[ストレス]ストレスチェックを受けない者の解雇・雇止め・退職勧奨等を禁止
[改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に関する検討会報告書をとりまとめました―厚生労働省(H26.12.17)]
精神科医療行政ニュース - 2014年 12月 19日
厚生労働省は12月17日、改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に関する、(1)ストレスチェックと面接指導の実施方法等に関する検討会、(2)ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取扱い等に関する検討会、での検討結果をとりまとめた報告書を公表しました。
ストレスチェック制度とは、平成26年6月25日に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律により、ストレスチェック(事業者が労働者に対して行う心理的な負担の程度を把握するための検査)と面接指導の実施等を義務づけるもので、平成27年12月1日の施行を予定しています。
職業生活で強いストレスを感じている労働者の割合は高い状況で推移しており、精神障害の労災認定件数は3年連続で過去最多を更新しているなどの状況に鑑み、ストレスチェックを行うことで、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止(一時予防)を図り、労働者自身のストレスへの気付きを促し、さらには、ストレスが原因となる職場環境の改善につなげることを目的に検討が重ねられてきました。
報告書では、ストレスチェックの定義を整理したうえで、ストレスチェック制度の具体的な実施方法や情報管理等に関する検討結果がまとめられています。
結果概要を見てみると、ストレスチェックの実施者となれる者は、医師、保健師のほか、一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士としています。
また、ストレスチェックの調査票は、「仕事のストレス要因」、「心身のストレス反応」、「周囲のサポート」の3領域を全て含むものとし、具体的な項目数や内容は、事業者自ら選定可能としていますが、国が推奨する調査票は「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」としています。
さらに、職場の一定規模の集団(部、課など)ごとのストレス状況を分析し、その結果を踏まえて職場環境を改善することを努力義務とする方針を打ち出しています。
このほか、ストレスチェックを受けない者、事業者への結果提供に同意しない者、面接指導を申し出ない者に対する不利益取扱いや、面接指導の結果を理由とした解雇、雇止め、退職勧奨、不当な配転・職位変更等を禁止することを明示しています。
ストレスチェックは、1年以内ごとに1回以上実施(一般健診と同時実施も可能)。 調査票によることを基本としています。
なお、労働安全衛生法によりストレスチェック等の実施が義務づけられる従業員数 50 人以上の事業場ですが、ストレスチェック等の実施が当分の間努力義務となる従業員数 50 人未満の事業場においても、実施する場合は法令に従うほか、今回の検討結果に準じて取組が行われることが望ましい、としています。
厚生労働省は今後、制度施行に向けて、今回の報告書を基に厚生労働省令や指針などを策定し、具体的な制度の運用方法を示すとともに、周知に取り組んでいく方針です。