[診療報酬] 1床あたり面積、工事着手し27年3月までに届出れば壁芯計算で可
[疑義解釈資料の送付について(その1)(3/31付 事務連絡)《厚生労働省》、疑義解釈資料の送付について(その1)(修正版)(3/31付 事務連絡)《厚生労働省》]
精神科医療行政ニュース - 2014年 04月 04日
[診療報酬] 1床あたり面積、工事着手し27年3月までに届出れば壁芯計算で可
厚生労働省は3月31日に、「疑義解釈資料の送付(その1)」について事務連絡を行った。
これは、平成26年度診療報酬改定を受けた「Q&A」である。
気になる部分を見てみよう。
【7対1一般病棟】
今回改定で「重症度、医療・看護必要度」の判定基準が見直された。これに伴い厚労省当局は「経過措置である平成26年9月30日までの間に、改定後の内容を踏まえた院内研修を受講」した者でなければ評価票への記入を行えないことを明らかにしている(p5参照)。
また、院内研修を実施する指導者について「新項目(たとえば抗悪性腫瘍剤の内服管理など)等の評価に支障のないよう、国・医療関係団体等が主催する研修を受ける」よう求めている(p5参照)。
なお、上記に例示した「抗悪性腫瘍剤の内服管理」については、「殺細胞性抗がん剤、分子標的治療薬、ホルモン療法薬について内服の管理が発生しており、看護師等による特別な内服管理を要する患者に対し、その管理内容に関する計画、実施、評価の記録がある場合のみを抗悪性腫瘍剤の内服の管理の対象に含める」旨が施設基準通知で規定されている。この「特別の内服管理」とは、「副作用の確認や用法・用量の変更による患者の状態の変化等の観察を含めた内服の管理を言い、看護上の問題として、服薬に伴う計画、実施、評価を必要とする場合」であることが明らかにされている(p7参照)。
また、7対1・10対1一般病棟に新設された【ADL維持向上等体制加算】について、リハ経験3年以上・研修を受けた常勤医の配置が施設基準の1つとなっている。
この「研修」は、日本リハビリテーション医学会の主催する「急性期病棟におけるリハビリテーション医師研修会」の研修をさすことが示されている(p6参照)。
【ICU】
新設された【特定集中治療室管理料1】では、「ICU経験5年以上の医師2名を含む専任医師が、常時ICU内に勤務している」ことが施設基準の1つとして設定された。
この点、厚労省当局は「ICUで集中治療を行うにつき必要な医師の中に、ICU経験5年以上の医師が2名以上含まれていればよく、『必ずしもICU経験5年以上の医師2名以上が常時、ICUに勤務する』必要はない」とコメントしている(p11参照)。
なお、このICU経験5年には「集中治療部門(集中治療部、救命救急センター等)経験5年以上」も含まれるが、この場合には「特定集中治療に習熟していることを証明する資料の提出」が必要となる(p11参照)。
【回復期リハ病棟】
回復期リハ病棟1では、専従の常勤医師・専従の常勤社会福祉士を配置した場合の【体制強化加算】が新設された。
この専従常勤医師については「雇用契約で定める所定労働時間の勤務でよい」ことが明確にされた。なお、この加算を算定する場合には、「土日、祝日以外の日において、当該専従常勤医師が当該保険医療機関に勤務しない日には、別のリハビリ医療3年以上かつリハビリ研修を修了した専従(当該日において専従であればよい)の常勤医師を配置すること」が必要となる(p12参照)。
また、この『専従』要件について厚労省当局は「病棟に張り付いていただく。外来勤務は一切不可」との考え方を示している。今回の疑義解釈ではこの点を明確にしたほか、「当直勤務を行うことは可能」である旨を付記している。
【在宅医療】
今回改定で新たに創設された「在宅療養後方支援病院」について、在宅療養支援病院(在支病)は届出られないことが明確にされた(p14参照)。
【リハビリ】
今回改定では、「要介護被保険者に係る維持期の運動器・脳血管疾患等リハ」を介護保険に移行するために、「介護保険の通所リハ実績のない医療機関では、当該リハの点数を90%に減額する」旨の規定が新設された。
この点について、同一法人内や特別の関係の事業所で通所リハ実績があってもだめで、「当該保険医療機関」において、過去1年間に介護保険の通所リハ提供の実績がなければならないことが確認されている(p18参照)。
【地域包括診療料/地域包括診療加算】
外来における新たな包括評価である【地域包括診療料】については、急性増悪等の場合の検査などは包括対象外とされている。この点に関連し、「月初めに地域包括診療料を算定後、急性増悪した場合等に、月初めに遡って地域包括診療料の算定を取消し、出来高算定に戻すこと」が可能な旨が明らかにされた(p3参照)。
また【地域包括診療料】等では担当医を決めることとされている(平成27年4月1日から適用)。この点、「1保険医療機関ごとに担当医を決める必要がある」旨が明確にされている(p4参照)。
また、その患者の担当医以外が診療を行った場合には、【地域包括診療料】等の算定はできないことも確認されている(p4参照)。
なお、同点数では患者に処方されたすべての医薬品を管理することとされ、「院内処方」が原則となる。ただし24時間対応等している薬局については院外処方も認められる。
この点、24時間対応等の定義が次のように明らかにされている(p4参照)。
●24時間開局薬局(病院が院外処方を行う場合)
・保険薬剤師が当直を行う等、保険薬剤師を24時間配置し、来局した患者の処方せんを直ちに調剤できる体制を有している
・客観的に見て24時間開局していることがわかる表示などを行っている
●24時間対応薬局(診療所が院外処方を行う場合)
・保険薬剤師が患者の求めに応じて24時間調剤等が速やかに実施できる体制を整備している
・当該保険薬局は、当該担当者および担当者と直接連絡がとれる連絡先電話番号等、緊急時の注意事項等について、原則として初回の処方せん受付時に(変更があった場合はその都度)、患者や家族等に対して説明のうえ、文書(これらの事項が薬袋に記載されている場合を含む)により交付している
【病室面積等の計算】
今回改定では、「1床あたり面積」などについて『内法で計算する』ことが明確にされた。ただし、平成26年3月31日までに届出を行っている場合には、増築・全面的改築までは『壁芯で計算してよい』ことも規定された。
この点、壁芯計算で建築途中の病院等もあることから、厚労省は次のようなケースでは「平成27年3月31日までに届出たものについては、増築・全面的改築までは壁芯計算でも可とする」旨の整理を行っている(p22参照)。
●壁芯による工事が完了している
●壁芯による設計または工事に着手している
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[改定速報] 疑義解釈その1に、DPCの診断群分類選択等にかかるQ&Aを追加
厚生労働省は3月31日に、「疑義解釈資料の送付(その1)」について修正版を公表した。
修正箇所の中で目立つものをあげると、次のようになっている。
(1)【外来放射線照射診療料】を算定した日から7日目の前日・翌日に、放射線治療の実施に関して必要な診療を行った上で【外来放射線照射診療料】を算定できるか否かについて、厚労省当局による「患者1人につき、年に1回(休日によるものを除く)までであれば差支えない」旨の回答を追加した(p14参照)。
(2)今回改定では『向精神薬等の多剤投与を行った場合の減算』が導入されたが、除外規定の1つとして「抗うつ薬・抗精神病薬に限り、精神科の診療経験が十分な医師が、患者の病状等によりやむを得ず投与を行う必要があると認めた場合」がある。
ここで、精神科の診療経験が十分と認められるためには、「日本精神神経学会が認定する精神科専門医であることを証する文書」および「同学会が認定する研修を修了したことを証する文書」を添付することが必要である旨を追加した(p17参照)。
(3)DPCにおいて、「治験、臓器移植、先進医療」など包括対象外の患者がいったん退院し、同じ病院に再入院した場合に、「医学的に一連の診療として判断される場合は、出来高算定とする」旨を追加した(p25参照)。
(4)DPCにおいて、『網膜剥離』の診断群分類が「片眼」「両眼」に分かれている点について、いずれの診断群分類区分に該当するかは「1入院あたりで判断する」ことを明確化した(p33参照)。
(5)DPCにおいて、『白内障、水晶体の疾患』について、「1入院中に、片眼に白内障手術、もう片眼に緑内障手術を行った」場合には、重症度等は「片眼」を選択することを明確化した(p33参照)。
(6)DPCにおいて、「外来受診後、ただちに入院した」場合には、(i)初診料は算定できる(ii)再診料・外来診療料は算定できない(iii)検査・画像診断は包括評価に含まれ算定できない―ことを明確化した(p37参照)。