[改定速報] 機能強化に向けて26年度改定で中小病院・診療所の評価を 日医
[診療報酬改定にむけての見解(その1)―第19回医療経済実態調査等を踏まえて―(11/20)《日本医師会》]
平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2013年 11月 21日
日本医師会は11月20日の定例記者会見で、第19回医療経済実態調査等を踏まえて「診療報酬改定にむけての見解(その1)」を発表した。
日医では、医療経済実態調査結果を次のように分析している(p3〜p49参照)。
●病院では医業収益が増加しているが、損益差額構成比(医業利益率に相当する)は「医療法人で横ばい」「国公立では上昇したものの赤字」となっている
●税引後総損益差額構成比(税引後利益率に相当)で見ると、医療法人は公立病院を下回る
●一般診療所では医業収益の伸びが1%強に止まり、損益差額構成比は有床診療所でやや低下している
●国公立以外の特定機能病院は赤字から黒字に転換している
●療養病棟入院基本料を算定する病院は、いずれも損益差額構成比が縮小している
●精神科病院は医業収益がほとんど伸びず、損益差額構成比が縮小している
●有床診療所では、外科、産婦人科で損益差額構成比が縮小している
●無床診療所では、精神科、外科で損益差額構成比が縮小している
こうした結果を受け日医は「医療機関の収益はほとんど改善していない」とコメントしているが、その要因は「給与費率の上昇」にあると考えられる。
給与費率の上昇は、前回24年度(2012年度)改定で重点課題とされた「病院勤務医等の負担軽減」に基づく成果の可能性があるが、日医では「まだまだ不十分」と指摘する(p1〜p2参照)。
また、現在の保健・医療・介護における最重要課題である「地域包括ケアシステム」の中核的機能を担うのは、地域の中小病院・診療所の『かかりつけ医』であると強調。さらに、地域に密着した病院には『在宅医療等の後方支援機能』、有床診には『病院からの早期退院患者の在宅・介護施設への受渡し機能』が期待されるが、今回の実態調査結果に鑑みて、「機能強化に向けた再投資のための原資は不十分」とも指摘する(p2参照)。
これらを踏まえ日医では、(1)診療報酬による医療従事者のさらなる処遇改善(2)中小病院、診療所への十分な評価―を要請している(p1〜p2参照)。
なお、日医では「TKC医業経営指標に基づく経営動態分析」も提示。そこからは、24(2012)年度における民間医療機関の営業利益率について「病院(中小規模中心の法人立)で低下」「有床診(個人立、法人立)は横ばい」「無床診(法人立)で横ばい」「無床診(個人立)でやや改善」など、総体として医療機関経営が厳しい状況がうかがえるとしている(p51〜p92参照)。