[改定情報] 訪問看護ステーションのPT数増加傾向に問題意識 中医協・総会

[中央社会保険医療協議会 総会(第419回 7/17)《厚生労働省》]

2020年度診療報酬改定ニュース - 2019年 07月 17日

» この記事を書いたメディアのページへ
 中央社会保険医療協議会・総会は7月17日、介護と医療の連携や、診療報酬に関連する情報の利活用と事務の効率化・合理化などについて議論した。介護と医療の連携では、理学療法士(PT)などの割合が多い訪問看護ステーションが増えている現状に複数の委員が問題意識を表明。サービスの提供実態の検証を求める意見が相次いだ。維持期・生活期のリハビリテーションの介護保険への移行が十分でないことが、訪問看護ステーションからのリハビリ提供が増える要因になっている可能性を指摘する声もあった。なお、2020年度診療報酬改定に向けた1巡目の議論は今回で終了。次回は、これまでの意見の整理を行う。
 
 
◆訪看従事者のPT割合は上昇傾向、80%以上の事業所も
 
 厚生労働省が示したデータによると、訪問看護ステーションの従事者に占めるPTなど(作業療法士、言語聴覚士を含む)の割合は年々上昇。PTなどの構成比が高い事業所も増加傾向にあり、80%以上の事業所も存在する(参照)。これら事業所は【24時間対応体制加算】の届出が少なく、PTなし事業所の届出割合が78.9%なのに対して、PTなどの比率が60〜80%未満の事業所の届出割合は66.3%、80%以上の事業所は31.6%にとどまっている。
 
 こうした実情に今村聡委員(日本医師会副会長)は、「PTが8割いる事業所は患者に偏りがあるのではないか。経営状況を明らかにして、経営的観点からPTを増やしていないか、確認するべきだ」と指摘した。猪口雄二委員(全日本病院協会会長)は、維持期・生活期のリハビリの介護保険への移行(19年3月末で医療保険での算定を認める経過措置が終了)の影響を懸念。「(移行後に)介護保険の通所リハビリは増えておらず、結果、訪問看護のリハビリが増えている。訪問は通所できない人に行うべきなのに、介護保険における訪問看護ステーションのリハビリは対象者の規定がないため、野放し状態になっている可能性がある。このあたりを数値化して、手を打つ必要がある」と述べた。
 
 
◆レセへの郵便番号記載、オンライン資格確認と一体的検討を
 
 一方、診療報酬に関する情報の利活用では、厚労省がレセプトへの郵便番号(患者住所情報)記載についての検討を求めた。18年度改定の答申附帯意見に記載されていた課題で、同省は、実現すれば医療圏への患者の流出入を月次ベースで把握できるようになり、地域医療構想や医療費適正化計画の評価を精緻化するのに役立つと説明している。だが、医療機関がレセプトに患者住所情報を記載するには、被保険者証への記載があることが前提となる上、オンラインでの被保険者資格確認に向けて検討されている被保険者番号の個人単位化との関係も整理する必要がある。
 このため吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、「(住所情報を記載した)被保険者証の差し替えにはコストが発生するが、マイナンバー(マイナンバーカードによる被保険者資格確認)が入り、住所情報を確認できるシステムができあがれば対応できる。それを踏まえて一緒に考えていく必要がある」と述べた。松本吉郎委員(日医常任理事)も、システム改修に伴う医療機関のコスト負担を憂慮し、「患者からの申し出ではなく、被保険者証(の記載)からの転記での対応が基本だ」との考えを示した。
 
 このほか事務の効率化・合理化では、厚労省が▽施設基準の届出項目や手続きについて重複項目の省略などの効率・合理化を実施▽告示や通知での記載が曖昧な算定要件を明確化▽レセプトの摘要欄にフリーテキスト形式で記載する項目の選択式化▽臨床上実施されていない技術や評価項目の削除−などを提案し、概ね了承された。

関連資料

※資料をご覧いただくためには、ログインが必要です。
mail   pass

mail
pass

医時通信について

よくある質問