[精神医療]障害の特性を反映するため、「障害支援区分」見直しへ

[障害支援区分への見直し(案)について<ご意見集>−厚生労働省(H25.7.1)]

精神科医療行政ニュース - 2013年 07月 12日

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 厚生労働省は7月1日、障害支援区分への見直し(案)についてパブリックコメントの募集を開始しました。
 この障害支援区分とは、平成24年6月20日に成立した「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(障害者総合支援法)において、これまでの障害の程度(重さ)ではなく、「障害者等の障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合を総合的に示すものとして厚生労働省令で定める区分」とし、名称を「障害支援区分」に改め、創設されたものです。
 これまでの障害程度区分は、知的障害者及び精神障害者について、一次判定で低く判定され、二次判定で引き上げられている割合が高いことが分かりました。
[二次判定で引上げられた割合]
  平成22年10月から23年9月では、
  身体障害者:20.3%、知的障害者:43.6%、精神障害者:46.2%
  平成23年10月から24年9月では、
  身体障害者:17.9%、知的障害者:40.7%、精神障害者:44.5%
が、一次判定より高く評価されています。そのため、「障害の特性を反映するよう見直すべきではないか」との課題が指摘されていました。

 
 今回提示されている障害支援区分の見直し(案)を見てみると、大きく「新判定式(コンピュータ判定式)の構築」「認定調査項目の見直し」が行われるようです。
●新判定式(コンピュータ判定式)の構築
 現行のコンピュータ判定式は、開発された当時の要介護認定の判定式(樹形図)をそのまま活用したため、肢体不自由者以外の障害の特性を十分に反映できていないことや、106項目の調査項目のうち、「行動障害や精神面等の調査項目(20項目)」の結果が、コンピュータ判定では評価されていない、といった課題がありました。そのため、全ての調査項目を活用しつつ、現行の二次判定により近い一次判定が全国一律で可能となるように、コンピュータ判定式を抜本的に見直されます。
 また、要介護認定と同じものを活用しているため、障害の特性を踏まえていないことから、一部の組み合わせだけで障害の特性か、入力ミスかを判断することは困難であることから、警告コードは廃止されます。

 

●認定調査項目の見直し
(1)  調査項目の追加
現行の調査項目では評価が難しい知的障害者や精神障害者の特性をより反映するため、調査項目が6項目追加されます。特に、発達障害の特性にも配慮できるよう、行動障害に関する調査項目が加わります。
(2)  調査項目の統合
障害程度区分の認定状況を分析し、評価が重複する調査項目14項目を7項目に統合するとともに、他の調査項目や医師意見書で評価できる調査項目25項目が削除されます。
(3)  選択肢の統一
「身体介助」「日常生活」「行動障害」に係る各調査項目の選択肢が統一されます。たとえば、身体介助では、運動機能の低下だけに限らず「知的障害や精神障害、発達障害による行動上の障害(意欲低下や多動)」や「内部障害や難病等の筋力低下や易疲労感」等によって「できない」場合を含めて判断することになります。また、行動障害では、行動上の障害が生じないように行っている支援や配慮、投薬等の頻度を含め判断します。
(4)  評価方法の見直し
 できたりできなかったりする場合、「より頻回な状況」から「できない状況」に判断基準が見直されます。この場合、なれていない状況や初めての場所ではできない場合を含めて判断されることになります。

 

 このほか、認定調査項目以外の活用として、医師意見書の一部項目を、コンピュータ判定で直接評価する形に見直されます。

 

 これらの障害支援区分は平成26年4月1日から施行される予定で、パブリックコメントは7月1日(月)から7月31日(水)まで受付けています。

 

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