[精神疾患] 30%が「こころの病気に自分自身がかかる可能性がある」と回答 東京都調査
[こころの病気に関する世論調査―平成25年10月―東京都生活文化局(H25.10.30)]
精神科医療行政ニュース - 2013年 11月 08日
東京都は10月30日に、こころの病気に関する世論調査の結果を公表しました。
都は、都内の精神疾患(こころの病気)の患者数を約28万人と推計し、精神疾患は都民に広く関わる疾患となっていることを懸念しています。そのため、平成25年3月に改定した東京都保健医療計画で、精神疾患をがんや脳卒中と並ぶ5疾病のひとつに新たに位置づけ、精神疾患患者を地域で支える社会の実現を目指しています。
その一環としてこの調査は、都民のこころの病気に関する意識や要望を把握し、今後の都政運営の参考とするために行われました。
主な調査項目は、(1)こころの健康状態及びこころの健康に関する知識、(2)こころの病気について知る機会、(3)こころの病気がある人への関わり方、(4)こころの病気に対する社会の理解促進、などです。平成25年7月12日〜7月28日、東京都全域に住む満20歳以上の男女(個人)を住民基本台帳に基づき無作為に3000標本抽出し、調査員の個別訪問による面接聴取によって行われました。有効回収は、1636標本(54.5%)でした。
調査結果の一部を見てみます。
まず、毎日の生活の中で不安やストレスを感じることがあるかを聞いたところ、65.3%が「感じる」と回答しました。また、こころの病気に自分自身がこれからかかる可能性があると思うかを聞いたところ、「そう思う」と「どちらかというとそう思う」の合計の「そう思う」が29.5%、「そう思わない」と「どちらかというとそう思わない」の合計の「そう思わない」が66.6%でした。一方、同様に、家族や友人、隣人や近隣など身近な周囲の人がかかる可能性があると思うかを聞いたところ、「そう思う」が53.4%、「そう思わない」が42.1%という結果でした。
こころの病気の認知度については、「病気の内容を知っていた」は、アルコール依存症の89.0%が最も高く、次いで認知症の87.0%、うつ病の81.4%、パニック障害の46.9%、統合失調症の30.9%となっています。また、「名前は聞いたことがある」を含めると、アルコール依存症、認知症、うつ病、パニック障害の4つは、90%以上と認知度が高いものの、統合失調症は68.2%とやや低くなっています。もっとも、統合失調症においては、31.8%が「知らなかった」と回答しています。
病気の詳細の認知度については、「パニック障害」が青年期から成人期に発病することが多いことや、「統合失調症」が青年期に発症することが多いことについて、「知らなかった」(64.2%、74.3%)と回答するケースが多いことが目立ちます。
次にこころの病気について知る機会を見てみます。
こころの病気がある人と身近に話したことがあるかを聞いたところ、54.5%が「ある」と回答しています。「ある」と回答した人に、話した場所を聞いたところ、「家庭・隣近所などの生活の場」が55.0%と最も高く、次いで「職場」が46.1%、「病院・介護施設」が15.5%と続きます。
また、心の病気がある人本人やその家族の悩みを聞いたり、相談にのったりしたことがあるかを聞いたところ、「ある」が45.0%、「ない」が54.6%でした。
さらに、日ごろ、こころの病気について情報を得ようとしているかどうかを聞いたところ、「積極的に情報を得るようにしている」が11.1%、「機会があれば情報を得るようにしている」が42.8%で、「特に情報を得ようとはしていない」が45.8%となっています。その理由を見てみると、「関心がないから」が37.5%で最も多く、「どのように情報を得ればいいのかわからないから」が24.3%、「関心はあるが、情報を得る時間がないから」が16.7%、「こころの病気について関わりたくないから」が9.5%という結果でした。
最後に、こころの病気に対する社会の理解を深めるために効果的なこととしては、86.3%が「行政によるこころの病気や治療についての知識の普及・啓発」、83.2%が「学校での教育」、83.9%が「こころの病気がある人が働きやすい環境づくりとそれに伴う雇用促進」を選択していました。