[材料価格] 同一機能区分内に複数の償還価格設定し、イノベーション評価を

[中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会(第60回 10/16)《厚生労働省》]

平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2013年 10月 16日

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 厚生労働省は10月16日に、中医協の保険医療材料専門部会を開催した。
 この日は、医療機器業界からのヒアリングを行った。
 
 意見陳述を行ったのは、【日本医療機器産業連合会(JFMDA)】【日本医療機器テクノロジー協会(MTJAPAN)】【先進医療技術工業会(AdvaMed)】【米国医療機器・IVD工業会(AMDD)】【欧州ビジネス協会(EBC)医療機器委員会】【日本医療機器販売業協会(医器販協)】の6団体。
 
 メーカー団体からの要望は、大きく次の3点に整理できる。
(1)イノベーションの評価
(2)外国価格調整
(3)医療技術
 
 
◆イノベーション評価のため、「機能区分内複数価格帯制度」を提唱
 
 (1)のイノベーション評価については、「画期的な医療機器を開発しても、現行の機能区分別償還制度では十分な評価がなされない」として、メーカー団体は24年度改正に引続き『機能区分内複数価格帯制度』を提案している(p8〜p13参照)。
 
 これは、同じ機能区分に分類された医療機器であっても、大きな価格の格差(全製品の実勢価格加重平均値と、改定前償還価格(材料価格)との乖離率が2倍以上)がある場合には、償還価格を2つに分けて設定するというもの。
 たとえばペースメーカーという機能区分に10製品があったとして、価格の高いグループ(X1グループ)と価格の低いグループ(X2グループ)に明確に分けられる場合には、X1グループとX2グループのそれぞれで償還価格を設定するという考え方だ(現在は10製品すべてが同じ償還価格)。
 メーカー側は「財政中立」や「試行的導入」とすることも提唱しており、この複数価格帯制度で医療機器全体の費用が増加しないように配慮している。
 
 このほか、「安全性に係る費用(市販後調査および研修・教育等)について、原価計算方式だけでなく、類似機能区分比較方式にも導入する」こと(p14参照)や、「複数の機能区分の機能を併せ持つ新たな機器等の評価を行う」こと(p15参照)なども提案している。
 また、保険医療材料専門組織の松本委員長が、前回(9月25日)会合で提唱した「より革新性の高い画期性加算や有用性加算を受ける製品については、一定期間、単独の機能区分を維持する」仕組みなどにも賛意を示している(p16〜p18参照)。
 
 この点、鈴木委員(日医常任理事)は、「イノベーション評価の必要性は理解できるが、改良・改善などは評価すべきだろうか。通常製品であれば、機能向上とともに価格を引下げている」と述べ、一定の牽制を行っている。
 しかし、メーカーサイドは「医療機器には、改良・改善を繰り返す中で将来的に画期的な製品となるという特性がある」と説明し、改良・改善に対する評価に理解を求めた。
 
 
◆医療機器の内外価格差、「我が国の医療制度にも原因ある」と白川委員
 
 (2)の外国価格調整は、一般的に指摘される「外国では安い価格で流通しているのに対し、日本国内では高い価格が設定されている」との批判を受けて導入された仕組みだ。
 具体的には、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリアの平均価格と比較し、1.5倍よりも高い価格が我が国で設定されている場合には、価格差に応じて引下げを行うというものである。
 
 この点、メーカー側は「価格差は解消してきている」ことや、「ヨーロッパと日本を比較すると、ヨーロッパでは症例の集約化(1つの医療機関で多くの症例を治療する)が進み、日本の5〜10倍になっている」ことなどを説明し、次の2点をコメントしている(p20〜p25参照)。
●外国価格平均を算出する際に、著しく高い「はずれ値」を除外する提案(これにより外国平均価格が低くなり、価格調整される製品等が増加する)について、「はずれ値」の予測が困難であり、償還価格の予見可能性を一層損なうことになり反対(つまり、メーカー側があらかじめ償還価格を予想できず、収益目標設定などが難しくなる)
●既収載品の外国価格調整(再算定)における価格上限の変更(現在の1.5倍から1.3倍とすることを検討中)について、急激・大幅な価格切り下げを回避するため、導入時期・倍率変更を考慮すべき
 
 このテーマについては、白川委員(健保連専務理事)から「内外価格差の発生原因は、我が国の医療提供体制なども関係しているようだ。たとえばフリーアクセスが保障されているため、多くの医療機関に患者が広くいきわたり、そこで手術等を行うために、医療機関では複数の機器等を配備せざるをえず、これがメーカー等のコストに跳ね返り、償還価格を高くしていることがある。患者も医療機関側も少し工夫や我慢をしなければ内外価格差は解消しないのではないだろうか」との見解を述べている。
 
 
◆既存医療機器の改良・改善も区分C2の対象となることを明確化せよ
 
 (3)の医療技術については、メーカーサイドから次のような要望が出された(p35〜p38参照)。
(i)区分C2(新機能・新技術)申請者に対して、算定点数案を諾否可能な形で事前提示してほしい
(ii)真に医療に貢献する改良改善を経た医療技術に対して、既存技術よりも高い評価をしてほしい
(iii)既存の医療機器を改良・改善した医療機器も区分C2の対象であることを通知で明確化してほしい
(iv)患者の安全・安心に向けて、B011-4【医療機器安全管理料】の適用拡大などを行ってほしい
(v)医療現場の実態に合わせ、最新・最善の消毒薬を用いた洗浄・消毒がより進むよう、診療報酬上の手当てを考慮してほしい
 
 このうち(v)について鈴木委員は「現場からもこういった要望が出ており、考慮すべき」との見解を明らかにしている。
 
 
 なお、医療技術やイノベーションに関連して白川委員は「費用対効果評価を導入する場合、どう考えるべきか」と質問している。
 メーカーサイドはこの質問に対し、医療機器の特性である「2〜3年単位でマイナーチェンジを繰返す」「適用となる患者の状態等が個々人でまったく異なる」などの点を踏まえたうえで、「海外の仕組み(たとえば英国のQALY)の直輸入ではなく、我が国の医療実態にあった独自の仕組みを考えるべき」とコメントしている。
 
 
 このほか、医療機器流通を担う医器販協からは、非常に厳しい経営実態がアピールされ、「消費税増税分を適切に医療機関が負担する(転嫁しやすい)」よう特措法の周知徹底と運用が要望された(p39〜p49参照)。
 これに関連し、医器販協は「医療機器の価格交渉は本体価格で行い、妥結後に、そのときの税率で消費税を加算して請求する」という形にすべきとも提案している。

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