町村の教育委員会事務局に、精神科領域を担当したり、精神科医と連携したりすることができる専属の産業医(総括産業医)や嘱託の精神科医を配置し、各学校の産業医と連携して健康管理に関する啓発活動や面接指導を行ったり、産業医が配置されていない学校に巡回訪問し職場巡視等を行ったりすることも有効な取組である、としています。また、教育委員会に置かれるこれらの医師が保健師と連携して、効果的な生活習慣病対策やメンタルヘルスケアについての研修や健康相談事業を行うこと、復職プログラム実施中あるいは職場復帰後の経過観察や面談等を実施することも考えられる、と述べています。


 (4)の復職支援では、病気休暇取得から職場復帰までの主な対応を、フローチャートで解説しています。病気休暇取得時点において、教職員本人との連携が図りづらい場合は、本人に対して受容的に接し、人間関係を保ちながら、産業医や嘱託の精神科医、保健師が間に立って対応したりするなどして、主治医や家族との連携を図ることが大切としています。また、復職プログラムは少なくとも約1ヶ月以上(できれば2〜3ヵ月)の期間をかけておおむね3つの段階を経て実施することが望ましく、状況により変更や中止が必要な場合には、主治医とも連携して判断するよう十分な配慮が必要であることを明記しています。

 さらに、復職可否の判断は、主治医任せにするのではなく、主治医の意見を尊重しながらも、教職員本人の快復の状況や復職プログラム実施中の状況等を踏まえ、産業医や嘱託の精神科医、教育委員会において健康審査を担当する医師等が、職場で求められる職務遂行能力を見極めた上で、教育委員会において慎重に判断しなければならない、などとまとめています。


 このほか資料では、教職員のメンタルヘルスの現状がまとめられていますので、ご参照ください。

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