[医療福祉産業]産総研の「高齢者・障害者の感覚特性データベース」、製品・環境づくりに活用期待

[「高齢者・障害者の感覚特性データベース」を公開−独立行政法人産業技術総合研究所(H25.8.19)]

精神科医療行政ニュース - 2013年 08月 23日

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 独立行政法人産業技術総合研究所は8月19日、「高齢者・障害者の感覚特性データベース」を公開したことを明らかにしました。
 このデータベースは、産業技術総合研究所が過去15年以上にわたって、のべ3,000人以上を対象に測定した視覚・聴覚・触覚の感覚特性を、年齢や障害の有無などの検索条件に応じて表示するものです。これらの特性データは、日本工業規格(JIS)「高齢者・障害者配慮設計指針」に採用されているため、データベースは、数式や表で記述されたJISの規定内容をグラフィカルに表示する機能も合わせ持つといいます。

 

 産業技術総合研究所では、「従来、身の回りの製品・環境・サービスなどは、若い健常者を対象に設計・開発される傾向があったが、今後は、設計者がこのデータベースを参照することで、高齢者や障害者を含むさまざまな人々に対応した製品などの設計(アクセシブルデザイン)が容易となり、安心・快適な製品づくり・環境づくりが進むものと期待される」としています。

 

 具体的には、このデータベースの利用者は、視覚・聴覚・触覚に分類された16のデータ項目から関心のある項目を自由に選ぶことができ、データ項目を指定し、調べたい対象者の年齢、性別、測定条件などを選択または数値入力すると、入力された条件に合致したデータが引き出されるというものです。引き出された測定結果は、グラフや詳細な数値で表示される仕組みとなっています。

 

 資料では、表示形式の一例が示されています。
 それによると、「可読文字サイズ」のデータベースの画面は、画面左側で年齢、視距離、輝度、文字種を指定すると、右側にその条件に応じた「最小可読文字サイズ(読み取れる最小の大きさ)」、「読みやすい文字サイズ」などが表示されるといいます。また、設定条件は、スライダーで変更できるため、さまざまな年齢や条件を連続的に変えて、読み取れる最小文字サイズを見ることができるとしています。さらに、その推定結果は、数値(ptおよびmm)だけでなく、実寸大の文字でも表示されることから、条件による文字の読みやすさの違いを、データベースの使用者自身の目で見て直感的に理解することができると説明しています。

 

 もっとも、このデータベースの基の測定データはきわめて大規模であることから、すべてをウェブで公開することはできない、としています。そこで、より詳細なデータに関心のある企業の製品設計者などが利用する場合は、データベースに記載された問い合わせ窓口を通じて、データ公開の相談も受付けるといいます。また、利用者からの意見や要望を受けるために、問い合わせ窓口だけでなく、アンケート入力のページも用意し、そこから得られた利用者からの反応を参考に、未発表のデータの整備や新しい項目の追加など、一層の拡充を図っていくとしています。

 

 なお、8月19日より、高齢者・障害者の感覚特性データベース(http://scdb.db.aist.go.jp/)で日本語版・英語版ともに一般公開されており、公開されたデータは、「利用条件」に基づいて誰でも無料で利用することができます。

 

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