[精神医療]精神障害の労災請求件数は1409件で過去最高、労災決定件数は4年ぶりに減少

[平成25年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」の公表−厚生労働省(H26.6.27)]

精神科医療行政ニュース - 2014年 07月 04日

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 厚生労働省は6月27日、平成25年度における「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」を公表しました。
 厚生労働省は、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況を調査しており、平成14年から年1回、労災補償状況を取りまとめています。具体的には、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを明らかにしています。

 ここでは、精神障害における労災補償状況を見てみます。
まず、平成25年度の精神障害における労災請求件数は1409件(前年度比152件増)で、過去最高の件数となっています。うち、支給決定数は436件(同比39件減)で、4年ぶりに減少。請求件数は毎年増加傾向にあるものの、決定件数は減少している点が注目されます。

業種別請求件数を見てみると、大分類では、「製造業」が最も多く249件、次いで、「医療・福祉」219件、「卸売業・小売業」199件の順となっています。また、支給決定件数については、「製造業」が78件で最多、「卸売業・小売業」65件、「医療・福祉」54件でした。中分類における請求件数は、「医療・福祉」の「社会保険・社会福祉・介護事業」が最も多く119件、次いで、「医療業」の96件となっています。支給決定についても、「社会保険・社会福祉・介護事業」が最も多く32件という結果でした。

次に、年齢別件数を見ると、請求件数および支給決定件数は、「30〜39歳」が428件・161件、「40〜49歳」が421件・106件となっています。30〜40歳代の働き盛りの中堅層の占める請求および支給決定件数は、依然として全体の6割に達しています。

続いて、支給決定436件の具体的な出来事を見てみます。件数順に見てみると、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」と、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が同数の55件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が49件、「(重度の)病気やケガをした」が46件、「1か月に80時間以上の時間外労働を行った」が34件と続きます。

この時間外労働の時間数(1か月平均)に着目してみると、支給決定件数で、精神障害によるものは、最も多いのが「20時間未満」の89件となっています。長時間労働とされる1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働の場合でも、支給決定件数が増える傾向は見られませんでした。一方、脳・心臓疾患では、80時間以上の時間外労働で、支給決定件数が大幅に増えていることが目立ちます。

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