[診療報酬] 26年度「一体改革」関連改定方針固まる、病床機能報告と整合性

[次期診療報酬改定における社会保障・税一体改革関連の基本的な考え方について(9/6)《厚生労働省》]

平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2013年 09月 09日

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 厚生労働省は9月6日に、「次期診療報酬改定における社会保障・税一体改革関連の基本的な考え方」を発表した。
 次期診療報酬改定(26年度改定)は、大きく(1)病床機能分化など「一体改革」の実現を目指す項目(2)がん対策や勤務医負担軽減など、一体改革の有無にかかわらず進めるべき項目(3)消費税率8%への対応―の3つのパーツで構成されることになる。
もちろん、それぞれは密接に関連するが、現時点では(1)の一体改革関連と(3)の消費増税対応が先行して議論されている。
 
 これは、診療報酬改定の基本方針を論議する社会保障審議会の医療保険部会および医療部会でも同様で、25年7月から「一体改革の実現に向けた診療報酬改定」をテーマに検討を開始。8月上旬には早くも「一体改革関連の基本的な考え方」案が厚労省当局から示された。
今般の「基本的な考え方」は、厚労省案に委員の意見を組込んだものといえる。
 
 「基本的な考え方」では、まず、団塊の世代が75歳以上となる2025年(平成37年)に向けて、急性期から回復期、長期療養、在宅医療まで「患者が状態に合った適切な医療を受けることができる」よう、国民会議報告書も踏まえて、『医療機関の機能分化・強化と連携を進め、病床の役割を明確化したうえで機能に応じた充実を行うとともに、急性期を脱した患者の受け皿となる病床、かかりつけ医機能、在宅医療等を充実していかなければならない』と強調する(p1参照)。
 ここでは、「別途検討が行われている病床機能報告制度との整合性」「地域完結型の医療提供体制構築」「診療報酬と補助金の特性を考慮しながら、適切な組合せによる対応」の必要性も強く指摘している(p1〜p2参照)。
 
 高度急性期・一般急性期の入院医療については、「急性期病床における患者像の適切な評価」や「早期からのリハビリ実施や退院・転院支援の充実」が重要であることを再確認したうえで、次のような検討を行うよう中医協に指示している(p2参照)。
●急性期病床を担う機能を明確化し、高度・一般急性期を担う病床の機能強化
●重症度・看護必要度の見直し等による、患者の状態に応じた医療の提供
●入院早期からのリハや退院・転院支援の推進
●退院・転院に係る連携の強化
●急性期病床の平均在院日数の短縮
 
 また長期療養については、適切な環境の重要性を指摘し、「急性期病床における長期入院患者の評価の適正化」「長期療養病棟と急性期等との連携強化、受入体制の充実」などを検討するよう要請している(p3参照)。
 
 さらに、回復期医療(【亜急性期入院医療管理料】等のことであり、病床機能報告制度との整合性をとり、この名称となった)については、今後のニーズ増加を踏まえて、「回復期リハ病棟との機能の違い」を踏まえつつ、次の点を検討すべきとしている(p3参照)。
●急性期病床からの患者受入れ
●在宅・生活復帰支援
●在宅患者の急変時の受入れ
 この点、「『急変時の受入れ』は急性期病床が担うべき」という日医等の強い要望を踏まえ、「病床機能報告制度の報告区分にあわせて議論すべき」との意見が併記されている(p3参照)。
 
 なお、有床診療所に関しては、「病院からの早期退院患者の受入れ」「在宅患者の急変時の受入れ」「在宅医療の拠点」「終末期医療を担う」「専門医療を担う」という多様な機能を持っていることから、それぞれの機能に応じた評価を検討するよう求めている(p3参照)。
 
 一方、外来医療については、(i)診療所・中小病院におけるかかりつけ医機能の評価(ii)大病院の専門外来の評価(iii)大病院の紹介外来をさらに推進する方策―について検討し、診療所・中小病院と大病院との機能分化を図っていく方向を示している(p3〜p4参照)。
 
 また在宅医療に関しては、地域包括ケアシステム構築に向けて、次のような項目を検討すべきと提案している(p4参照)。
●看取りを含めた、在支診・病の機能強化
●在支診・病以外の医療機関による在宅医療
●24時間対応、看取り・重度化への対応など機能に応じた訪問看護の評価や、訪問看護ステーションの大規模化推進
●在宅歯科医療の推進
●在宅薬剤管理指導の推進
●訪問診療の適正化
 
 このほか、医療機関相互や医療・介護の連携を推進するため、「入院医療、かかりつけ医、在宅医療、歯科医療、薬局、訪問看護、介護などのネットワークにおいて、患者を支えるこれらが協働して機能を発揮し、患者の状態に応じた質の高い医療を提供すること」や、「病院から在宅への円滑な移行」「医療と介護の切れ目のない連携」を評価することを中医協に要請している(p4参照)。

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