[材料価格] 新規収載材料価格の外国価格調整、薬価制度論議も視野に入れる

[中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会(第58回 9/4)《厚生労働省》]

平成26年度 診療報酬改定 完全速報 - 2013年 09月 04日

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 厚生労働省は9月4日に、中医協の保険医療材料専門部会を開催した。
 この日は、内外価格差の是正について議論を行った。
 
 保険医療材料価格についても、薬価と同様に「国内価格が外国価格と比べて高い」との指摘があり、平成14年度の材料価格制度から外国価格参照制度が導入されている(p12〜p13参照)。
 これは、外国の価格に比べて国内価格が高い場合には、一定の基準に基づき国内価格を引下げるという仕組みだ。
 現在は、「アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリアの平均価格と比較し、国内価格が1.5倍を超える場合等には、超過率等に応じて価格を引下げる」となっている。
 
 この日は、厚労省当局から(1)新規収載品の価格調整(2)既収載品の価格調整―の2つにわけて、今後議論すべき点(論点)が提示された。
 
 
 まず(1)の新規収載品について、厚労省当局は「薬価専門部会の議論も参考に、より適切な外国平均価格の算出方法、および価格調整の比較水準をどう考えるか」という論点を示している(p4参照)。
 このうち「薬価専門部会の議論も参考に」という記述について、厚労省保険局医療課の佐々木企画官は「薬価制度における外国価格参照ルールの見直しが(厳しくなる方向で)議論されている。これを睨みながら、材料価格制度におけるルールの見直しを検討していこう」との趣旨であると解説。
 
 この点、白川委員(健保連専務理事)は「医薬品と保険医療材料ではマーケットこそ違え、外国価格との調整に関する基本的考え方は同じである。是非、具体案を提示してほしい」と厚労省提案を歓迎。
 しかし、田村専門委員(アボットジャパン株式会社ガバメントアフェアーズバイスプレジデント)は、「薬価と医療材料では価格算定ルールが異なる部分も少なくない。たとえば、医療材料は機能区分別に保険収載されており、外国の価格との適切な比較が難しい。この点、医薬品は銘柄別であり明確な比較が可能だ。また、1.5倍を超過した場合の引下げ手法も異なり、さらに国内価格が低い場合(0.75倍未満)の引上げルールもない。こうした点をしっかり把握したうえで検討すべきである」と注文をつけている。
 
 また白川委員は、「最初の値決めである新規収載時の価格算定が、内外価格差是正においてはもっとも重要であろう。外国価格を厳しく見積もる方向に進むべきである」とも指摘している。
 
 
 一方、(2)の既収載品については、厚労省当局から「我が国の流通実態、および海外実態状況調査等を踏まえつつ、再算定(価格見直し)の対象をどう考えるか」という論点が提示された(p6参照)。
 これに関連し、厚労省当局はいくつかの参考資料を提示している(p7〜p11参照)。
 たとえば、アメリカの調査会社から入手した市場価格データと、我が国の市場実勢価格を比較した資料では、「ペースメーカーや心臓手術用カテーテル、植込型除細動器において、我が国の価格はアメリカの価格の2倍以上である」とされている(p9〜p11参照)。もちろん、アメリカの市場価格はサンプルデータに過ぎないため、このデータを丸呑みすることはできないが、一定の内外価格差が存在することを示唆するものといえる。
 このアメリカと日本との価格差については、鈴木委員(日医常任理事)や嘉山委員(国立がん研究センター名誉総長)が強い関心を示し、「中医協で工夫しているが、どうしてここまでの価格差が出るのか教えてほしい」と要望した。
 これに対し田村専門委員は、(i)サポートコスト(ii)薬事承認―の2点の要素が大きいのではないかと分析している。
(i)は、「我が国では、アメリカに比べて、手術等により保険医療材料を使用する医療機関がばらついており、それらのサポートに係るメーカー等のコストがかさんでしまう」という問題だ。
(ii)は、薬事承認を得る場合に、「欧州では、たとえばEU加盟国内なら、1国での承認が他国でも効果を持ち、承認を得るためのコストが低く済む」という問題だ。
 
 なお鈴木委員は、「既収載品の価格再算定においては、新規収載時よりも強力な調整規定を設けるべきではないか」と提案している。

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