[改定速報] 26年度改定の解釈通知、地域包括ケア病棟は7日以内に診療計画を

[診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(3/5付 通知)《厚生労働省》]

平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2014年 03月 05日

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 厚生労働省は3月5日に、平成26年度の診療報酬改定答申を受けて、新たな医科点数表に関する告示を公布した。あわせて、厚労省保険局の医療課長名で新点数表の解釈通知「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」を発出している。
 注目される部分について見てみよう。
 
 
◆急性期入院医療
 
 7対1・10対1一般病棟で新設された【ADL維持向上等体制加算】の算定要件(必要な診療行為等)は、次のように提示された(p26参照)。
●入院患者に対し、規定された様式を用いて定期的なADL評価を行う
●入院患者に対するADLの維持、向上等を目的とした指導を行っている
●必要最小限の抑制とした上で、転倒転落防止対策を行っている
●必要に応じて、患者の家族に対して患者の状況を情報提供している
●入院患者のADLの維持、向上等に係るカンファレンスが定期的に開催され、医師、看護師その他の職種が参加している
●指導内容等を診療録に記載する
 
 別途に示された施設基準を満たしたうえで、上記の行為を行えば本加算を算定できるが、【心大血管疾患リハ料】、【脳血管疾患等リハ料】、【運動器リハ料】、【呼吸器リハ料】、【摂食機能療法】、【視能訓練】、【障害児(者)リハ料】、【がん患者リハ料】、【認知症患者リハ料】、【集団コミュニケーション療法料】を算定した場合には、当該療法を開始した日から本加算を算定することはできなくなる(p26参照)。
 
 
◆短期滞在手術
 
 短期滞在手術等基本料は大幅な見直しが行われた。
 大雑把にいえば、「4泊5日までの基本料3の対象疾患が大幅に増加され、完全包括評価となり、平均在院日数の計算対象としない」ことなどが柱である。
 この完全包括評価について、厚労省当局は「退院時の投薬に係る費用を除き、医科点数表に掲げるすべての項目を算定できない」と明快な説明を行っている(p85参照)。
 また持参薬については、「入院の契機となる傷病の治療に係るものとして、あらかじめ処方された医薬品を持参させ使用することは原則として認められない」ことも明確にされた(p85参照)。
 
 
 
◆回復期の入院医療
 
 新設された地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料を含む、以下同)については、かなり高額な報酬設定がなされたが、多くの診療報酬項目が包括評価されている。包括から除外され、別途出来高算定が可能な項目は次のとおりとなる(p710参照)。
●看護職員配置加算、看護補助者配置加算、救急・在宅等支援病床初期加算
●臨床研修病院入院診療加算
●在宅患者緊急入院診療加算
●医師事務作業補助体制加算(一般病棟に限る)
●地域加算
●離島加算
●医療安全対策加算
●感染防止対策加算
●患者サポート体制充実加算
●救急搬送患者地域連携受入加算(一般病棟に限る)
●データ提出加算
●地域連携診療計画退院時指導料(I)
●在宅医療
●摂食機能療法
●人工腎臓
●別に厚生労働大臣の定める除外薬剤と注射薬の費用
 
 また、地域包括ケア病棟では、入院から7日以内(転院・直接入院問わず)に「医師、看護師、在宅復帰支援担当者などが共同して新たに診療計画(退院に向けた指導・計画等を含む)を作成し、文書により病状、症状、治療計画、検査内容および日程、手術内容および日程、推定される入院期間等について、患者に対して説明・交付し、写しを診療録に添付」しなければならないことが明らかにされた。退室先の記載も必要である(p76参照)。
 
 
◆慢性期入院医療
 
 療養病棟入院基本料1で新設された【慢性維持透析管理加算】に関しては、「自院で人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜灌流、血漿交換療法を継続的かつ適切に行っている」場合に算定できるが、「毎日行う必要はない」ことが明確にされた(p28参照)。
 
 
◆中小病院・診療所の外来医療
 
 中小病院・診療所の主治医機能を評価するために新設された【地域包括診療料】については、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症のうち2つ以上を有する患者を対象として、次の指導・管理等を行うことを包括評価するものであることが改めて説明された(p107〜p109参照)。
(1)指導、服薬管理等
(2)健康相談や健診等の受診勧奨
(3)介護保険に係る相談、要介護認定に係る主治医意見書の作成
(4)在宅医療の提供や24時間対応
 
 
◆在宅医療
 
 在宅医療については、機能強化型の在支診等の要件を厳格化したほか、看取り等を積極的に行う在支診等を評価する加算を新設している(p131〜p172参照)。
 
 一方、不適切な在宅医療も一部にあることを重視した厳格化等が行われている。
 最大の厳格化は「複数の同一建物居住者に対し、同一日に在宅医療を提供した場合の点数」を大幅に減額した点であろう。
 このほか「在宅訪問診療料」や「在宅時医学総合管理料」などについて、「少なくとも徒歩で家族・介助者等の助けを借りずに通院できる者」などは、対象患者から除外されることが明文化されている。厚労省は、こうした患者に対して「地域包括診療料・地域包括診療加算を算定できる」旨をコメントし、不適切な在宅から外来への誘導を行っている(p135参照)(p138参照)。
 また、訪問診療を実施する場合には、「患者・家族等の署名がある訪問診療に係る同意書を作成して、診療録に添付する」「訪問診療計画および診療内容の要点を診療録に記載する」「訪問診療の時間(開始時刻および終了時間)と訪問診療の場所を診療録に記載する」ことが必要となった(p137参照)。
 
 
◆リハビリ
 
 疾患別リハについては、「心大血管疾患リハ料、運動器リハ料、呼吸器リハ料、障害児(者)リハ料、がん患者リハ料の対象となる患者」は、脳血管疾患等リハの「廃用症候群の場合」の対象から除外されることが明確に示されている(p282参照)。
 
 
◆救急医療
 
 救急医療管理加算は、今回改定で重篤な状態が例示されている【加算1】と、加算1の状態に準ずる状態である【加算2】に区分された(不適切事例への対応)(p42〜p43参照)。
 このうち【加算2】の準ずる状態とは、「医師が診察等の結果、緊急に入院が必要であると認めた重症患者」をいう。また、入院時において重篤な状態であれば算定でき、加算の算定期間中に継続して重篤な状態である必要はない(p43参照)。
 
 
◆勤務医の負担軽減
 
 勤務医の負担軽減措置として評価の高い医師事務作業補助体制加算であるが、病棟・外来以外での業務が多いのではないかとの指摘がある。このため、「【医師事務作業補助体制加算1】を算定する場合は、補助者の延べ勤務時間数の8割以上の時間において、医師事務作業補助業務が病棟または外来で行われている」ことが必要とされている(p46参照)。
 
 
 チーム医療推進の一環として平成24年度改定で導入された病棟薬剤業務実施加算であるが、病棟薬剤業務の中に、公的な安全性情報だけではなく、「医薬品・医療機器等の回収(自主回収)等の情報についても把握し、医療従事者へ周知する」ことが盛込まれた(p66参照)。
 さらに病棟薬剤師には、「退院時の薬学的管理指導」などを可能な限り実施するよう期待されている(p67参照)。
 
 
◆関連通知一覧
 
 医科、歯科、調剤の診療報酬本体に関して、以下のような告示・通知が示されているので、ご活用いただきたい。
●診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(平成26年3月5日付通知、保医発0305第3号)(p3〜p661参照)
●診療報酬の算定方法の一部を改正する件(平成26年厚生労働省告示第57号)(p662〜p977参照)
●保険医療機関及び保険医療養担当規則等の一部を改正する省令(新旧対照表)(p978〜p979参照)
●保険医療機関及び保険医療養担当規則及び保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部を改正する省令(新旧対照表)(p980参照)
●保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(新旧対照表)(p981参照)
●高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付等の取扱い及び担当に関する基準及び高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付等の取扱い及び担当に関する基準の一部を改正する件の一部を改正する告示(新旧対照表)(p982〜p983参照)
●高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付等の取扱い及び担当に関する基準の一部を改正する件(新旧対照表)(p984参照)
●保険医療機関及び保険医療養担当規則等の一部改正に伴う実施上の留意事項について(平成26年3月5日付通知、保医発0305第10号)(p985〜p987参照)
●医療費の内容の分かる領収証及び個別の診療報酬の算定項目の分かる明細書の交付について(平成26年3月5日付通知、保発0305第2号)(p988〜p1006参照)

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