[自殺対策]自殺対策の実施状況や効果等を検証・評価するための会合を設置

[自殺対策検証評価会議(第1回)−内閣府(H25.8.1)]

精神科医療行政ニュース - 2013年 08月 08日

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 内閣府は8月1日、自殺対策検証評価会議の初会合を開催しました。
 この会議は、平成18年にスタートした「自殺総合対策会議」の下部組織である「自殺対策推進会議」が担っていた(1)連携・協働(2)検証・評価、の機能の拡充と強化を図るために設置されたものです。中立・公正の立場から、自殺対策の実施状況や効果等を検証・評価するため、行政評価・統計分析の専門家等で構成されています。なお、この会議とともに、地域レベルの実践的な取り組みをより協力に推進するため「自殺対策官民連携協働会議」も設置されました。

 

 初会合のこの日は、主に以下の内容が報告されました。
・ 「地域自殺対策緊急強化基金」の概要
・ 地域自殺対策緊急強化基金検証・評価報告書
・ 平成24年度地域自殺対策緊急強化事業の実施状況
・ 自殺者の推移

 

 「地域自殺対策緊急強化基金」とは、都道府県における相談体制整備および人材養成等を緊急に実施(平成21年度から23年度の3年間)したものです。地域の実情を踏まえて自主的に取り組む地方公共団体の対策や、民間団体の活動等を支援することにより、「地域における自殺対策力」を強化することが狙いです。予算額(平成21年度補正予算)は、100億円、補助率は10/10(地方負担なし)でした。このほか、うつ病医療体制強化事業(厚生労働省分)などを事業メニューに設けていました。

 

 資料として提示された、当該基金の検証・評価報告書は、(1)基金の概要(2)実施状況(3)基金の執行に関する都道府県別データによる定量的分析(4)基金事業の定性的分析(5)評価(6)補論、の6部構成となっています。
 (4)の基金事業の定性分析では、高齢者をターゲットにした事例、働き盛り世代をターゲットにした事例、自殺のハイリスク者対策を強化した事例などが報告されています。
たとえば、高齢者をターゲットにした事例では、平成21年から23年にかけての高齢者層(60歳以上)の自殺死亡率が東北地域の各県で減少しているのが特徴的としています。これは、東北地方の都道府県における自殺予防の取り組みが全国に先駆けて行われていることなどが背景にあります。岩手県では、平成13年度から地元大学の神経精神科学講座が中心的な役割を果たしながら行政と医療機関の連携のもと、自殺対策を行ってきていることが報告されています。紹介されている青森県・岩手県・秋田県の3県の事例をみても、長期的に自殺対策に取り組んでおり、取り組みの初期には原因究明や住民への啓発活動を丁寧に行っていることが、相談体制の整備や、民間団体の育成の進展につながっているのではないかと分析しています。
 なお、今回の評価報告書においては、客観的検証に耐えうるデータが不十分で、事業実施以外の分析については、十分に行えたとは言い難いとしています。地域における自殺対策力を強化するという基金の趣旨に基づき、政府から都道府県へ、都道府県から市町村へと、次第に主体を切り替えていくことが望ましいと提案しています。また、都道府県・市町村における自殺対策推進体制などについて、質的側面を検証するといった観点を導入していくことが重要と述べています。

 

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