[自殺] 若年層による自殺は深刻な状況、新入社員や若手職員に対するメンタルヘルス対策の推進を
[平成26年度 我が国における自殺の概要及び自殺対策の実施状況(概要)―内閣府(H27.6)]
精神科医療行政ニュース - 2015年 07月 31日
内閣府は、平成26年度 我が国における自殺の概要及び自殺対策の実施状況(概要)を公表しました。
自殺対策基本法(平成18年法律第85号)第10条の規定に基づき、我が国における自殺の概要及び政府が講じた自殺対策の実施状況について、毎年国会に提出する年次報告書で、7月22日に、『平成27年度版自殺対策白書』として公表されました。
今回の「平成27年度版自殺対策白書」は、第1章第1節において我が国の自殺の現状を、第1章第2節において若年層の自殺をめぐる状況を各要因別に分析しています。
まず、自殺の現状を見てみると、我が国の自殺者数は、平成10年以降、14年連続して3万人を超える状態が続いていましたが、平成24年に15年ぶりに3万人を下回り、平成26年は2万5,427人。3年連続で3万人を下回る状況です。
次に年齢階級別の自殺者数の推移を見ると、平成15年を境に50歳代は減少傾向にあり、平成19年から年齢階級の設定が人口動態統計とは違うものの、ここ数年は、6歳台から20歳台までの各年齢階級もおおむね同様の傾向を示しています。しかしながら、わが国における若い世代の自殺は深刻な状況にあり、特に、15〜39歳の各年代の死因の第1位は自殺となっています。男女別では、男性の15〜44歳で死因順位第1位が自殺、女性も15〜34歳の若い世代で死因順位第1位が自殺という状況。これは、先進国では日本のみであり、その死亡率も他の国に比べて高いものとなっています。
ここで、若年層の自殺についてさらに詳しく見てみると、平成26年の40歳未満自殺者数は、6,581人で、全自殺者数25,218人の約26%を占めています。全自殺者数が減少傾向を見せる中、若年層の自殺者数の減少幅は他の年齢層に比べて小さく、深刻な問題といえます。男女別では、男性が4,690人、女性が1,891人。年齢階級別では、20歳未満が536人、20歳代が2,668人、30歳代が3,377人となっています。
原因・動機別にみると、20歳代、30 歳代共に「健康問題」は、他の原因・動機の中で自殺者数が一番多くなっているものの、全年齢と比べると比率は低く、「勤務問題」は、全年齢と比べると、高い傾向を示しています。20歳未満の原因・動機をみると、「学校問題」、「健康問題」、「家庭問題」の自殺が多くなっています。
20歳代の有職者(入職初期段階)の環境変化が「勤務問題」を理由とする自殺に影響している可能性があることから、男女共に、「仕事の失敗」、「職場の人間関係」、「仕事疲れ」の比率が高くなっており、年齢を重ねることによりその比率が低くなる傾向があることが報告されています。そのうえで、新入社員や若手職員に対するメンタルヘルス対策の推進が重要になると警鐘を鳴らしています。
さらに、若年層が自殺に追い込まれやすい時間帯について特に男性では、午前0時台にピークを迎えることから、電話相談等の業務を深夜にまで延長し、深夜まで行っていることを若年層に周知徹底することなどが対応として重要としています。
第2章においては、自殺対策の基本的な枠組みと平成26年度に政府が講じた自殺対策の実施状況が報告されています。
このほか、地方公共団体や民間団体の取組も紹介されています。