[改定速報] 後発品への置換率に着目した新引下げルール、2.0〜1.5%で決定

[中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(第99回 12/25)《厚生労働省》]

平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2013年 12月 25日

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 厚生労働省は12月25日に、中医協の薬価専門部会を開催した。
 この日は、次期(平成26年度)薬価制度改革の骨子をまとめ、直後に開かれた中医協総会に報告している。
 
 薬価制度改革の内容については、これまでの議論で概ね固まっているが、(1)新たな「後発品への置換え率に着目した長期収載品の価格引下げルール(いわゆるZ2)」の詳細(2)新薬創出等加算の試行継続―などについて、詰めきれていない部分があった。
 
 (1)の新ルールは、これまでの「後発品が出現した場合の特例引下げルール(いわゆるZ)」と「平成22、24年度に行われた、後発品への置換えが十分に進まないことに着目した特別の追加引下げ(ルールはない)」を改組し、新たに「後発品への置換えが十分に進まない場合の引下げルール(Z2)」を設けるというもの(p4参照)。
 具体的には、「後発品が出現してから5年を経過しても、なお置換え率(市場におけるシェア)が60%に満たない場合には、通常の市場実勢価格に基づいた薬価引下げの後に、さらに特別の価格引下げを行う」というもの。
 この日は、厚労省当局から次のような具体的な引下げ幅が提案され、了承されている(p4参照)。
●置換え率20%未満では、当該長期収載品の価格を2.0%引下げる
●置換え率40%未満では、当該長期収載品の価格を1.75%引下げる
●置換え率60%未満では、当該長期収載品の価格を1.5%引下げる
 
 この新ルールによる財政影響について、厚労省保険局医療課の近澤薬剤管理官は「金額は精査中であるが、これまでの特例引下げによる効果に比べて1.5倍以上の医療費削減効果がある」と説明している。
 
 
 26年度薬価制度改革は、次のように整理されている。
【既収載品の薬価改定】(p3〜p4参照)
●既収載の後発品価格は、次の3価格帯とする(p3参照)
(1)最高価格の30%未満のものは、その加重平均を算定額とし、統一名収載する
(2)最高価格の30%以上50%未満のものは、その加重平均を算定額とするが、銘柄別収載とする
(3)最高価格の50%以上のものは、その加重平均を算定額とするが、銘柄別収載とする
 
●長期収載品の後発品への置換え率に着目した薬価引下げルールは前述のとおりとなった(p4参照)
 
●最低薬価のうち、注射剤については容量に応じた最低薬価を設定する(p4参照)
 
●新薬創出等加算については、試行を継続するとともに、「真に医療の質の向上に貢献する医薬品」(小児、オーファン領域(希少疾病)、既存薬では十分な効果が得られない疾患(難病、アンメットニーズなど))の研究開発を行っている企業の品目を対象とする(p4参照)(p7〜p8参照)
 
【新薬の薬価算定】(p4〜p6参照)
●製剤上の工夫をすることなく単に投与期間を延長するためだけに含有量を増やした医薬品に規格間調整が適用される場合には、規格間比の上限を0.5850とする(p4〜p5参照)
 
●薬価基準に収載されていない「新規性のない成分」を含む配合剤(市販薬の有効成分など)については、薬価収載されている単剤のみの薬価とする(p5参照)
 
●ラセミ体医薬品光学分割ルールについて、薬価収載期間の長短、製造販売業者の異同の条件を削除する(「光学分割を行ったことにより当該ラセミ体に比し高い有効性または安全性を有することが客観的に示されている」ことのみを要件とする)(p5参照)
 
●外国平均価格調整において、外国平均価格の4分の5(現行は2分の3)に相当する額を上回った場合には引下げ調整を行う(p5参照)
 
●外国平均価格調整において、外国価格が2ヵ国以上あり、その最高価格が最低価格の3倍(現行は5倍)を上回る場合は、当該最高価格を除いて相加平均した外国平均価格を用いて調整する(p5参照)
 
●類似薬が存在しないために原価計算方式で算定されるようなイノベーションについては、定量的な評価指標を導入することを前提に、平均的な営業利益率の上限の範囲を拡大する(現在のプラス50%からプラス100%に引上げる)(p5参照)
 
●新規作用機序を有する新薬について、「世界に先駆けて、日本で承認を取得した場合」(欧米諸国での開発計画が進行している等が確認されており、ローカルドラッグではない場合に限る)であって、かつ「画期性加算、有用性加算(I)を受けた」品目について、イノベーションを評価するための新たな加算制度として創設する(加算の程度は市場性加算(I)と同様の10%とする)(p6参照)
なお、当該加算を受けた品目を最類似薬として類似薬効比較方式により算定する場合には、「当該加算分」を控除した薬価をベースに算定する
 
●新規後発品の価格について、原則6掛け、後発品が10品目を超える場合には5掛けとする(p6参照)
 
●消費増税に伴い、既収載品目の薬価算定式を次のとおりとする(p6参照)
新薬価=[医療機関・薬局への販売価格の加重平均値(税抜の市場実勢価格)]×[1+消費税率(0.08)(地方消費税分を含む)]+調整幅
 ただし、[改定前薬価(税込み)÷1.05×1.08]が上限

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