[材料価格] 画期的な医療機器は単独機能区分設定し、イノベーション推進を

[中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会(第59回 9/25)《厚生労働省》]

平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2013年 09月 25日

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 厚生労働省は9月25日に、中医協の保険医療材料専門部会を開催した。
 この日は、算定ルールに基づいて実際に材料価格設定を行っている『保険医療材料専門組織』の松本委員長から意見発表が行われた。
 
 松本委員長は、(1)外国価格調整(2)イノベーションの評価(3)原価計算方式における原料費の透明性確保―の大きく3テーマに沿って意見を述べている(p3〜p4参照)。
 
 (1)の外国価格調整については、「外国価格のうち最高価格が最低価格の3倍を超える場合には、当該最高価格を除外した相加平均を外国価格平均とする」などのルールを導入してはどうかと提案している(p3参照)(p8参照)。
 これは薬価算定ルールに倣ったもので、外国価格平均を算出する場合に「外れ値」を除外しようという考え方に基づいている。
 
 また、内外価格差解消に向けて、「既収載品の再算定においては、直近2回の価格改定で下落率15%以内のもののうち、外国平均価格の1.3倍を超える製品については、1.3倍を上限とする」ことも提案している(p3参照)(p9〜p10参照)。
 現在の1.5倍ルールを一部厳格化するものである。
 
 
 (2)のイノベーション評価は、画期的な製品の開発を促すことが目的であり、次のような提案を行っている(p3〜p4参照)。
●「迅速な保険導入にかかる評価」は試行を継続する(p11参照)
●原価計算方式において、平均的な営業利益率の上限を、現行の「プラス50%」から「プラス100%」に引上げる
●より革新性の高い画期性加算や有用性加算を受ける製品については、一定期間、単独の機能区分を維持する(p12〜p13参照)(p14参照)
●希少疾病用医療機器に指定された製品については、一定期間、単独の機能区分を維持する(p12〜p13参照)
●類似機能区分比較方式によると「外国価格平均比が著しく低い(0.5倍以下)」製品については、原価計算方式での申請を認める(p15参照)
●ヒト等に由来する原材料を用いた既収載品に比べて、すべての生物由来原材料等を除いた場合で、かつ同等の機能を有することが客観的に示された場合には、改良加算の要件に追加する
 
 このうち「画期的な医療機器等についての単独機能区分設定」は、類似の機器が保険収載されることで当該区分の価格が下落してしまうという弊害を一定期間除去しようとの考え方に基づくものである(p12〜p13参照)。
 
 (3)の原価計算の透明性確保に関しては、「国内で一貫して製造されており、詳細に原料費が積上げられた資料が提出された場合には、外国価格調整の対象から除外する」ことを提案している(p4参照)。
 このほか、「後発医療機器として承認を得た製品については、A1、A2、B区分で申請する」ことを基本としてはどうかとも提案している(p4参照)。
 
 
 こうした意見について、委員からは「保険財政への影響が明らかではない(厚労省当局から、上記ルール見直しによる対象品目数の変動等は示されている(p5〜p15参照))」、「具体性がなく、イメージが湧かない」など厳しい意見が相次いだ。
 たとえば白川委員(健保連専務理事)は、「財政影響についての数字を示してほしい」と要望したほか、「(3)の原価計算透明化については、何が問題であるのかが明らかになっていない。そこを明示しなければ議論はできない」とコメントしている。
 
 また嘉山委員(国立がん研究センター名誉総長)は、「制度見直しの方向性には異論がないが、数字を設定するにあたっての根拠や、具体例がなければ判断できない」と述べ、賛否の決定を留保している。
 
 
 こうした厳しい意見に対し、医療機器メーカーを代表する田村専門委員(アボットジャパン株式会社ガバメントアフェアーズバイスプレジデント)らは、「将来の状況(経営を含めて)を見通せない中では、医療機器メーカーはイノベーションに向けた投資を行うことはできない」と述べ、画期的な製品開発を支援する上記提案を認めるよう委員らに訴えている。

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