[精神医療] 障害支援区分への見直し案、3障害共通の審査判定基準は限界で網羅するのは困難では

[障害支援区分への見直し(案)に対する意見募集の結果概要―厚生労働省(H25.8.30)]

精神科医療行政ニュース - 2013年 09月 06日

» この記事を書いたメディアのページへ

 8月30日、厚生労働省は7月1日から7月31日までにホームページを通じて、障害支援区分への見直し(案)に対するパブリックコメントの結果を公表しました。
 現在、障害福祉サービス等の支給決定などに使用されている「障害程度区分」は、平成26年4月から「障害支援区分」として見直されることになっています。

 

 まず、新判定方式(コンピュータ判定式)の構築については、現行のコンピュータ判定式では、肢体不自由者以外の障害の特性を十分に反映できていないなどの課題がありました。課題解消のため、二次判定により近い一次判定が全国一律で可能となるよう、抜本的な見直しが行われます。これについて寄せられた意見には、「知的障害者や精神障害者の特性に限らず、身体障害者や重複障害者等の特性にも留意しながら判定式を構築してほしい」「現在、利用している障害福祉サービスが継続できるよう、障害支援区分の認定に伴い、現在認定を受けている障害程度区分から下がることのないようにしてほしい」などがありました。

 

 次に調査項目について見てみます。見直し(案)では、評価が難しい知的障害者や精神障害者の特性をより反映するため、調査項目が6項目追加され、特に、発達障害の特性にも配慮できるよう、行動障害に関する調査項目を加える提案が示されていました。これについては、「知的障害者や精神障害者の特性に限らず、身体障害者や重複障害者等の特性にも留意しながら認定調査項目を検討してほしい」「家族や支援者の有無や状況など、障害者の置かれている環境に関する項目を認定調査項目に追加してほしい」などといった意見が寄せられています。
 また、評価が重複する調査項目14項目を7項目に統合するとともに、他の調査項目や医師意見書で評価できる調査項目25項目が削除されることについては、「障害の特性は多種多様であるため、認定調査項目の統合や削除は行わずに、きめ細かい認定調査を実施すべきではないか」といった意見が出ています。
 認定調査の実施方法については、「認定調査員によって結果が変わらないよう、認定調査項目の新たな判断基準等を周知徹底し、認定調査員の質の向上(スキルアップ)を図るべき」との指摘が寄せられています。

 

 医師意見書の一部項目を、一次判定で直接評価することについては、「医師意見書を書く現場の医師に対して、周知徹底を図ってほしい」といった意見のほか、「専門外の医師が医師意見書を記載した場合など、一次判定で直接評価する麻痺や拘縮等の項目が『空欄(未記入)』のまま提出され、実際の身体状況が適切に評価されない可能性があるため、対策が必要ではないか」といった意見が出されています。

 

 また、障害者や障害者の家族、事業者、自治体首長、学識経験者等からなる「障がい者制度改革推進会議総合福祉部会」が、「区分を廃止すべき」といった提言を行っていることから、この提言に沿った見直しを進めるべきとの意見もありました。

 

 このほか、「3障害(身体障害者・知的障害者・精神障害者)共通の審査判定基準には限界があり、全ての障害者を網羅することは困難ではないか」といった意見もあり、見直し(案)の根幹に対する指摘も寄せられています。

 

 なお、意見総数は245件でした。

関連資料

※資料をご覧いただくためには、ログインが必要です。
mail   pass

mail
pass

医時通信について

よくある質問