[薬価] 日薬連やPhRMA等、新薬創出等加算の本格化・恒久化を強く要望

[中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(第91回 9/25)《厚生労働省》]

平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2013年 09月 25日

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 厚生労働省は9月25日に、中医協の薬価専門部会を開催した。
 この日は、製薬メーカー等からヒアリングを行っている。
 
 意見陳述を行ったのは、(1)日本製薬団体連合会(日薬連)(2)米国研究製薬工業協会(PhRMA)(3)欧州製薬団体連合会(EFPIA)(4)日本医薬品卸売業連合会(卸連)―の4団体。
 
 
 (1)の日薬連は、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算の本格導入・恒久化」と「保険医療上必要性の高い医薬品の薬価改定方式の見直し」の2点に絞った要望を行った(p3〜p22参照)(p23〜p32参照)。
 前者の新薬創出等加算は、平成22年度改定で試行導入されたルールで、新薬については、薬価改定においても「改定前価格の80%を維持する」というものだ。
 この加算で得られた資金を財源に、未承認薬や適応外薬の積極的な開発を目指すことが先発品メーカーに期待されている。
 この点、日薬連は「改定前価格の100%維持(本格導入)」と「恒久化(現在は試行の継続)」を強く求めている(p16参照)。
 
 後者の「保険医療上必要性の高い医薬品」については、一般の医薬品とは別に、安定供給を確保する(災害などの緊急時にも迅速に対応できるように平時から準備する)体制を評価する仕組みとすることを提案している(p16参照)。
 
 このほか、長期収載品(先発品)については、「後発品とは役割が異なる」ことを改めて指摘し、「長期収載品が果たしている機能・役割に鑑みた評価」を求めている(p16参照)。
 
 
 (2)のPhRMAは、(i)新薬算定に係る加算の強化(ii)外国平均価格調整ルール見直しの再考(iii)市場拡大再算定の見直し―の3点について意見を述べている(p33〜p43参照)。
 (i)では、革新的な新薬は「小さく限定的な市場」を対象とする傾向にあり、新薬の売上規模が縮小していることを訴え、「新薬が世界に先駆けて、日本で初めて承認された場合に適用される」新しい加算を創設することを強く求めている(p41参照)。
 
 また(iii)の市場拡大再算定については、「イノベーションを著しく阻害する」と批判し、「撤廃」あるいは「類似薬効比較方式では不適用」とすることを要望している(p43参照)。
 
 
 (3)のEFPIAからは、(i)新薬創出等加算を恒久化するとともに、加算の割合を「改定前価格の100%維持」とする(ii)新薬そのもののイノベーションを評価する意味で、新薬の価値に基づいた適切な評価を行う(iii)類似薬効比較方式で算定された医薬品を、市場拡大再算定から除外する(iv)新薬創出等加算の要件を満たすものは、市場拡大再算定による引下げ率を緩和する―ことなどが要望された(p44〜p51参照)。
 
 
 また(4)の卸連は、(i)長期収載品の特例的引下げの恣意的な実行はしない(ii)後発品の統一名収載を拡大する(iii)医薬品にかかる消費税(価格に含まれている)を医療機関・薬局に確実に転嫁できるよう、消費税についての医療機関・薬局の理解促進を図る―ことなどを求めている(p52〜p62参照)。
 
 
 これらのうち、(1)の日薬連が行った「保険医療上必要な医薬品の安定供給」については、たとえば基礎的輸液(生理食塩水など)を製造するメーカーの工場が地震等の被害にあった場合でも、円滑な供給ができるように業界団体がバックアップする必要がある。ただし、工場の認可等には大きなコストが必要であり、その点を経済的に評価すべきとの提案だ。
 基礎的輸液等の安定供給(薬価の保障)は24年度改定でも議題に上がったが、「さらなる検討が必要」として見送られた経緯があり、メーカーサイドは異なる切口での提案を行っている。
 
 
 また、(4)の卸連による「後発品の統一名収載」についても注目が集まった。
 「後発品の統一名収載」とは、類似する後発品が膨大である状況(薬局等の在庫負担が過大になる)を是正するために、(i)最高価格から20%未満のものは統一名収載する(ii)最高価格から20%以上30%未満のものは、薬価を統一する(銘柄名収載は維持)(iii)後発品の中で、最高価格から30%以上のものについて、薬価が3%以内の複数のものを1つの薬価として収載する―というルールだ。
 卸連では、上記のうち(i)については「最高価格から30%未満を統一収載とする」、(iii)については「薬価が5%以内の複数のものを1つの薬価として収載する」という具合にしてはどうかともコメントしている。

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