[精神医療]精神障害者の地域移行の取りまとめ(案)、病棟転換型居住系施設に賛否両論

[長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会(第3回)−厚生労働省(H26.6.17)]

精神科医療行政ニュース - 2014年 06月 27日

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 厚生労働省は、長期入院精神障害者の地域移行について、作業チームで計5回の議論を重ねてきました。
 6月17日、厚労省当局は、同検討会の3回目となる会合を開き、これまでの議論の取りまとめ(案)を提示しました。

 取りまとめ(案)では、精神医療の将来像として、大きく2点を示しています。
 1点目:本人に対する支援として、「退院に向けた意欲の喚起」と「本人の意向に沿った移行支援」、居住の場の確保や地域生活を支える医療の充実等として、「地域生活の支援」を徹底して実施する
 2点目:精神医療の質を一般医療と同等に良質かつ適切なものとするため、精神科救急・
急性期について一般病床と同等の医師等を集約し、回復期及び重度かつ慢性の症状を有する精神障害者の病床は、それぞれの機能と特性に応じた人員配置や環境を整備する

 その上で、地域移行を進める具体的方策として、(1)患者本人に対する支援(2)病院の構造改革―の方向性を提示しています。

 まず(1)では、入院医療の必要性が低い患者に対する退院意欲の喚起には、「病院スタッフからの働きかけの促進」や「外部の支援者等との関わりの確保」を図る必要があると指摘。精神科病院は、身体機能も含めたアセスメントを行い、本人の意向に沿った支援計画を作成することなどをあげています。また、地域生活の支援には、居住の場の確保として、サービス付き高齢者向け住宅など高齢者向け住まいの確保や、医療サービス・福祉サービスの連携を基盤とすることなどが示されました。

  (2)では、「病床が適正化され削減されるまでの間、地域移行支援機能を強化する方策」と「病床の適正化により将来的に不必要となった建物設備を有効活用する方策」が提示されました。前者では、医師等の医療スタッフよりも、むしろ地域移行への支援や訓練に必要な職種を厚く配置することが提案されています。また後者では、不必要となった建物設備の有効活用については、病院の経営判断により、医療法等の関係法令を遵守した上で、(ア)医療を提供する施設等:急性期病床、訪問診療・訪問看護等の施設、(イ)医療を提供する施設等以外としての居住の場:グループホーム、有料老人ホーム、サ高住、民間の賃貸住宅など、(ウ)居住の場以外:宿泊型自立訓練事業所、介護保険サービス事業所、地域コミュニティなど、があるとしています。
 もっとも、取りまとめ(案)には、精神科病棟転換後の居住の場としての活用に可否の意見が併記されています。

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