[改定速報] 26年度のDPC制度、機能評価係数IIや算定ルールを一部見直し

[ 診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会(平成25年度 第10回 11/27)《厚生労働省》]

平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2013年 11月 27日

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 厚生労働省は11月27日に、診療報酬調査専門組織の「DPC評価分科会」を開催した。
 この日は、前回(11月3日)の議論等を踏まえて(1)機能評価係数II(2)算定ルール等(3)退院患者調査―のそれぞれについて具体的な見直し案が提示された。
 厚労省当局は「あと2回」程度、会合を開いて最終とりまとめを行い、12月中に中医協総会に報告を行いたいとしている。
 
 
◆データ提出指数の減算規定が3つに増加、名称は次回会合までおあずけ
 
 (1)の機能評価係数IIでは、(i)データ提出指数(ii)救急医療指数(iii)地域医療指数―を見直すとともに、新たな指数を導入する方向が固まった。
 
 (i)のデータ提出指数については、次のような減算規定が盛込まれる模様だ(p5〜p8参照)(p14参照)。
●部位不明コードが20%以上ある場合には、指数を5%減じる(現行どおり)
●様式1とEFファイル等との間に矛盾のあるデータが1%以上ある場合に、指数を一定程度減じる
●未コード化傷病名の割合が20%以上ある場合には、指数を一定程度減じる
 後2者の減算幅については、中医協総会で決定することになる。
 
 この減算規定については、竹井委員(保健医療福祉情報システム工業会 医事コンピュータ部会DPC委員長)から「一定の周知期間をとるべき」との指摘がなされている。
 
 一方、「副傷病名の記載」については、「レセプト病名のように質の悪いデータが混入しては意味がない」ことから、今後、検討を継続していくこととなっている。
 ただし、厚労省当局は「コーディングガイドの中で、副傷病名記載の重要性を説いていく」考えを表明している。
 
 また、前回会合で提案された「指導医療官への医師派遣」などは、次回会合で検討される模様だ。これに伴い、「データ提出指数」の新たな名称についての議論もお預けとなっている。
 
 
 (ii)の救急医療指数については、「病院独自の解釈により重篤な患者を増やす」事例が散見されることから、重症者を客観的指標(診療報酬のA300【救命救急入院料】など)を用いて限定する方向が固まっている(p8参照)(p15参照)。
 ただし、委員からは「様式1に『310 その他に準じる』旨のコードがあり、これを見直す必要があるのではないか」との指摘が多数出ており、今後の検討課題になりそうだ。
 
 
 (iii)の地域医療指数には、現在の10項目に、新たに『急性心筋梗塞の実績評価(時間外対応加算を算定している場合に、入院2日目までにK546【経皮的冠動脈形成術】などをどれだけ算定しているか)』『精神科身体合併症の体制(A230-3【精神科身体合併症管理加算】の施設基準届出)』の2項目が加わる(p9〜p11参照)(p15〜p16参照)(p17〜p51参照)。
 このほか、「評価上限ポイント(現在は10項目のうち7ポイントで満点評価)を、I群、II群(厚労省は10ポイントを想定)とIII群(同8ポイントを想定)に区分する」ことや、「がん診療連携拠点病院の評価に、小児がん拠点病院等を加える」ことなども行われる模様だ。
 
 
 さらに、26年度改定では、新たな指数として『後発医薬品指数』が導入される方向も固まっている。後発品使用促進に向けて、後発品の使用割合に応じた指数を設定するものである(p11参照)(p16参照)。
 
 
◆3日ルール改め「7日ルール」、前後入院のDPC上2桁コードで一連か否かを判断
 
 (2)の算定ルールでは、まず「特定入院期間を過ぎて、初めて行われた高額な材料・薬剤を用いる検査」について、抗がん剤と同様に『算定不可』とする取扱いが検討されたが、「平均的な医療機関でも、半数程度は『特定入院期間を過ぎてから、高額な材料等を用いる検査』を行うことがある」ことなどが分かっており、26年度改定での導入は見送られている(p52参照)。
 
 
 また、いわゆる「3日ルール」については、「7日ルール」に拡大することなどが提案され、概ね了承されている(p53〜p55参照)(p59〜p65参照)。
 
 なお、これまでは、「当初入院における最大資源投入病名」と「再入院時の病名」「再入院における最大資源投入病名」を比較し、「当初入院と再入院が一連か否か」を判断する方向で検討していた。
 しかし、「再入院における最大資源投入病名」を比較対象とした場合には、再入院の退院まで「一連か否か」が判断できず、仮に再入院の入院期間が長くなった場合(特定入院期間を過ぎて出来高算定となった場合)には「差額調整」(一連の入院となった場合には、診療報酬が少なくなるための調整)が行えない、などの手続き上の問題があり、今回は見送りとなっている。
 
 このため厚労省は、「当初入院の最大資源投入病名」と「再入院時の病名」とで、DPC上2桁コードを比較し、同一の場合には「一連とみなす」という考え方を打出している。
 
 
 懸案となっている持参薬については、いまだにさまざまな見解があり、議論が収束しない。
 そこで厚労省当局は、最低ラインとして「DPC対象病院は、当該病院に入院することが予め決まっている患者に対し、当該入院の契機となった傷病を治療するために使用することを目的とする薬剤については、特段の理由がない限り、当該病院の外来で事前に処方すること等によって患者に持参させ入院中に使用してはならない(特段の理由がある場合は診療録に記載すること)」旨の規定を設けるとするにとどめている(p57〜p58参照)。
 
 
◆医療・介護連携の状況把握するため、入院経路・退院先を詳しく調査
 
 (3)の退院患者調査については、次のような見直しが行われることになる(p68〜p70参照)。
(i)医療・介護連携の状況を把握するために、入院経路を「院内の他病棟からの転棟」「家庭からの入院」「他の病院・診療所の病棟からの転院」「介護施設・福祉施設に入所中」などに区分して把握する
(ii)同じく退院先について、「院内の他病棟への転棟」「家庭への退院」「他の病院・診療所の病棟への転院」「介護老人保健施設への入所」「介護老人福祉施設への入所」「社会福祉施設への入所」「終了(死亡等)」などに区分して把握する
(iii)認知症の状態と医療資源投入量との関係を把握するために、入院時の状態(日常生活自立度判定基準)を「認知症なし」「自立度I、II(軽度)」「自立度III、IV、M(重度あるいは医療が必要)の3つに区分して把握する
(iv)持参薬使用の有無について、「自院で処方された持参薬を使用」「他院で処方された持参薬を使用」「自院と他院の両方で処方された持参薬を使用」「持参薬を使用していない」の4つに区分して把握する
 
 (i)(ii)は、医療・介護連携状況の把握に向けて非常に重要であり、美原委員(脳血管研究所附属美原記念病院院長)から「(i)の入院経路についても、老健施設なのか、特養ホームなのかなどを細分化して調べるべき」との強い要望が出された。
 この点について委員の理解は深まったが、医療現場に与える負担も増加する。このため嶋森委員(東京都看護協会会長)は「当初は退院先について詳しく調査し、次に入院経路について詳しく調べるという段階を踏んではどうか」との提案がなされ、この方向で進めることが確認されている。
 
 なお、心不全における「Nohria分類」の追加については、「主観的な指標である」「現場への普及度が低い」ことなどから、今回の導入は見送られている。

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