[精神医療]精神医療検討会の中間まとめ、地域移行をさらに進めるため精神病床は減少
[第5回精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会−厚生労働省(H25.9.30)]
精神科医療行政ニュース - 2013年 10月 04日
厚生労働省は9月30日、精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会を開催し、「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針案」のたたき台を修文した、中間まとめを提示しました。
中間まとめは、前回会合で提示されたたたき台と同様に、(1)精神病床の機能分化(2)精神障害者の居宅等における保健医療サービス及び福祉サービスの提供(3)精神障害者に対する医療の提供にあたっての医師、看護師その他の医療従事者と精神保健福祉士その他の精神障害者の保健福祉に関する専門的知識を有する者との連携(4)その他良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供の確保、に関する事項の4部構成となっています。
(資料には、前回会合のたたき台に対する意見を反映した「中間まとめ(案)」の見え消し版、および溶け込み版が提示されています)
全体的な方向性としては、入院医療中心の精神医療から地域生活を支えるための精神医療に移行するよう、精神病床の機能分化を図る方針が示されています。また、精神障害者の医療および保護の観点から、最大限人権に配慮した医療提供を行うこと、精神障害者を身近で支える家族を支援し、精神障害者およびその家族が自立した関係を構築することを促進するための取組みを推進すること、ともしています。
精神病床の機能分化については、「機能分化は段階的に行い、人材・財源を効率的に配分するとともに、地域移行を更に進める。結果として、精神病床は減少する」ことが明記されています。また、急性期については、「精神科入院医療における医師及び看護職員の配置を手厚くするとともに、多職種による患者の状況に応じた質の高いチーム医療を提供し、退院支援等の取組を推進する」としています。
精神障害者の居宅等における提供体制については、(i)外来・デイケア等の通院患者に対する医療の在り方、(ii)居宅における医療サービスの在り方、(iii)精神科救急医療体制の整備、(iv)一般医療機関との連携、(v)保健サービスの提供、(vi)福祉サービスの提供、の項目を設け、方向性が示されています。
(iii)の精神科救急医療体制の整備では、地域の特性を活かしつつ24時間対応できる精神科救急医療システムや相談窓口等の医療へアクセスするための体制を整備することを推進することが盛りまれました。また、精神科診療所の医師が、病院群輪番型精神科救急医療施設等に出向き、夜間・休日における救急診療を行う等、地域の状況に応じて精神科診療所が救急に協力できる体制を推進する方針です。
認知症患者に対する医療提供の機能については、多種多様な精神疾患の一つとして、「老年期精神障害(認知症等)」に分類しています。認知症の行動・心理症状で入院が必要な場合でも、できる限り短い期間での退院を目指すための体制整備や療養環境を確保する方針です。また、認知症の早期診断・早期対応が重要であることから、鑑別診断や専門医療相談等を行える医療機関(認知症疾患医療センター等)の整備も進められる模様です。
このほか、精神障害者に対する入院医療や地域での生活を支えるため、多職種連携の在り方などがまとめられています。