[労働衛生] 「将来的に過労死等をゼロ」目指す、過労死等の防止のための対策に関する大綱を閣議決定

[「過労死等の防止のための対策に関する大綱」が閣議決定されました―厚生労働省(H27.724)]

精神科医療行政ニュース - 2015年 08月 07日

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 政府は7月24日、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を閣議決定しました。
この大綱は、「過労死等防止対策推進法」(平成26年11月施行)にもとづき、過労死との関連性が強いと医学的知見の得られた脳・心臓疾患や、自殺につながる場合があると考えられる精神障害などの実態を明らかにするなど、過労死などの防止対策を効果的に推進するために定められました。閣議決定を受けて、厚生労働省は今後、「大綱に即して、過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に向けて、各対策に取り組む」としています。

 まず、現状を見てみると、労働者1人当たりの年間総実労働時間は減少傾向で推移するものの、一般労働者については 2,000時間前後で高止まりしている状況。欧米諸国と比較して、年平均労働時間が長いことや、週労働時間60時間以上の労働者は近年低下傾向で推移しているものの、30歳代男性は17.0%(平成26年)と高い水準となっています。

 また、職場におけるメンタルヘルス対策の状況を見てみると、仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は、平成25年は52.3%と以前より低下していますが、半数は超えています。メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、平成25年は60.7%、 前年の47.2%より上昇しており、取組内容(複数回答)は、「労働者への教育研修・情報提供」(46.0%)が最も多く、次いで、「事業所内での相談体制の整備」(41.8%)、「管理監督者への教育研修・情報提供」(37.9%)という状況です。

 次に、自殺の状況を見てみると、平成10年以降14年間連続して3万人を超えていましたが、平成22年以後減少が続き、平成26年は2万5千人余りとなっています。勤務問題を自殺の原因・動機の一つとする自殺者数は、平成19年から平成23年までは、総数が横ばいから減少傾向にある中で増加、その後減少し、平成26年は 2,227人となっています。

 精神障害に係る労災補償の状況を見てみると、労災支給決定件数は、平成14年度に 100 件にのぼり、平成 24 年度には4倍以上の475件、平成25年度には436件と高い水準で推移しています。

 大綱では、法の基本的な考え方をふまえ、(1)現状と課題、(2)過労死等の防止対策の基本的考え、(3)国が取り組む重点対策、(4)国以外の主体が取り組む重点対策、(5)推進上の留意事項―がまとめられています。
 (3)の国が取り組む重点対策としては、以下の9つが掲げられています。
・国民に向けた周知・啓発の実施
・大学・高等学校等における労働条件に関する啓発の実施
・長時間労働の削減のための周知・啓発の実施
・過重労働による健康障害の防止に関する周知・啓発の実施
・「働き方」の見直しに向けた企業への働きかけの実施及び年次有給休暇の取得促進
・メンタルヘルスケアに関する周知・啓発の実施
・職場のパワーハラスメントの予防・解決のための周知・啓発の実施
・商慣行等も踏まえた取組の推進
・公務員に対する周知・啓発等の実施

 これらの対策をもって、大綱では、将来的に過労死等をゼロとすることを目指すとしています。また、平成32年までに「週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下」、「年次有給休暇取得率を70%以上」、平成29年までに「メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上」とする目標を早期に達成することを目指す方針です。

 これらの目標を掲げた上で、過労死の実態解明のために調査研究を進めることが必要としています。民間企業の労働者のみならず、自営業者や公務員も含めて背景を探り、全体像を明らかにする方針です。
 また、過労死の原因の一つである長時間労働の削減や、年次有給休暇の取得促進のために、これまでの働き方を見直し、仕事と生活の調和のとれた働き方を進めていくとしています。
 一方で、過重労働対策やメンタルヘルス対策に取り組んでいる企業が社会的に評価されるよう広く周知することが必要と明記しています。
 また、過労死を防止するためには、若い頃から労働条件に関する理解を深めることも重要ともしています。このほか、過労死等の危険性がある場合には、身体・精神面について専門家に早期に相談できるようにするため、相談窓口の体制を整備することも示されました。

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