[DPC] 26年度のDPC制度改正に向け、分科会の中間報告を中医協総会が承認

[中央社会保険医療協議会 総会(第251回 10/16)《厚生労働省》]

平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2013年 10月 16日

» この記事を書いたメディアのページへ
 厚生労働省は10月16日に、中医協総会を開催した。
 この日は、下部組織であるDPC評価分科会から中間報告を受け、承認している。これを受け、DPC分科会では制度見直しの詳細を詰めていくことになる。
 
 
◆健保連の白川委員、「3日ルールの悪用」是正のための見直しを要望
 
 DPC分科会の中間報告について大まかに内容を振り返るとともに、この日の議論を整理しよう。
 
(1)基礎係数(医療機関群を含む)(p5〜p7参照)
●基礎係数等については、III群の細分化は行わない(将来を拘束するものではない)
●II群の実績要件である「臨床研修医数」について、協力型病院の研修実績は含めず、基幹型病院の採用数実績のみで算出する
 
 上記のように基礎係数については大きな見直しは行われない模様だ。
 
 
(2)機能評価係数II(p8〜p10参照)
●データ提出指数について「データの質を評価する新たな評価方法等」を検討する
●効率性指数について「後発品の使用割合による評価の導入」を検討する
●地域医療指数について「精神疾患を加えた5疾病・5事業についての評価項目導入」を検討する
 このうち、後発品使用割合の評価については「二重評価にならないか」という異論が分科会では一部委員から出されている。
 
 この点、後発品使用へのインセンティブについては、鈴木委員(日医常任理事)が「退院時処方等では後発品使用が進んでいないという実態があるのか?」と指摘。
 これに対し厚労省保険局医療課の佐々木企画官は、「DPC病院から抽出したおおまかなデータでは、包括評価部分では後発品使用割合は40%強、退院時処方などの出来高部分では25%程度となっている」としたうえで、「後発品使用を進めるために、分科会でDPC病院からのヒアリング等を踏まえた検討を行う予定だ」と説明している。
 
 
(3)算定ルール等(p11〜p15参照)
●高額薬剤を使用する診断群分類(22分類)について「入院期間Iの点数を高く設定(高額薬剤の費用を組込む)し、かつ入院期間Iを1日とする(これにより入院1日目で高額薬剤の費用を回収できる)」仕組みを継続するとともに、高額な医療材料を用いる検査(心臓カテーテル検査など)への拡大を検討する
●退院から3日以内に「同一の病名」で再入院した場合の入院期間通算ルール(3日ルール)について、現在の「『前入院の最大資源投入病名』と『再入院時の傷病名』が同一の場合に通算する」という取扱いから、「『前入院の最大資源投入病名』と『再入院の最大資源投入病名』が同一の場合に通算する」と改めることを検討する
 
 後者の3日ルールは平成20年度改定で導入されたもので、「一旦退院させて入院期間をリセットし、直後に再入院させて高いDPC包括点数を算定する(DPCでも包括部分は入院期間に応じた逓減制がとられている)」という弊害を是正するために設けられた。
 3日以内に同じ傷病名で入院した場合には、入院期間は通算するというルールである。
 しかし、上記のように「3日以内の再入院時には傷病名を操作し、入院期間の通算を免れているのではないか」と考えられる事例が少なくない(p13参照)ため、今回見直しが検討されているものだ。
 
 この点、万代委員(日病常任理事)から「再入院の状況を詳細に調べる必要があるのではないか」との意見もあったが、白川委員(健保連専務理事)は「退院後4日以降の再入院では、傷病名の一致が大幅に増加する点などから、『3日ルールの悪用』と考えられる」と指摘し、「同一の傷病名と判断できる幅を広くし、悪用されないような仕組みを構築してほしい」と要望している。
 
 
◆診療側の鈴木委員「医療機関別係数の激変緩和措置」継続を要望
 
 この日は、DPCに関する調査結果報告も行われた。
 1つは、24年度の退院患者調査(p46〜p159参照)。包括評価であるDPC制度の導入によって、医療現場に「粗診粗療が生じていないか」を確認するものである。
 調査結果からは、(1)DPC病院では在院日数の短縮傾向が続いており、救急車による搬送や他院からの紹介が増加している(2)検査や化学療法の外来への移行について、施設(医療機関群)や地域との特段の関連性は見出せない(3)精神科を併設する総合病院では、精神疾患を有する患者を一般病床で積極的に受入れている―ことなどが明らかとなっている。
 
 
 もう1つは、24年度の特別調査(p160〜p195参照)。ここでは、適切なコーディング(疾病や治療内容等から適切なDPCコードを選択する)に向けて、アンケート調査とヒアリング調査が行われている。
 調査結果からは、次の5つの課題が浮かんでいる(p164参照)。
(i)コーディングにおいては、医師・診療情報管理部門・請求部門(医事課)の役割を明確にし、かつ意思疎通を十分に行うなど医療機関全体で協力する体制が必要
(ii)医師が、コーディングの基礎となるICD(国際疾病分類)を含め、DPC制度の理解を深めることが必要
(iii)「適切なコーディングに関する委員会」を頻回(できれば毎月)に開催し、院内で適切なコーディングについて議論することが必要
(iv)国がコーディングガイドにより、具体的事例も含めてDPCコーディングの基本的な考え方を示すことが必要
(v)適切なコーディングに柔軟に対応できる電子カルテ、請求システム等の整備をベンダーが行うことが必要
 課題解決に向け、今後、DPC分科会でより詳細な議論が行われることになる。
 
 適切なコーディングについては、白川委員から「コードを修正した結果、どの程度の返還額が生じているかなどのデータを示してほしい」との要望が出ている。
 
 
 なお、この日は「激変緩和措置」も話題にのぼった(p30参照)。
 24年度改定から、調整係数(暫定調整係数)の基礎係数・機能評価係数IIへの段階的置き換えがスタートしている。このため、DPC病院によっては医療機関別係数(基礎係数・機能評価係数・暫定調整係数などの和、包括点数に医療機関別係数をかけて請求額を計算する)が従前と大きく変動するケースが生じ、病院経営に大きな影響が出ることが予想された。
 そこで厚労省は24年度改定において「従前からプラスマイナス2%を超えて医療機関別係数が変動しない」ようにする激変緩和措置を設けたのだ。
 鈴木委員は、「病院経営への配慮を今後も継続してほしい」と述べ、26年度以降も激変緩和措置を継続するよう要望している。

関連資料

※資料をご覧いただくためには、ログインが必要です。
mail   pass

mail
pass

医時通信について

よくある質問