[改定速報] DPCの後発品指数、「使用割合60%以上を満点」とすること再確認

[診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会(平成25年度 第12回 12/18)《厚生労働省》]

平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2013年 12月 18日

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 厚生労働省は12月18日に、診療報酬調査専門組織の「DPC評価分科会」を開催した。
 この日は、平成26年度のDPC制度改革に向けた追加検討事項について議論を行った。
 
 
◆後発医薬品使用割合の評価、「60%を満点とする」考え方を確認
 
 平成26年度のDPC制度改革に向けては、これまでの分科会の検討結果(中間まとめ)が12月13日の中医協総会に報告された。
 そこでは概ねの了承を得られたが、(1)新設される「後発医薬品指数」(2)見直される「7日ルール」(現行の3日ルール)―の2点について、再度検討を行うよう指示が出された。
 
 (1)については、後発医薬品指数を「60%以上を満点評価とし、そこに達していない病院を連続指数で減点する」との分科会案に対し、中医協委員から「60%を超えるDPC病院をより手厚く評価すべきではないか」との指摘がなされていた。
 
 これを受け厚労省当局は、次の2つの考え方を提示している(p4〜p5参照)。
●後発品使用割合60%以上を満点評価とし、そこに達していない病院を連続指数で減点する(原案どおり)
●後発品使用割合100%を満点評価とし、そこに達していない病院を連続指数で減点する
 
 両者の違いは、「後発品使用割合60%以上の病院にインセンティブを与えるか否か」「後発品使用割合が低い病院へのディスインセンティブをどう考えるか(後者のほうが厳しくなる)」などの点に現れる。
 委員間の議論では、「現時点では、後発品使用割合が60%に達していない病院が9割程度ある(p5参照)。そうした中では、原案(60%以上を満点とする)のほうが現実的ではないか」といった意見が数多く出され、小山分科会長(東邦大医学部特任教授)は「原案(60%以上を満点とする)を支持する意見が多いようだ。原案を再度、中医協総会に報告する」とまとめている。
 
 
◆7日ルールの判断、「DPCコードの上2桁」比較で十分なことも確認
 
 (2)の「7日ルール」については、少しおさらいをしておこう。
 DPC制度でも、出来高方式と同様に、入院期間に応じて点数が低くなっていく。一部の病院では、「入院期間が長く、低い点数しか算定できなくなった患者については、一度退院させ、直後に再入院させることで入院期間をリセットし、改めて高い点数を算定する」ことが行われていた。
 これを是正するために、厚労省は「3日以内の再入院において、前の入院と後の入院が連続していると認められる場合には、入院期間のリセットは認めない」というルールを設定している。
 これが、いわゆる「3日ルール」で、前後の入院の連続性は、「前入院における『もっとも医療資源を投入した傷病名』」と「再入院における『入院の契機となった傷病名』」を比較し、DPCコードの上6桁(MDC・主要診断群と分類コード)が同一か否かで判断している。
 
 この点、3日ルールを回避するために、再入院時の『入院の契機となった傷病名』を操作するなどの事例が見られたため、今回の見直しになったものだ。
 具体的には、(1)3日を7日に拡大する(2)傷病名の比較を、DPCコードの上6桁(主要診断群と分類コード)から上2桁(主要診断群のみ)に変更する―などが見直し内容となっている。
 このうち(2)の見直し内容について、12月13日の中医協総会では「上2桁が同一な再入院を一連のものとみなすことは、医療上の必要性の高い再入院をも同一と扱う危険性がある。データを精査して問題がないかどうかを再確認する必要がある」との指摘が行われた。
 
 厚労省がこの指摘を受けてデータを洗い直したところ、次のようなことがわかった。
●比較対象を上6桁から上2桁に見直すことによって、これまで一連とみなされなかった傷病名の組合せが、一連とみなされることになる。たとえば【120170 早産、切迫早産】と【120180 胎児及び胎児付属物の異常】の716件、【040080 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎】と【040081 誤嚥性肺炎】の698件など(p6〜p7参照)。
●上記の新たに一連とみなされるようになるケースについて、再入院における『もっとも医療資源を投入した傷病名』を分析すると、前入院の『もっとも医療資源を投入した傷病名』と深く関係している。たとえば【120180 胎児及び胎児附属物の異常】では、「前期破水、分娩開始が24時間未満」や「帝王切開」が多く、これらは【120170 早産、切迫早産】と密接に関係している(p7〜p10参照)。
 
 これらの結果から厚労省当局は「上2桁の比較で一連の入院とみなして差支えない」との結論を導いており、委員もこれを了承している。
 
 
◆高額薬剤使用の際に入院初日点数引上げる方式、拡大して試行継続
 
 このほか、次のようなテーマも議題となった。
(1)平成26年度改定に向けて診断群分類を見直しており、たとえば「【010086 プリオン病】を【010086 プリオン病】と【010089 亜急性硬化性全脳炎】を分離し、プリオン病を包括評価する」などの改定を行う(p12〜p14参照)
 
(2)高額薬剤に対応するために試行導入された点数設定方法を、33分類(現在は22分類)に拡大する(26年度の出来高点数表決定後に確定する)(p15〜p18参照)
 
(3)様式1との混乱を避けるために、点数表の「副傷病」を『定義副傷病』とよぶことにする(p19参照)
 
(4)新たな技術等の保険収載に伴って、定義テーブルを修正する(p19参照)
 
(5)出来高算定となっている高額な新薬を用いる診断群分類について、(i)平成24年10〜25年9月の通年データがそろっているものは包括評価とする(既存の分類に組込む、あるいは新規の分岐を設定する)(ii)24年10月以降に高額薬剤として認められたものは通年データがそろっていないため、出来高評価を継続する(p19〜p20参照)
 
(6)アップコーディングを是正するために、DIC【130100 播種性血管内凝固症候群】で請求する場合には、「DICの原因と考えられる基礎疾患」「厚労省DIC診断基準によるDICスコア、あるいは急性期DIC診断基準によるDICスコア」「今回入院中に実施された治療内容および検査値等の推移」をレセプトに添付することを試行的に導入する(p21参照)
 
(7)適切なコーディングを促すため、DPC/PDPS傷病名コーディングテキストを広く配布する(p22〜p97参照)
 
 (2)は高額な医薬品分の収益を確保するために、不必要な入院期間の延長をしている事例を是正するための措置。具体的には、入院初日の点数に「高額な医薬品分のコスト」等を折込むというもの。いわばDPC制度で「1入院あたり包括支払方式(DRG/PPS)」を実現したもの。
 平成24年度改定では22診断群に導入され、18の診断群では入院期間の短縮などの効果が見られている。今般、【090010xx99x61x 乳房の悪性腫瘍 パクリタキセル(アルブミン懸濁型)あり】などでも試行されることとなったものだ。
 
 また(7)のコーディングテキストについて、小山分科会長は「審査上の手引きとすれば一気に医療現場に広まる」とコメントしているが、厚労省保険局医療課の担当者は「医療現場のコーディング能力には差があり、すぐにテキストを審査上のルールとすることは困難であろう。もう少し現場が鍛えられる必要がある」との考えを述べている。
 
 
 これらの議論経過は、12月25日開催予定の中医協総会に報告される。年明けには、中医協総会で機能評価係数IIへの財源配分や、いわゆる激変緩和措置などについて検討が行われる模様だ。

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