[自殺対策] 都における自殺総合対策、若年層が自殺に追い込まれないよう重点施策に

[平成25年度自殺総合対策東京会議―東京都(H25.11.14)]

精神科医療行政ニュース - 2013年 11月 22日

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 東京都は、平成19年7月に「自殺総合対策東京会議」を設置し、医療や福祉、教育、産業など様々な分野の人が連携しながら社会全体で自殺対策を進めるための取組みを行っています。平成25年度の自殺総合対策東京会議は11月14日に開催されました。

 

 この日は、(1)東京都における自殺総合対策の基本的な取組方針の改正(2)東京都の自殺の現状(3)自殺対策の取組に係る委員からの報告(4)重点課題への取組、について話し合われました。

 

 まず、東京都の自殺の現状について見てみます。人口動態統計による自殺者数は、平成9年までは2000人前後で推移していましたが、平成10年に約2700人(対前年度比32%増)に増加しました。それ以降、平成24年度まで年間約2500人から2900人もの方が自殺により命を失っています。男女別では、男性の自殺者数が女性の約2倍であり、特に20歳代から70歳代までは女性を大きく上回る状況となっています。中でも、男性の40歳〜49歳の自殺者数の多さが目立ちます(平成24年度、357人)。また、30歳代までの若年層の自殺者の割合が全国と比較して高く、自殺者全体の約3分の1を占めています。さらに、特に20歳代の自殺死亡率(人口10万人当たり自殺死亡者数)の増加が顕著であることから、若い世代の自殺対策の重要性がより高くなっています。このほか、自殺既遂者のうち、男性の1割、女性の3割が未遂歴があり、女性に至っては19歳以下が43.8%、20歳代が39.6%、30歳代が38.9%などと高い割合で自殺未遂の経験をもつことなどが報告されました。
都内で発生した自殺の原因・動機については、警視庁の統計では、「健康問題」が最も多く、次いで「経済・生活問題」「家庭問題」の順となっています。男性は女性よりも「勤務問題」の割合が多く、女性は全ての年代で「健康問題」を原因・動機とする自殺が多いという状況です。健康問題では、うつ病等をはじめとした精神疾患が約7割で、身体の病気が約3割となっています。

 

 都では、これらの現状を踏まえ、さらに効果的な自殺対策を推進するため、国の自殺総合対策大綱の見直し(平成24年8月)とあわせ、東京都における自殺総合対策の基本的な取組方針の改正を行ったところです。
○数値目標
 平成28年度までに、自殺死亡率を20%以上減少させる
 平成 17 年の自殺死亡率 → 平成 28 年までに 17.4 以下
○ 対策の方向性
・  50歳代前半から60歳代前半までの男性の自殺を防ぐ
・  若年層が自殺に追い込まれないようにする
・  高齢者の自殺を防ぐ
・  自殺未遂者の再企図を防ぐ
・  自殺念慮者を必要に応じて、精神科医療につなぐ
・  地域の実情に応じた効果的対策を推進する
○ 重点施策
(1)  自殺対策の基盤整備−自殺対策の体制作り、自殺の実態把握
(2)  社会全体で自殺を予防する[事前予防(一次予防)]−自殺防止のための環境整備や  

    情報提供と普及啓発
(3)  自殺の兆しを早期に発見する[危機対応(二次予防)]−相談・支援の充実による自殺

    の防止、対応等に応じた取組
(4)  自殺企図を二度と繰り返させない[事後対応(三次予防)]−自殺未遂者へのケアと再

    発防止、遺族へのケアと支援の充実


 またこの日は、中央区や町田市、足立区、世田谷区から地域における先駆的な取組事例や、民間団体における取組事例が報告されたほか、自殺対策の取組に係る委員からの報告が行われました。


 

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